我が国の資源自律と国際競争力強化を目指す「資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業費補助金」。本記事では、令和4年度第2次補正予算で実施された本補助金の目的、対象事業、補助率、採択事例などを分かりやすく解説します。
※本補助金の公募は全て終了しています。次年度以降の参考にしてください。
資源循環システム強靭化実証事業費補助金とは？
この補助金は、電気電子製品やバッテリー、プラスチック、繊維などの資源循環システムを構築するために必要な先進的な機器や設備の導入を支援するものです。国内の資源循環技術の社会実装を加速させ、循環経済モデルのトップランナーとなることを目的としています。
この補助金の重要ポイント
- 目的: 先進的な資源循環技術の社会実装を通じて、我が国の戦略的自律性と国際競争力を確保する。
- 財源: エネルギー対策特別会計を財源としており、事業実施による二酸化炭素(CO2)の排出量削減が必須要件となります。
- 対象: レアメタル回収、バッテリーリサイクル、プラスチック高度資源循環など、幅広い分野の設備投資が対象です。
補助金の概要
| 項目 |
内容 |
| 補助対象者 |
資源循環システムの構築に取り組む民間企業等（大企業、中小企業） |
| 補助率 |
中小企業等：1/2以内、大企業等：1/3以内 |
| 補助金上限額 |
上限なし |
| 公募期間 (参考) |
一次～三次公募まで実施（全て令和5年に終了） |
| 事業期間 (参考) |
交付決定日～令和6年2月29日 |
補助対象となる7つの事業区分
本補助金では、以下の7つの事業区分で公募が行われました。
- ① 希少金属: レアアースの安価回収技術やリチウム等の高効率回収技術に係る設備
- ② 電気電子製品のLiB: 安全処理を確保するための選別・解体・リサイクル技術に係る設備
- ③ 自動車のLiB: 選別・解体の自動化システムや劣化診断技術に係る設備
- ④ 包装・プラスチック: 電子透かし技術や複合素材の脱色・易分離技術に係る設備
- ⑤ プラスチック: プラスチック資源循環促進法に基づく高度な資源循環に資する技術に係る設備
- ⑥ 繊維: 省エネなケミカルリサイクル、混紡品等の再生技術、高品質なマテリアルリサイクル技術に係る設備
- ⑦ 社会実装モデル: 大阪・関西万博や自治体と連携した廃棄物の高度循環処理装置や情報共有システム等
採択事例の紹介
実際にどのような事業が採択されたのか、一部の事例をご紹介します。自社の取り組みの参考にしてください。
| 採択事業者 |
事業概要 |
| 株式会社アクト |
低コスト化・高信頼性リユースLiB製造プロジェクト |
| 帝人フロンティア株式会社 |
ポリエステル繊維製品のケミカルリサイクルに係る異成分の分離と溶剤循環利用に資する設備の設置事業 |
| 株式会社ナカダイ |
廃プラスチック類の高品質再生資源化による国内資源循環とCO2削減を実現する実証事業 |
| 株式会社日本パープル |
機密古紙リサイクル施設のLiB混入リスクを踏まえたAI検知による火災延焼防止対策の実装・検証 |
まとめ
「資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業費補助金」は、脱炭素社会と循環経済の実現に向けた設備投資を強力に後押しする制度です。補助上限がなく、大規模な投資にも活用できる点が大きな魅力です。
令和4年度補正予算の公募は終了しましたが、同様の趣旨の補助金が今後も公募される可能性があります。資源循環やCO2削減に関連する設備投資を検討している事業者は、公式サイトで最新情報を定期的にチェックし、次回の公募に備えましょう。
