働く女性の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」。経済産業省は、このフェムテックを活用して女性の就業継続を支援する実証事業を強力に後押しします。令和7年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の公募が開始されました。本記事では、最大1,000万円が補助される本事業の概要、申請方法、採択のポイントを専門家が徹底解説します。
令和7年度 フェムテック補助金 早見表
補助金名 | 令和7年度フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金 |
実施機関 | 経済産業省 |
公募期間 | 2025年4月14日(月)~6月2日(月) |
補助上限額 | 最大1,000万円 |
補助率 | 事業費の2分の1~3分の2以内 |
対象者 | フェムテック企業、導入企業、医療機関、自治体等の連携体 |
採択予定件数 | 全国で10件程度 |
フェムテック補助金とは?女性活躍を推進する国の重要施策
本補助金は、働く女性が妊娠・出産、更年期といったライフイベントや特有の健康課題によって望まない離職をすることなく、いきいきと活躍できる社会を目指すための事業です。女性個人の問題としてではなく、企業や社会全体で解決していくアプローチを推進しており、その有効な手段としてフェムテックの活用が期待されています。
経済産業省は令和3年度から本事業を開始し、フェムテックの活用を通じて女性の就業継続を支援し、企業の多様性(ダイバーシティ)を高めることで、中長期的な企業価値の向上を図ることを目的としています。
そもそも「フェムテック」とは?
Femtech(フェムテック)は、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。月経、不妊治療、妊娠・出産、更年期など、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指します。これまでタブー視されがちだった悩みをオープンに共有し、解決策を提供するツールとして、新しいムーブメントになっています。
補助対象となる事業のポイント
本補助金は、フェムテック等の製品・サービスを活用し、働く女性のウェルビーイング実現を目指す実証事業を支援します。具体的には、以下のような事業が対象となります。
- 月経、不妊、妊娠・出産、更年期等と仕事の両立支援のための製品・サービスのPoC(概念実証)事業
- 希望するライフプラン実現に向けた、女性の健康に関する理解促進(ヘルスリテラシー向上)事業
- 女性の健康やライフイベントに伴う悩みや不安に関する相談事業
⚠️ 補助対象外となる事業
本事業では、アロマやサプリメント、エステ、吸水ショーツ、温活グッズ、飲食料品等(いわゆるフェムケア製品)のみの利活用を進める事業は採択の対象外となります。また、応募時点で実証を行うフィールド(導入企業や自治体など)が予め決定している事業が対象となる点にも注意が必要です。
申請から採択までの5ステップ
申請プロセスは以下の通りです。特に公募説明会への参加と、連携体制の構築が重要なポイントとなります。
- 公募説明会への参加または動画視聴
事業内容を正確に理解するため、参加が強く推奨されています。オンラインで1回開催され、後日動画も共有されます。 - 連携体制の構築(実証フィールドの確保)
応募時点で実証先(導入企業、自治体等)が決まっている必要があります。事務局によるネットワーキングサポートも活用できます。 - 応募書類の作成
公募要領を確認し、申請書や提案書など指定の様式で書類を作成します。 - 応募書類の提出
E-mailまたはjGrantsで提出します。郵送は受け付けていません。 - 審査・採択決定
外部有識者による審査委員会で厳正な審査が行われ、採択事業が決定します。
申請方法と必要書類
申請方法
申請は以下のいずれかの方法で行います。郵送は不可ですのでご注意ください。
- (1) E-mailによる提出
提出先:meti_femtech@m.asakonet.co.jp
- (2) jGrants(電子申請システム)による提出
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。ID取得には約2週間かかる場合があるため、早めの準備をおすすめします。
主な必要書類
申請には以下の書類が必要です。詳細は必ず公式サイトの公募要領をご確認ください。
- (様式1)応募申請書
- (様式2)提案書
- (様式2・別紙1)提案概要
- (様式2・別紙2)支出計画書
- (様式3)従業員への賃金引上げ計画の表明書(該当する場合)
採択率アップの鍵!連携体制構築とネットワーキングサポート
本補助金では、応募時点で実証フィールド(導入企業や自治体など)との連携体制が構築されていることが必須要件です。この連携体制構築を支援するため、事務局による「ネットワーキングサポート」が提供されています。
これは、実証事業を行いたいフェムテック企業(代表団体)と、実証の場を提供したい企業や自治体(実証フィールド候補団体)をマッチングするサポートです。連携先を探している事業者の方は、ぜひ活用を検討しましょう。
ネットワーキングサポート申込期日
- 第一弾:4月21日(月)17:00まで
- 第二弾:5月8日(木)17:00まで
過去の採択事例から事業のヒントを探る
過去にどのような事業が採択されたかを知ることは、事業計画を立てる上で非常に重要です。公式サイトでは過去の採択事業が公開されています。ここでは一部を抜粋してご紹介します。
事業者名 | 事業概要 | 関連タグ |
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ライオン株式会社 (R6) | 「考え方のくせ」を変えるプログラムで女性特有の不調をサポート | 月経・PMS, 更年期 |
豊田通商株式会社 (R5) | 製造現場の女性が我慢しない職場環境を整備し「モノづくり力」強化を実現 | 月経・PMS, 更年期 |
メロディ・インターナショナル株式会社 (R3) | 周産期遠隔医療プラットフォームで仕事と安全な妊娠・出産の両立を支援 | 妊娠・不妊 |
まとめ:社会課題解決と事業成長のチャンス
「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」は、単なる資金調達の機会ではありません。女性の健康課題という大きな社会課題の解決に貢献し、自社の製品やサービスの価値を実証する絶好のチャンスです。公募期間は限られていますので、早めに準備を進めましょう。