【令和7年度】国土交通省「短期入院協力事業補助金」のご案内
国土交通省は、自動車事故による重度後遺障害を負われた方々の療養環境を支えるため、「被害者保護増進等事業費補助金(短期入院協力事業)」を実施しています。この制度は、在宅で療養されている重度後遺障害者が、介護者の休息(レスパイトケア)や専門的なリハビリテーションを目的として安心して短期入院できるよう、受け入れ体制を整備・強化する医療機関を支援するものです。本記事では、令和7年度の補助金制度の概要、対象経費、申請方法について専門家が詳しく解説します。
この補助金のポイント
- 対象者: 国土交通省から「短期入院協力病院」として指定された医療機関
- 目的: 自動車事故による重度後遺障害者の短期入院受け入れ体制の整備・強化
- 補助額: 最大800万円(入院施設支援費)+利用促進等事務費
- 特徴: 特殊浴槽やリハビリ機器などの設備導入費用や、広報・研修費用が対象
補助金の概要
本事業は、自動車事故被害者救済という重要な目的を持ち、自動車安全特別会計を財源としています。協力病院が質の高い医療・看護を提供できる環境を整えることを経済的にサポートします。
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 令和7年度被害者保護増進等事業費補助金(短期入院協力事業) |
実施機関 | 国土交通省 物流・自動車局 保障制度参事官室 |
対象事業者 | 国土交通省が「短期入院協力病院」として指定した医療機関(全国198カ所 ※R7.4月現在) |
補助上限額 | 入院施設支援費: 400万円~800万円(受入実績に応じて変動) 利用促進等事務費: 上限なし(予算の範囲内) |
補助率 | 定額 または 1/2(対象経費・器具による) |
【重要】令和7年度の主な変更点
昨年度から申請手続きや補助率に関して重要な変更点があります。より有効に補助金を活用いただくため、必ずご確認ください。
⚠️ 令和7年度からの変更ポイント
1. 申請期間の明確化
年度末の申請集中を避けるため、事業の完了時期に応じて3回の申請期限が設定されました。計画的な事業実施と申請が求められます。
2. 補助率の簡素化
これまでの複雑な補助率体系が見直されました。重度後遺障害者の受け入れに一般的に使用する医療器具・用具等は「定額補助」となり、それ以外で国土交通省が認めるものは「1/2補助」へと変更され、より分かりやすくなりました。
補助対象となる経費の詳細
本補助金は、大きく分けて「入院施設支援費」と「利用促進等事務費」の2種類で構成されています。
1. 入院施設支援費(設備・機器導入)
在宅重度後遺障害者が安心・安全に短期入院できるよう、医療器具やリハビリ機器の導入に係る経費を支援します。
- 特殊浴槽、ストレッチャー
- 介護用ベッド、移動用リフト、フルリクライニング車イス
- 居室内監視カメラ装置、医用テレメーター
- 褥瘡(床ずれ)予防対策用具、痰吸引装置
- 意思伝達装置、パルスオキシメーター
- 各種リハビリ機器(電気刺激装置、歩行練習サポート装置など)
- 災害用発電器 など
2. 利用促進等事務費(ソフト事業)
設備のハード面だけでなく、知識・技術の向上や利用促進といったソフト面の取り組みも幅広く支援します。
- 研修等経費: 療護センターでの研修参加や講演会開催にかかる旅費、謝金など。
- 備品類導入費: 専門知識向上のための医学図書、テキスト、DVDなどの購入費。
- 広報活動費: 利用促進のためのパンフレットやWebページの作成・配布費用。
- 短期入院プラン作成費: 入院前の在宅訪問や入院計画表の作成にかかる経費。
補助上限額と補助率の仕組み
補助上限額の決定方法
入院施設支援費の補助上限額は、直近の介護料受給者の受入実績(延べ人数・延べ日数)に応じて、400万円から800万円の範囲で協力病院ごとに設定されます。
延べ受入人数 | 延べ受入日数 | 補助上限額 |
---|---|---|
10人以上 | 150日以上 | 800万円 |
7~9人 | 100~149日 | 700万円 |
4~6人 | 50~99日 | 600万円 |
1~3人 | 1~49日 | 500万円 |
0人 | 0日 | 400万円 |
申請スケジュールと手続きの流れ
申請期限
事業が完了した時期によって申請期限が異なりますのでご注意ください。
補助対象事業の完了期間 | 申請期限 |
---|---|
令和7年4月1日~令和7年12月31日 | 令和8年1月20日(火) |
令和8年1月1日~令和8年1月31日 | 令和8年2月16日(月) |
令和8年2月1日~令和8年3月31日 | 令和8年3月16日(月) |
申請の基本的な流れ
- 事前相談(推奨)
事業着手前に、導入したい機器や計画している取り組みが補助対象となるか「自動車事故被害者支援体制等整備事業事務局」へ相談することを強く推奨します。これにより、事業完了後に対象外と判明するリスクを回避できます。 - 事業の実施・完了
事前相談の内容を踏まえ、医療機器の導入や研修の実施など、補助対象事業を計画に沿って実施・完了させます。 - 補助金交付申請
事業完了後、上記の申請期限内に必要書類を揃えて補助金交付申請書を提出します。 - 交付決定・補助金受領
審査を経て交付が決定されると、補助金が支払われます。
まとめ:積極的な活用で、より良い療養環境の実現を
「短期入院協力事業補助金」は、自動車事故による重度後遺障害者の方々とそのご家族を支える医療機関にとって、設備投資や人材育成の大きな助けとなる制度です。令和7年度は制度が一部変更され、より活用しやすくなっています。この機会にぜひ本補助金の活用をご検討いただき、患者様にとってより安心・安全な療養環境の整備にお役立てください。