この記事では、資源の安定確保と循環経済の実現を目指す「令和4年度第2次補正 資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業費補助金」について詳しく解説します。公募はすでに終了していますが、今後の同様の補助金申請の参考としてご活用ください。
補助金の概要
補助金名 | 令和4年度第2次補正 資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業費補助金 |
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目的 | 先進的な資源循環技術の社会実装を通じて、循環経済モデルのトップランナーとなる自律型資源循環システムを構築し、我が国の戦略的自律性・不可欠性を確保し、国際競争力を獲得すること。 |
対象者 | 資源循環システムの構築に必要な設備導入を行う民間企業等(大企業、中小企業など) |
補助率 | 中小企業等:1/2以内、大企業等:1/3以内 |
補助上限額 | 1件あたりの上限設定なし |
公募期間 | 一次~三次公募まで全て終了済み(最終締切:2023年9月1日) |
この補助金の重要ポイント
本事業はエネルギー対策特別会計を財源としており、事業実施による二酸化炭素(CO2)の排出量削減が極めて重要です。申請時には、算出過程を含むCO2削減量の根拠を明示する必要があり、事業完了後には実績報告が求められます。
補助対象となる7つの事業区分
本補助金は、以下の7つの事業区分における設備導入を支援します。自社の取り組みがどの区分に該当するか確認しましょう。
① 希少金属のリサイクル技術
リサイクルが困難な設備に含まれるレアアース等の安価回収技術や、リチウム等の金属資源高効率回収技術に係る設備が対象です。(例:大型蓄電池の解体装置、低環境負荷なブラックマス製造装置)
② 電気電子製品のLiB安全処理技術
電気電子製品に含まれるリチウムイオン電池(LiB)の安全処理を確保するための選別・解体・リサイクル技術に係る設備が対象です。(例:小型家電に含まれるLiBの光学選別・除去装置)
③ 自動車のLiB自動化システム
自動車に含まれるリチウムイオン電池の選別・解体を自動化するシステムや、劣化診断技術に係る設備が対象です。(例:自動車バッテリー自動取り出し装置、バッテリー劣化診断装置)
④ 包装・プラスチックの高度化技術
電子透かし技術や複合素材プラスチックの脱色・易分離技術に係る設備が対象です。(例:電子透かし技術搭載製品の選別装置、プラスチックの脱色に係るアルカリ処理設備)
⑤ プラスチックの高度な資源循環技術
プラスチック資源循環促進法に基づき回収されるプラスチックの高度な資源循環(マテリアル/ケミカルリサイクル)に資する技術に係る設備が対象です。(例:プラスチック資源の選別装置、リサイクル装置)
⑥ 繊維のリサイクル技術
エネルギー使用量の少ないケミカルリサイクル、混紡品等の再生技術、高付加価値なマテリアルリサイクル技術に係る設備が対象です。(例:ケミカルリサイクルに係る成分分離・抽出装置、マテリアルリサイクルに係る繊維生成装置)
⑦ 資源循環モデルの社会実装
大阪・関西万博や自治体と連携し、資源循環モデルを社会実装するための技術に係る設備が対象です。(例:万博内で発生する廃棄物の高度循環処理装置、資源循環の情報共有連携基盤システム)
採択事例の紹介
本事業では、多様な企業が採択されています。ここでは一部の事例をご紹介します。
- 帝人フロンティア株式会社: ポリエステル繊維製品のケミカルリサイクルに係る異成分の分離と溶剤循環利用に資する設備の設置事業
- 株式会社日本パープル: 機密古紙リサイクル施設のLiB混入リスクを踏まえたAI検知による火災延焼防止対策の実装・検証
- 株式会社W TOKYO: 水循環型サーキュラーバイオトイレの大阪関西万博への導入事業
- 株式会社東盛: 工業雑品のシュレッダー残渣を高度選別し、高品位再生プラ原料に水平マテリアルリサイクルする実証事業
申請プロセス(参考)
本補助金の申請は電子申請システム「jGrants」を通じて行われました。一般的なプロセスは以下の通りです。
- 公募要領の確認: 事業内容、要件、必要書類などを公式サイトで熟読します。
- GビズIDプライムの取得: jGrantsでの申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。
- 申請書類の作成: 事業計画書やCO2削減量の算出根拠など、指定された書類を作成します。
- jGrantsでの申請: 公募期間内にjGrantsから電子申請を行います。
- 審査・採択: 審査委員会による審査を経て、採択事業者が決定・公表されます。
- 事業実施・報告: 交付決定後、計画に沿って事業を実施し、完了後に実績報告書を提出します。
まとめ
「資源循環システム強靭化実証事業費補助金」は、脱炭素社会と循環型経済の実現に貢献する先進的な設備投資を強力に後押しする制度です。補助上限額がなく、大規模な投資にも対応可能な点が大きな特徴でした。公募は終了しましたが、今後も同様の趣旨を持つ補助金が公募される可能性があります。本記事の内容を参考に、自社の事業計画と照らし合わせ、次回のチャンスに備えましょう。