離島のエネルギーインフラを支える補助金
離島における石油製品の安定供給は、住民の生活や地域産業にとって不可欠なライフラインです。しかし、小口海上輸送によるコスト増や設備の老朽化など、多くの課題を抱えています。この記事では、こうした課題解決を支援する経済産業省の「離島への石油製品の安定・効率的な供給体制の構築支援事業」について、令和5年度の公募情報を基に、その目的や支援内容を詳しく解説します。
※本記事で紹介する令和5年度の公募はすでに終了しています。次年度以降の申請に向けた参考情報としてご活用ください。
事業の概要と2つの支援メニュー
本事業は、離島における石油製品(ガソリン、軽油、灯油、重油)の安定的かつ効率的な供給体制の確保を目的としています。具体的には、以下の2つのメニューで事業者を支援します。
① コンソーシアムによる流通合理化・安定供給対策の策定
地域の関係者が連携し、コンソーシアムを形成して、石油製品の流通合理化や安定供給に向けた具体的な対策を策定する取り組みを支援します。協議会等を開催し、共同油槽所の整備や配送体制の見直し、災害時を想定した備蓄体制の検討などを行います。
② 離島の油槽所設備等の維持
離島における石油製品供給の拠点となる油槽所(タンカーからの受け入れ施設)の維持に必要な経費を支援します。設備の老朽化対策などを通じて、供給体制の基盤を強化することを目的としています。
補助額と補助率
支援メニューごとに補助率と上限額が異なります。特に油槽所設備の維持では最大1億円という大規模な支援が特徴です。
支援メニュー | 補助率 | 上限額(1事業あたり) |
---|---|---|
① 流通合理化・安定供給対策の策定 | 定額(10/10) | 1,000万円 |
② 離島の油槽所設備等の維持 | 1/2 | 1億円 |
対象となる事業者
申請には、それぞれのメニューで定められた要件を満たす必要があります。
① 流通合理化・安定供給対策の策定
地方公共団体の参画が必須となるコンソーシアムの代表団体が対象です。コンソーシアムは、地域の企業(元売・特約店・地元販売店等)、NPO法人、組合団体、研究機関などで構成されます。
② 離島の油槽所設備等の維持
離島に所在する油槽所の所有者または管理者(地方公共団体、企業、組合団体等)が対象です。申請には、油槽所が所在する地方公共団体や島内給油所等からの推薦が必要です。なお、企業の場合、大企業は対象外となります。
補助対象となる経費
本事業では、事業遂行に直接必要な経費が幅広く対象となります。主な経費項目は以下の通りです。
- 人件費: 事業に直接従事する者の作業時間に対する人件費。
- 事業費:
- 委員会費(委員謝金、旅費、会議費、資料作成費)
- 職員旅費
- 印刷費、通信運搬費
- 補助職員人件費
- 機器等賃借料、広報費、消耗品費など
- 業務委託費: コンサルタントへの調査委託など、事業者が直接実施できない業務にかかる経費。
経費に関する注意点
補助対象経費を計上する際は、事業目標の達成に真に必要な経費であるか、合理性・経済性の観点から精査されます。また、原則として消費税及び地方消費税は補助対象経費から除外して申請する必要がありますのでご注意ください。
申請スケジュール(令和5年度実績)
令和5年度の公募は複数回の締切を設けて実施されました。予算額に達し次第、募集が終了する形式でした。
- 公募期間: 令和5年6月16日(金)~9月29日(金)17時まで
- 一次締切: 7月7日(金)
- 二次締切: 8月31日(木)
- 三次締切: 9月29日(金)
【本年度の公募は終了しました】
申請方法と問い合わせ先
申請は、補助金申請システム「Jグランツ」のほか、郵送やメールでも受け付けていました。申請を検討する際は、公募要領を熟読し、不明な点は事務局へ問い合わせることが重要です。
【事務局・問い合わせ先】
株式会社日本能率協会総合研究所 担当:加藤・村田
〒105-0011 東京都港区芝公園3-1-22
電話:03-3578-7512
メールアドレス: area_plan(at)jmar.co.jp ※(at)は@に置き換えてください。
まとめ:次年度公募に向けた準備のポイント
「離島への石油製品の安定・効率的な供給体制の構築支援事業」は、離島のエネルギーインフラを維持・強化するために非常に重要な制度です。
- 連携体制の構築:特に「対策の策定」メニューでは、地方公共団体を含むコンソーシアムの形成が必須です。早い段階から関係者との協議を始めましょう。
- 事業計画の具体化:地域の課題を明確にし、それを解決するための具体的な事業計画を練ることが採択の鍵となります。
- 情報収集:公式サイトでは過去の事業実施事例も公開されています。これらを参考に、自地域の取り組みを検討することをおすすめします。
次年度以降の公募に向けて、今から準備を進めてみてはいかがでしょうか。