環境省が管轄する令和7年度「国立公園利用拠点滞在環境等上質化事業」の二次公募が開始されました。この補助金は、国立公園の魅力をさらに高めるため、インバウンド対応や景観改善、廃屋撤去などの取り組みを強力に支援するものです。
この記事では、国立公園内で事業を営む方や、地域の観光振興に関わる方々が知りたい情報を、専門家が分かりやすく解説します。
補助金の概要(二次公募)
補助金名 | 令和7年度国立公園等資源整備事業費補助金(国立公園利用拠点滞在環境等上質化事業) |
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実施機関 | 環境省(執行団体:公益財団法人北海道環境財団) |
公募期間(二次) | 令和7年6月24日(火)~ 令和7年12月10日(水)17時必着 |
対象者 | 国立公園の集団施設地区等で事業を行う民間事業者、地方公共団体、協議会、DMO法人など |
目的 | 国立公園の利用拠点における滞在環境を上質化し、インバウンドを含む国内外からの訪問者の満足度を向上させること |
この補助金の重要ポイント
- 幅広い事業が対象: 計画策定から、廃屋撤去、景観改善、インバウンド対応強化まで多岐にわたる取り組みを支援。
- 二次公募は長期間: 12月までと公募期間が長く、月単位で審査・採択が行われるため、計画的に申請準備が可能。
- 予算上限あり: 期間中であっても予算上限に達し次第、公募が終了する可能性があるため早めの申請が推奨されます。
- インバウンド需要に対応: 国際観光旅客税を財源としており、外国人観光客の満足度向上に資する事業が重視されます。
補助対象となる事業の詳細
本補助金は、大きく分けて3つの事業区分で構成されています。自社の取り組みがどれに該当するか確認しましょう。
A. 国立公園利用拠点計画策定支援事業
地域の関係者が連携し、専門家の知見を活用しながら、国立公園の利用拠点に関する魅力向上計画を策定する事業を支援します。
B. 国立公園利用拠点上質化整備事業
策定された計画に基づき、具体的な整備を行う事業です。以下の6つのカテゴリーに分かれています。
- B-1)廃屋撤去事業: 景観を損なう廃屋等を撤去し、跡地を地域活性化のために活用する事業。
- B-2)インバウンド対応機能強化事業: 多言語サインの整備、無料公衆無線LAN(Wi-Fi)の設置、トイレの洋式化など。
- B-3)文化的まちなみ改善事業: 施設の門や塀、植栽などの外構修景や、建物の外観修景、屋外設備の隠ぺいなど。
- B-4)既存施設観光資源化促進事業: 利用が減少した施設を、インバウンド対応を前提に機能転換・強化するための内装・設備整備。
- B-5)引き算の景観改善: 無電柱化、展望を妨げる樹木の伐採(通景伐採)、景観を阻害する工作物の撤去・移設など。
- B-6)利用拠点滞在環境改善事業: オープンスペースや遊歩道、トイレ、駐車場など、滞在の魅力を高める賑わいや憩いの場を形成する事業。
C. 国立公園核心地利用施設改修事業
山小屋など、国立公園の核心地にある施設の利用者の増加に資する外装、内装、設備等の改修事業を支援します。
申請手続きとスケジュール
申請は以下のステップで進めます。公募要領を熟読し、不備のないように準備しましょう。
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公募要領・申請様式の確認
まずは公式サイトから最新の公募要領と申請様式一式をダウンロードし、事業要件や対象経費などを詳細に確認します。 -
申請書類の作成
事業計画書や経費内訳書など、指定された様式に従って申請書類を作成します。事業の目的や効果を明確に記述することが採択の鍵となります。 -
期限内に提出
作成した応募書類一式を、公募期間内に執行団体(北海道環境財団)へ提出します。令和7年12月10日(水)17時必着なので、余裕を持った発送を心がけましょう。 -
審査・採択
提出された書類は、原則として月単位でとりまとめられ、審査が行われます。採択結果は後日通知されます。
まとめ
「国立公園利用拠点滞在環境等上質化事業」は、国立公園の価値をさらに高め、国内外からの観光客を惹きつけるための重要な支援制度です。特にインバウンド回復が進む今、多言語対応やWi-Fi整備、景観改善といった取り組みは、大きなチャンスに繋がります。
二次公募は期間が長いものの、予算には限りがあります。この機会を最大限に活用し、魅力的な国立公園づくりに貢献するため、ぜひ前向きな申請をご検討ください。