この記事のポイント
- 京都府内の畜産事業者の経営改善を支援する補助金
- 機器導入や新技術導入などに最大100万円(通常50万円)を補助
- 補助率は対象経費の2分の1以内
- 事業期間は令和8年(2026年)2月末まで
- 申請には経営改善計画の作成や外部指導の受講が必要
近年の気象変動や国際情勢の不安は、畜産業界にも大きな影響を与えています。飼料価格の高騰や経営コストの増加に悩む事業者の方も多いのではないでしょうか。このような厳しい状況を乗り越え、経営基盤を強化するために、京都府では「畜産経営基盤強化事業」を実施しています。
この記事では、京都府の畜産事業者様が活用できる「畜産経営基盤強化事業」について、対象者、補助額、申請方法などを分かりやすく解説します。経営の低コスト化や効率化を目指す方は、ぜひ最後までご覧ください。
畜産経営基盤強化事業とは?
「畜産経営基盤強化事業」は、厳しい経営環境に置かれている京都府内の畜産経営の維持・改善を図るため、経営強化や改善にかかる経費の一部を支援する制度です。低コスト化や生産効率の向上、品質向上など、前向きな取り組みを後押しすることを目的としています。
事業の概要
まずは制度の全体像を把握しましょう。主な項目を表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助対象者 | 京都府内に主たる生産・経営基盤を持つ畜産事業者またはその団体 |
| 補助対象事業 | 経営改善に必要な機器導入、新技術導入、畜産物の品質向上など |
| 補助率 | 2分の1以内(消費税は対象外) |
| 補助上限額 | 通常:50万円 特定条件を満たす場合:100万円 |
| 事業対象期間 | 令和8年(2026年)2月末まで |
補助の対象となる取り組み
具体的にどのような取り組みが補助の対象になるのでしょうか。主に以下の4つが挙げられます。
- 経営改善に必要な機器等の導入:
例)自動給餌機、糞尿処理機、省力化に繋がる運搬機など、低コスト化や効率化に資する機器の導入。 - 新技術の導入:
例)ICTを活用した飼養管理システム、生産性向上に繋がる新たな技術の導入。 - 畜産物の品質向上:
例)品質管理を高度化する機器の導入、飼料改善による品質向上への取り組み。 - その他、知事が必要と認めるもの:
上記以外でも、経営改善に繋がる取り組みであれば対象となる可能性があります。
対象者と補助要件の詳細
この補助金を利用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。ご自身が対象となるか、しっかり確認しましょう。
補助対象者
対象となるのは、京都府内に主たる生産・経営基盤を持つ畜産事業者、または畜産事業者等が組織する団体です。
個人・法人を問いません。また、府内に複数の農場を持つ場合は、農場ごとに事業を実施し、申請することが可能です。
※農場とは、組織的な畜産経営を行うために土地と畜舎、機具等を備え、かつ専任の労働者が1名以上いる場所を指します。
満たすべき補助要件
申請にあたっては、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 経営改善計画の作成と外部指導の受講:
経営改善計画を作成し、経営改善セミナーの受講など、外部指導者からの指導に基づいた経営に取り組んでいること。 - 地域畜産応援隊による指導・助言:
事業の実施にあたり、「地域畜産応援隊」からの指導や助言を受けること。 - 他事業との重複申請でないこと:
同じ事業内容で、他の補助金等と重複して申請することはできません。 - 事業完了期限:
事業実施年度の2月末日までに事業が完了する取り組みであること。
■ 注意点
この補助金は、単に設備を導入するだけでなく、専門家の指導を受けながら計画的に経営改善に取り組むことが重要なポイントです。計画の策定段階から、地域の伴走支援機関と連携することが採択への近道となります。
補助率と補助上限額
補助率は対象経費の2分の1以内です。補助上限額は通常50万円ですが、特定の条件を満たすことで最大100万円まで拡充されます。
補助上限額が100万円になるケース
以下のいずれかに該当する場合、補助上限額が100万円に引き上げられます。
- 新規就農から3年以内の場合
- 新規就農から継続して3年以上、京都府や市町村等の支援組織による経営改善指導を受けている場合
- 飼養する家畜の頭羽数が以下の規模を超える場合
- 乳牛:100頭
- 肉用牛:100頭
- 豚:500頭
- 家きん:1万羽
申請方法と相談窓口
申請は、地域の「伴走支援機関」を経由して行います。まずはご自身の地域を管轄する窓口に相談することから始めましょう。
申請の流れ
- 相談:地域の伴走支援機関(家畜保健衛生所)に事業内容を相談し、申請書類を入手します。
- 書類作成:経営改善計画書など、必要な申請書類を作成します。
- 提出:作成した書類を伴走支援機関に提出します。
- 審査・選定:提出された計画書等に基づき、審査が行われ、予算の範囲内で補助対象者が選定されます。
- 交付決定:採択されると交付決定通知が届きます。
- 事業開始:交付決定後に、機器の発注など事業を開始します。(※交付決定前の発注は補助対象外となるため注意)
- 実績報告:事業完了後、令和8年2月末までに実績報告書を提出します。
- 補助金交付:報告書の内容が確認された後、補助金が交付されます。
地域別の伴走支援機関・提出先
主たる事務所のある地域によって、相談・提出先が異なります。
| 主たる事務所のある地域 | 伴走支援機関(京の畜産応援隊) | 提出先 |
|---|---|---|
| 京都市、向日市、長岡京市、大山崎町 | 山城家畜保健衛生所 電話:0774-52-2040 | 京都府農林水産部畜産課 電話:075-414-4984 |
| 宇治市、城陽市、久御山町、八幡市、京田辺市、井手町、宇治田原町、木津川市、笠置町、和束町、精華町、南山城村 | 山城家畜保健衛生所 電話:0774-52-2040 | |
| 亀岡市、南丹市、京丹波町 | 南丹家畜保健衛生所 電話:0771-42-3308 | 南丹広域振興局 農林商工部 電話:0771-22-0371 |
| 舞鶴市、綾部市、福知山市 | 中丹家畜保健衛生所 電話:0773-25-1860 | 中丹広域振興局 農林商工部 電話:0773-62-2743 |
| 宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町 | 丹後家畜保健衛生所 電話:0772-43-1125 | 丹後広域振興局 農林商工部 電話:0772-62-4305 |
まとめ
京都府の「畜産経営基盤強化事業」は、経営改善に意欲的に取り組む畜産事業者を力強くサポートする制度です。最大100万円の補助金を活用し、生産性の向上やコスト削減を実現することで、持続可能な経営基盤を築くことができます。
事業期間は令和8年(2026年)2月末までとされていますが、予算には限りがあり、申請には計画策定などの準備も必要です。関心のある方は、できるだけ早く管轄の伴走支援機関に相談し、準備を進めることをお勧めします。
この機会を最大限に活用し、貴社の経営をさらに発展させましょう。
