この記事では、経済産業省が実施した「令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」について詳しく解説します。本事業の公募は既に終了していますが、日本のエネルギー政策や今後のDER(分散型エネルギーリソース)関連ビジネスの動向を理解する上で非常に重要な事業です。
令和4年度 DER活用実証事業の概要
本事業は、太陽光発電や蓄電池などの「分散型エネルギーリソース(DER)」をさらに活用するため、電力市場で求められる高度な制御技術を実証することを目的としていました。DERの活用拡大と再生可能エネルギーの有効活用を通じて、アグリゲーションビジネスを発展させ、カーボンニュートラルの達成に貢献することを目指すものです。
事業の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業 |
実施機関 | 経済産業省(執行団体:一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)) |
公募期間 | 全事業で公募終了 ・A/B事業: 2022年4月8日~4月26日 ・C事業: 2022年6月1日~12月23日 |
目的 | DERの高度な制御技術を実証し、アグリゲーションビジネスの発展を通じてカーボンニュートラルに貢献する。 |
事業の3つの柱(A・B・C事業)
本実証事業は、役割の異なる3つの事業で構成されていました。
A事業:基盤整備事業
アグリゲーションコーディネーターと連携し、実証に必要な要素(情報提供など)を行う事業者が対象です。
B事業:DERアグリゲーション実証事業
複数のDERを統合制御し、電力市場での取引を実証する事業です。コンソーシアムを組成し、その幹事社(コンソーシアムリーダー)や、実際にDERの遠隔制御を行うリソースアグリゲーターが対象となります。
C事業:DER等導入事業
B事業に参加する需要家が、家庭用蓄電システムなどのDERを導入する際の費用を補助する事業です。
この事業の重要ポイント
- VPPの構築:個々のDERを束ねて、あたかも一つの発電所のように機能させる「仮想発電所(VPP)」の技術実証。
- 電力市場への参加:需給調整市場や容量市場など、新たな電力市場へのDER活用を目指す。
- 先進技術の活用:KDDIの採択事例では、5GとMEC(Multi-access Edge Computing)を活用した低遅延のリアルタイム制御が実証されました。
申請プロセス(参考)
公募は終了していますが、一般的な申請の流れは以下の通りでした。
- 公募要領の確認:公式サイトから交付規程や公募要領をダウンロードし、事業内容や要件を詳細に確認する。
- コンソーシアム組成(B事業):実証事業を行うための連携体制を構築する。
- 申請書類の準備:事業計画書や指定の申請様式を作成する。gBizIDの取得が必要な場合もあった。
- 申請手続き:指定された方法(電子申請や郵送)で期間内に申請を完了させる。
- 審査・交付決定:審査を経て採択されると交付が決定し、事業を開始する。
今後の動向と後継事業について
【重要】本事業は後継事業へ引き継がれています
「令和4年度」の事業は終了しましたが、同様の目的を持つ後継事業として「令和5年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業」が実施されました(こちらも公募終了)。
今後もDER活用やVPP構築に向けた国の支援は継続される可能性が高いです。関連事業者は、経済産業省や執行団体であるSIIのウェブサイトを定期的にチェックすることをおすすめします。
まとめと関連情報
「令和4年度 DER活用実証事業」は、日本の脱炭素社会実現に向けたエネルギーシステムの変革を促す重要な取り組みでした。本事業で得られた成果は、今後の電力ビジネスの発展に大きく貢献することが期待されます。
お問い合わせ先
執行団体:一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)
※本事業に関するお問い合わせは既に終了している可能性があります。
メールアドレス: der02_info@sii.or.jp
(お問い合わせの際は件名に【質問】と記載する必要がありました)