フードテック分野で革新的な技術やサービスを開発しているものの、事業化へのハードルを感じていませんか?本記事では、農林水産省が主導する「令和5年度フードテックビジネス実証事業」について、その目的から対象者、申請の流れ、実際の採択事例までを詳しく解説します。今後の公募に向けた情報収集にお役立てください。
令和5年度フードテックビジネス実証事業とは?
「フードテックビジネス実証事業」は、フードテックを活用した新しい技術やサービスを実際のビジネスとして確立するための実証実験を支援する国の補助金事業です。研究開発段階から一歩進み、社会実装を目指すスタートアップや事業者を後押しすることを目的としています。
事業の目的
本事業は、フードテック技術の事業化を加速させることで、多様な食の需要への対応、食に関する社会課題(食料不足、環境負荷など)の解決、そして日本の食品産業の国際競争力強化を目指しています。
補助金の概要(令和5年度公募参考)
令和5年度に実施された公募情報を基に、補助金の基本情報をまとめました。次年度以降の公募の参考にしてください。
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 令和5年度フードテックビジネス実証事業 |
実施機関 | 農林水産省 |
公募期間(参考) | 複数回実施(例: 2024年4月8日~5月7日)※令和5年度は公募終了 |
補助額・補助率 | 事業計画や予算に応じて決定(詳細は公募要領で要確認) |
補助対象経費 | 実証事業に必要な人件費、設備費、委託費、旅費など |
補助対象者
本事業に応募できるのは、以下のいずれかに該当する事業者です。
- フードテックを活用する食品事業者、大学、研究機関等で構成されるコンソーシアム
- フードテックを活用し新たな商品・サービスを生み出す単独の事業者
【重要】必須要件
上記のいずれかに加え、事業担当者が「フードテック官民協議会」の会員であることが必須条件とされています。未加入の場合は、事前に入会手続きが必要です。
申請から事業開始までの流れ
一般的な申請プロセスは以下の通りです。公募が開始された際にスムーズに対応できるよう、流れを把握しておきましょう。
-
1
公募情報の確認農林水産省や事業委託先のウェブサイトで公募要領や関連書類を確認します。
-
2
申請書類の準備事業計画書や経費明細書など、指定された様式に従って書類を作成します。jGrantsでの申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。
-
3
申請公募期間内に、jGrantsまたはE-mailで提出します。郵送は受け付けられない場合が多いため注意が必要です。
-
4
審査・採択提出された書類に基づき審査が行われ、補助金交付候補者が選定されます。
-
5
事業開始採択後、事業計画の最終調整を経て、交付決定後に事業を開始します。
採択事例紹介:九州大学とリックス社の共同研究
実際にどのようなプロジェクトが採択されているのでしょうか。令和5年度の2次募集で採択された事例を見てみましょう。
培養装置の研究開発プロジェクト
- 実施者: 九州大学大学院農学研究院 中村真子教授、リックス株式会社
- 研究内容: 食肉を構成する筋細胞や脂肪細胞を効率的に培養する装置の研究開発。リックス社が開発する装置で培養した細胞の解析・評価を共同で行う。
- 目指すゴール: 「安い・安心・安全」な代替肉(培養肉)の生産技術を確立し、世界の食料不足問題や国内自給率の向上に貢献する。
このように、大学の研究シーズと企業の開発力を組み合わせ、具体的な社会課題の解決に繋がる実証研究が評価される傾向にあります。
まとめ:今後の公募に備えよう
「令和5年度フードテックビジネス実証事業」は、フードテック分野の事業化を強力に支援する重要な補助金です。令和5年度の公募は終了しましたが、フードテックは国の成長戦略の柱の一つであり、今後も同様の支援事業が継続される可能性が高いと考えられます。
最新情報を逃さないよう、農林水産省のウェブサイトやフードテック官民協議会からの情報を定期的にチェックし、次回の公募に備えましょう。