この記事のポイント
経済産業省が実施した「インド太平洋・中南米地域サプライチェーン参画支援事業」は、最大1億円の補助で、海外サプライチェーンの強靭化を目指す企業を支援するものです。本記事では、公募が終了した本補助金の概要、目的、採択事例を詳しく解説し、今後の類似制度への備えに役立つ情報を提供します。
「インド太平洋・中南米地域サプライチェーン参画支援事業」とは?
本事業は、経済産業省が主導し、地政学的リスクや自然災害など、多様化・増大するサプライチェーンの途絶リスクに対応することを目的とした補助金制度です。特に、日本と経済的な結びつきが強いインド太平洋・中南米地域を対象に、生産拠点の多元化やデジタル技術を活用した物流の高度化など、サプライチェーン全体の強靭化に取り組む企業を支援しました。
執行団体はボストン・コンサルティング・グループ合同会社(BCG)が務め、企業の先進的な取り組みを後押ししました。
補助金の概要
本補助金の基本情報を以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 令和4年度補正 海外市場調査等事業費補助金(インド太平洋・中南米地域サプライチェーン参画支援事業費) |
実施機関 | 経済産業省 |
執行団体 | ボストン・コンサルティング・グループ合同会社(BCG) |
補助上限額 | 最大1億円 |
補助率 | 中小企業等:1/2以内、大企業:1/3以内 |
公募期間 | 【一次】2023年3月30日~5月30日 【二次】2023年6月23日~7月21日 ※全公募期間は終了しています。 |
補助対象となる事業内容
本補助金では、サプライチェーン強靭化に資する以下の5つの事業類型が対象とされました。これらは実証事業、事業実施可能性調査(FS)、人材育成を含みます。
- サプライチェーンの可視化: デジタル技術を活用し、サプライチェーン上のリスクを可視化・分析する事業。
- ロジスティクスの高度化: 物流をリアルタイムで把握するシステム構築など、ロジスティクスを最適化する事業。
- 貿易手続きの円滑化: 貨物到着日時を正確に予測するシステム構築など、通関手続きを迅速化する事業。
- 生産拠点の多元化: 特定地域への依存を避け、新たな生産拠点をサプライチェーンに組み込む事業。
- データ連携・共有基盤の構築: サプライチェーンに関わる企業間でデータを連携・共有するための基盤を構築する事業。
採択事例から見る事業のポイント
実際に採択された企業の事例を見ると、具体的な海外拠点(例:メキシコ)での新工場建設や、既存事業の生産体制強化・拡充といった、明確な投資計画と市場への貢献が評価されていることがわかります。今後の類似補助金申請においても、事業の具体性と将来性が重要な鍵となります。
採択企業と事業例
本事業では、複数回にわたる公募で多くの企業が採択されました。ここでは公表されている一部の企業をご紹介します。
二次公募 採択企業
- 古河AS株式会社
- 株式会社三井ハイテック
三次公募 採択企業(例)
- 加賀電子株式会社
メキシコでのEMS(電子機器の開発・生産受託サービス)生産体制強化・拡充に向けた新工場建設プロジェクトが採択。北米・中南米市場向けの強靭なサプライチェーン構築を目指す。
※一次公募では10社が採択されています。
まとめ:今後のサプライチェーン関連支援に備えよう
「インド太平洋・中南米地域サプライチェーン参画支援事業」は公募を終了しましたが、国際情勢の変動が続く中、サプライチェーンの強靭化は国の重要政策であり、今後も同様の支援策が打ち出される可能性は高いと考えられます。
海外展開や生産拠点の見直しを検討している企業は、本事業の目的や対象事業、採択事例を参考に、自社の事業計画を具体化しておくことが重要です。経済産業省や中小企業庁のウェブサイトを定期的にチェックし、最新の公募情報を見逃さないようにしましょう。
関連情報・公式サイト
本補助金の詳細や公式発表は、以下のリンクからご確認いただけます。