経済産業省が主導する「令和6年度ヘルスケア産業国際展開推進事業」は、日本の優れた医療・介護関連の技術やサービスの海外展開を支援する重要な補助金です。※令和6年度の公募は2024年5月23日をもって受付を終了しました。
本記事では、この補助金の概要や申請のポイントを振り返るとともに、発表された採択結果や具体的な採択事例を詳しく解説します。来年度以降の申請を検討されている事業者様は、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 日本のヘルスケア製品・サービスの海外展開における基礎調査・実証調査費用を補助。
- 医療機関や民間企業など、幅広い事業者が対象。
- 令和6年度は10件の事業が採択。具体的な採択事例も紹介。
- 来年度の公募に向けた情報収集の決定版。
令和6年度ヘルスケア産業国際展開推進事業とは?
本事業は、日本が世界に誇る医療や介護などのヘルスケア分野において、その高い技術力、優れたサービス、高品質な製品を活かした戦略的な海外展開を後押しすることを目的としています。具体的には、海外市場への進出を計画・実施する医療機関や企業が行う、現地のニーズ調査や事業化可能性を検証する実証調査にかかる費用の一部を補助するものです。
補助金の概要(令和6年度実績)
令和6年度の公募内容を基に、補助金の基本情報をまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
事業名称 | 令和6年度ヘルスケア産業国際展開推進事業 |
実施機関 | 経済産業省(管理団体:一般社団法人 Medical Excellence JAPAN) |
公募期間 | 令和6年4月26日(金)~ 令和6年5月23日(木)12時【受付終了】 |
対象者 | 日本のヘルスケア関連技術・サービス・製品の強みを活かした戦略的な海外展開を計画・実施する医療機関や企業等の事業者 |
補助対象経費 | 海外展開のための基礎調査および実証調査にかかる費用 |
申請方法 | 補助金申請システム「Jグランツ」による電子申請が原則 |
申請から採択までの流れ
一般的な申請プロセスは以下の通りです。来年度の参考にしてください。
- 公募要領の確認: 公式サイトから公募要領や申請様式をダウンロードし、事業内容や要件を詳細に確認します。
- 公募説明会への参加: 事業内容や手続きに関するオンライン説明会が開催されます。疑問点を直接質問できる貴重な機会です。
- 申請準備 (GビズID): Jグランツでの申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須です。取得には数週間かかる場合があるため、早めに準備を開始します。
- 申請書類の作成・提出: 事業計画書や予算額書など、指定された様式に従って申請書類を作成し、Jグランツから期限内に提出します。
- 審査: 外部有識者を含む審査委員会によって、事業の新規性、実現可能性、波及効果などの観点から厳正な審査が行われます。
- 採択結果の通知: 審査後、管理団体から採択結果が通知されます。
令和6年度の採択結果と注目事例
令和6年度は、2024年4月26日から5月23日までの公募期間を経て、外部有識者による厳正な審査の結果、10件の事業が採択候補として選定されました。
採択事例:株式会社デジリハ(インドでのリハビリDX)
採択された事業者の一つである株式会社デジリハは、リハビリDXツール「デジリハ」を開発・提供する企業です。同社は本事業を通じて、障害有病率が著しく上昇しているインド市場へ挑戦します。
デジリハ社の事業計画ポイント
- 課題: インドでは地理的・経済的格差により、特に年少の障害児者が必要なリハビリを受けられていない。
- 解決策: 高価な機材を必要とせず、小型センサーとPCで実施できる「デジリハ」を活用。個別最適化されたリハビリを安価に提供する。
- 目標: 「デジリハ」の活用を通じてコミュニティベースドリハビリテーション(CBR)を推進し、インドにおける障害児者のリハビリ課題解決を目指す。
このように、日本の先進的な技術やサービスを用いて、特定の国の社会課題を解決する具体的な事業計画が高く評価されたと考えられます。
まとめと来年度への展望
「ヘルスケア産業国際展開推進事業」は、海外市場を目指すヘルスケア関連事業者にとって、事業化の初期段階におけるリスクを軽減し、大きな一歩を踏み出すための強力な支援策です。令和6年度の公募は終了しましたが、採択事例からわかるように、自社の強みと展開先の国のニーズを明確に結びつけた事業計画が採択の鍵となります。
来年度以降も同様の事業が公募される可能性が高いです。海外展開をお考えの事業者は、今のうちから情報収集を開始し、事業計画を練っておくことをお勧めします。最新情報は公式サイトでご確認ください。
本事業に関するお問い合わせ先
一般社団法人 Medical Excellence JAPAN
ヘルスケア産業国際展開推進事業担当
E-mail: meti-project@me-jp.org