【公募終了】
本記事で紹介している「令和5年度 配電事業等の構築支援および計画策定支援事業(地域独立系統構築支援事業)」の公募はすべて終了しました。同様の事業が今後公募される可能性もあるため、参考情報としてご活用ください。
災害に強いエネルギー供給網を構築!地域独立系統構築支援事業とは?
「地域独立系統構築支援事業」は、災害などによる長期停電時にも電力供給を維持できる「マイクログリッド(地域独立系統)」の構築を支援する補助金です。再生可能エネルギーや蓄電池を活用し、地域のレジリエンス強化とエネルギーの地産地消を目指す事業者を対象としています。地方公共団体との連携が必須であり、地域一体となった防災力向上が期待されます。
この補助金のポイント
- 災害時の長期停電に備えるマイクログリッド構築が対象
- 再生可能エネルギー、蓄電システム、EMS等の導入を支援
- 地方公共団体を含むコンソーシアム形成が申請の必須要件
- 補助率は最大1/2、大規模な事業計画に対応
補助金の概要
事業名 | 令和5年度 配電事業等の構築支援および計画策定支援事業(地域独立系統構築支援事業) |
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実施機関 | 一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) |
公募期間(2次) | 2023年8月2日(水)~ 2023年10月31日(火)12:00 ※公募終了 |
補助率 | 補助対象経費の1/2以内 |
補助上限額 | 初年度:予算の範囲内 / 2年度目:上限4億円 |
申請方法 | jGrantsによる電子申請 |
補助対象となる事業の要件
補助対象となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 災害時の長期停電時に発動可能なマイクログリッドを構築すること。
- 配電事業に係る兼業規制の適用除外基準に該当する事業規模であること。
- 原則として再生可能エネルギー発電設備、需給調整設備、エネルギーマネジメント設備の3つを含むこと。
- 既存の電力系統線(系統線)を活用すること。
- 平常時から需給バランスのモニタリングを行うこと。
- 災害時にマイクログリッド運用者が需給調整を行う仕組みがあること。
- 地方公共団体が指定する防災に資する施設を含むこと。
- 地方公共団体、設備所有者、需給調整事業者等で構成される共同事業体(コンソーシアム)で運用されること。
- コンソーシアム契約(案)に、構築範囲や各者の役割、発動条件などが含まれること。
- 構築完了後1年以内に災害対応訓練を実施できること。
補助対象者
以下の要件をすべて満たす、コンソーシアムに所属する法人または個人事業主が対象です。
- 日本国内で事業活動を営んでいること。
- 導入する補助対象設備の所有者であること(共同申請も可)。
- 事業を確実に遂行できる経営基盤を有していること。
- 補助対象設備を善良に管理し、適切に活用すること。
- 経済産業省から補助金等停止措置等を受けていないこと。
補助対象経費
経費区分 | 具体例 |
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設計費 | マイクログリッド構築に係る設計費用 |
設備費 | 再生可能エネルギー発電設備、エネルギーマネジメント設備、蓄電システム、受変電設備など |
工事費 | 設備の設置・据付工事、配線工事など |
人件費 | 事業遂行に直接従事する者の人件費 |
申請の難易度と注意点
令和5年度の公募では、1次・2次ともに交付決定に至った申請はありませんでした。これは、地方公共団体を巻き込んだコンソーシアム形成や、技術的・法規的に複雑な事業計画の策定など、申請要件のハードルが非常に高いことを示唆しています。申請を検討する際は、専門家や関係機関と早期に連携し、綿密な準備を進めることが不可欠です。
採択事例(計画策定支援事業)
本事業には、構築の前段階である「計画策定」を支援する事業もあります。参考として、令和5年度に採択された株式会社アドバンテックの事例をご紹介します。
愛媛県西条市における地域マイクログリッドのマスタープラン策定
同社は、創業地である愛媛県西条市の「石鎚山ハイウェイオアシス」周辺を対象に、太陽光発電や蓄電システムを活用したマイクログリッドのマスタープランを策定しました。この計画は、地域のレジリエンス強化とエネルギーの地産地消を目指すもので、将来的には配電ライセンスの取得も視野に入れています。
まとめ
「地域独立系統構築支援事業」は、災害に強い社会を実現するための重要な補助金です。申請要件は厳しいものの、採択されれば地域全体の防災力向上に大きく貢献できます。令和5年度の公募は終了しましたが、エネルギー政策の動向を踏まえ、今後も同様の支援事業が実施される可能性があります。関心のある事業者は、公式サイトで最新情報を確認し、次回の公募に備えましょう。