蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業とは?
経済産業省が主導する「蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業」は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重要な国家プロジェクトです。再生可能エネルギーの普及に不可欠な蓄電池の国内サプライチェーンを強靭化するため、先端的な蓄電池や関連部材の生産・リサイクル拠点への大規模な投資を支援することを目的としています。
この事業のポイント
- 目的: 2050年カーボンニュートラル実現に向けた蓄電池の国内生産基盤の確保とサプライチェーン強靭化。
- 支援内容: 先端的な蓄電池・材料・部材の生産技術、リサイクル技術を用いた大規模製造拠点への設備投資・研究開発費用を補助。
- 特徴: 大規模な投資を対象とし、日本の蓄電池産業の国際競争力強化を目指す。
補助金の概要
本事業の基本情報を表にまとめました。公募は既に終了していますが、今後の同様の事業の参考としてご確認ください。
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業 |
実施機関 | 経済産業省(事務局:株式会社野村総合研究所) |
公募期間(二次公募) | 令和4年8月22日の週~10月3日の週 (※受付終了) |
補助率 | 【設備投資】1/3 (150億円を超える部分は1/4) 【研究開発投資】1/2 |
事業期間 | 【設備投資】原則として令和8年3月31日まで 【研究開発投資】令和9年3月31日まで |
補助対象事業の詳細
本補助金は、以下の3つの分類に該当する事業を対象としていました。
分類A:蓄電池の生産基盤確保
車載用(駆動用)や定置用の蓄電池に関して、先端的なリチウムイオン電池の国内生産基盤を確保するための設備投資および研究開発投資を行う事業です。
分類B:材料・部材の生産基盤確保
先端的なリチウムイオン電池の材料・部材(セパレータ、電解液、負極材など)の国内生産基盤を確保するための設備投資および研究開発投資を行う事業です。
分類C:リサイクル拠点の確保
廃棄されるリチウムイオン電池や工程端材等から、リチウムイオン電池材料へとリサイクルする国内拠点を確保するための設備投資および研究開発投資を行う事業です。
補助対象経費
対象となる経費は、大きく「設備投資」と「研究開発投資」に分かれます。
① 設備投資(生産設備)
- 建物取得費
- 設備費
- システム購入費
② 研究開発投資
- 機械装置費
- 労務費(研究員費・補助員費)
- その他経費(消耗品費、旅費、外注費等)
- 委託費・共同研究費
申請の重要ポイントと注意点
⚠️ 申請前に必ず確認
- 事前着手制度: 交付決定前の事業着手が申請・承認により可能でしたが、採択を約束するものではありませんでした。経理処理は補助金ルールに準拠する必要がありました。
- 投資計画の公表: 令和3年12月21日より前に対外発表された投資計画は補助対象外とされました。
- 他の補助金との併用: 原則不可ですが、「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」など一部例外がありました。
- 申請方法: 電子申請システム「jGrants」を利用するため、事前に「gBizIDプライム」の取得が必要でした。
一次公募の採択事業者一覧
参考として、一次公募で採択された事業者をご紹介します。日本の主要企業が名を連ねており、本事業の重要性がうかがえます。
●分類A(蓄電池)
事業者名 | 事業実施場所 |
---|---|
三洋電機株式会社 / パナソニックエナジー株式会社 | 和歌山県 |
●分類B(材料・部材)
事業者名 | 事業分野 | 事業実施場所 |
---|---|---|
旭化成株式会社 | セパレータ及び関連材料・部材 | 滋賀県 |
MUアイオニックソリューションズ株式会社 | 電解液・電解質及び関連材料・部材 | 三重県 |
信越化学工業株式会社 | 負極材及び関連材料・部材 | 群馬県/茨城県 |
東洋アルミニウム株式会社 | 外装材及び関連材料・部材 | 静岡県 |
冨士発條株式会社 | 外装材及び関連材料・部材 | 兵庫県 |
株式会社UACJ製箔 | 集電体及び関連材料・部材 | 群馬県 |
まとめと関連情報
「蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業」は、日本のエネルギー政策と産業競争力を左右する極めて重要な補助金でした。公募は終了しましたが、政府は引き続き蓄電池分野への支援を強化しており、今後も同様の大型支援策が期待されます。
関連情報や最新の公募については、経済産業省や事務局のウェブサイトを定期的に確認することをお勧めします。