この記事のポイント
- 国土交通省・経済産業省が連携し、内航海運の省エネ・脱炭素化を強力に推進する補助金です。
- 「船型開発支援」と「建造・実証支援」の2本柱で、最大5億円という大規模な支援が特徴です。
- AIやIoTなどの先進技術を活用した運航効率化が重要なテーマとなっています。
- ※本記事で紹介している令和5年度の公募は既に終了しています。次年度以降の参考にしてください。
AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金とは?
「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金(内航船の革新的運航効率化実証事業)」は、国土交通省と経済産業省が連携して実施する、内航海運分野の省エネルギー化とCO2排出削減を目的とした補助金制度です。革新的なハード技術(省エネ船型、高効率エンジン等)とソフト技術(運航計画の最適化等)を組み合わせた取り組みを支援し、日本の物流を支える内航海運の持続可能な発展を目指します。
補助金の基本情報
補助金名 | AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金(内航船の革新的運航効率化実証事業) |
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実施機関 | 国土交通省、経済産業省 |
対象者 | 荷主、オペレーター、船主、造船事業者等の連携体など、内航海運の省エネ化に取り組む事業者 |
公募状況 | 公募終了(※令和5年度の情報です) |
2つの支援コースの詳細
本事業は、事業者のニーズに合わせて2つの支援コースが用意されています。
1. 船型開発支援
省エネルギー性能に優れた内航船や作業船等の「船型」を開発する事業を支援します。将来の標準となるような革新的な設計開発が対象です。
- 補助上限額: 6,000万円
- 補助率: 補助対象経費の全額
- 対象経費: 船型開発費(人件費、設計費、調査費など)
2. 建造・実証支援
革新的なハード技術とソフト技術を組み合わせて実際に内航船を建造し、その省エネルギー効果を実証する事業を支援します。
- 補助上限額: 5億円
- 補助率: 補助対象経費の1/2以内
- 対象経費: 設備費、設計・工費、検証等費用など
申請から採択までの流れ(参考)
一般的な申請プロセスは以下の通りです。次年度以降の公募に備え、流れを把握しておきましょう。
- 公募開始・公募要領の確認: 公式サイトで公募要領が公開されます。対象要件や提出書類を詳細に確認します。
- 事業計画の策定: 連携する事業者と協力し、省エネ効果や事業の実現可能性を示す詳細な事業計画書を作成します。
- 申請書類の提出: 指定された期間内に、必要な書類をすべて揃えて事務局に提出します。
- 審査: 外部有識者からなる審査委員会が、事業の革新性や効果、実現可能性などを審査します。
- 採択決定・事業開始: 審査を通過すると採択が決定し、交付手続きを経て事業を開始します。
令和5年度の採択事例紹介
令和5年度には、先進的な4件の事業が採択されました。どのような取り組みが評価されるのか、具体的な事例を見てみましょう。
船型開発支援(1次公募結果)
事業者名 | 事業概要 |
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東海運(株)・(株)三浦造船所・(一財)日本造船技術センター | 5,400トン積み石炭灰運搬船を対象に、スーパーベクツイン舵を装備した省エネ船型と最適航路選定支援システムを開発。 |
川崎重工業(株) | 199t型タグボートを対象に、船体抵抗を低減する船首形状の改良と、電気推進システムの開発に取り組む。 |
建造・実証支援(3次公募結果)
事業者名 | 事業概要 |
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東海運(株)・富士海運(株) | 7,000トン積みセメント運搬船に、垂直型船首形状や電子制御機関、高効率プロペラ等を導入し省エネ運航を実現。 |
和幸船舶(株)・丸三海運(株) | 499GTコンテナ船に、高度空気潤滑システムやコンテナ型バッテリーシステム等を導入し、非化石転換にも取り組む。 |
注意点
本補助金は、令和5年度の公募はすでに終了しています。この記事は、次年度以降の公募に向けた情報収集や事業計画の参考としてご活用ください。最新情報は、必ず国土交通省や経済産業省の公式サイトでご確認をお願いします。
まとめ
「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金」は、内航海運業界の未来を切り拓く、非常に重要な制度です。大規模な資金援助により、これまでコスト面で難しかった革新的な省エネ技術の導入や開発を後押しします。次年度以降の公募に向けて、自社の課題解決や競争力強化に繋がる事業計画を今から検討してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
国土交通省海事局海洋・環境政策課
担当:山村、柳本、齊藤
TEL:03-5253-8111(内線43-954、43-955、43-934)
直通:03-5253-8636