令和6年能登半島地震により被災された事業者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。この未曾有の災害により、事業の継続に多大な影響を受けている方も多いことと存じます。本記事では、こうした状況下で事業者の資金繰りを支援するための国の制度「セーフティネット保証4号」について、対象地域や申請方法をプロが分かりやすく解説します。
セーフティネット保証4号(令和6年能登半島地震)とは?
セーフティネット保証4号は、自然災害などの突発的な事由により経営の安定に支障を生じている中小企業者を支援するための信用保証制度です。通常の保証限度額とは別枠で、借入額の100%を信用保証協会が保証することで、被災された事業者が金融機関から融資を受けやすくなることを目的としています。
✅ この制度の最大のメリット
- 保証割合100%:金融機関はリスクなく融資を実行しやすくなります。
- 一般保証とは別枠:すでに保証を利用している場合でも、別枠で追加の保証が受けられます。
- 迅速な資金調達:災害からの復旧や事業再建に必要な資金をスピーディーに確保できます。
制度概要(早見表)
項目 | 内容 |
---|---|
制度名称 | 中小企業信用保険法第2条第5項第4号(セーフティネット保証4号) |
対象災害 | 令和6年能登半島地震 |
保証限度額 | 一般保証とは別枠で最大2.8億円(うち無担保保証8,000万円) |
保証割合 | 100%保証 |
指定期間 | 令和6年1月1日 ~ 令和6年6月30日(延長の可能性あり) |
実施機関 | 中小企業庁 |
対象となる事業者(申請条件)
本制度を利用するには、以下の両方の要件を満たし、事業所の所在地を管轄する市区町村長の認定を受ける必要があります。
1. 対象地域で事業を営んでいること
以下の指定地域において、1年間以上継続して事業を行っている中小企業者・小規模事業者が対象です。
【指定地域一覧】
- 石川県: 七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋市、かほく市、羽咋郡志賀町、羽咋郡宝達志水町、鹿島郡中能登町、鳳珠郡穴水町、鳳珠郡能登町
- 富山県: 富山市、高岡市、氷見市、滑川市、黒部市、砺波市、小矢部市、南砺市、射水市、中新川郡舟橋村、中新川郡上市町、中新川郡立山町、下新川郡朝日町
- 新潟県: 新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、加茂市、見附市、燕市、糸魚川市、妙高市、上越市、佐渡市、南魚沼市、三島郡出雲崎町、刈羽郡刈羽村
- 福井県: 福井市、あわら市、坂井市
2. 売上高が減少していること
令和6年能登半島地震の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
⚠️ ご注意ください
この制度は、国や自治体から直接お金がもらえる給付金・補助金ではありません。あくまで金融機関からの融資を円滑にするための「保証制度」であり、融資された資金は返済義務がありますのでご注意ください。
申請から融資実行までの流れ
申請手続きは、以下のステップで進みます。
- STEP 1: 市区町村への認定申請
事業所の所在地の市区町村の商工担当課などに、必要書類を提出して「特定中小企業者」であることの認定を申請します。 - STEP 2: 認定書の発行
市区町村が要件を確認し、認定書を発行します。 - STEP 3: 金融機関への融資申込
希望する金融機関(取引のある銀行や信用金庫など)に、市区町村から発行された認定書を持参して融資を申し込みます。 - STEP 4: 信用保証協会の保証審査
金融機関を通じて、信用保証協会が保証の審査を行います。 - STEP 5: 融資実行
審査が通れば、金融機関から融資が実行されます。
まとめと相談窓口
令和6年能登半島地震により影響を受けた事業者にとって、セーフティネット保証4号は事業継続・再建に向けた力強い支えとなる制度です。まずはご自身の事業所が対象となるかを確認し、市区町村の担当窓口や取引金融機関に相談することから始めましょう。