需要家主導型太陽光発電導入支援事業とは?
本事業は、再生可能エネルギーの利用を希望する需要家、小売電気事業者、発電事業者が連携し、発電事業者が太陽光発電設備や蓄電池を導入する際の経費の一部を補助する制度です。FIT/FIP制度に頼らない自立的な再エネ導入モデルの普及と、安定的なエネルギー需給構造の構築を目的としています。
事業モデルのイメージ
- 契約締結: 再エネ利用を希望する需要家が、発電事業者と長期間の電気利用契約を締結します。(※実際の契約は小売電気事業者を介します)
- 設備導入・電力供給: 発電事業者は契約に基づき、太陽光発電設備等を設置し、需要家へ電気を供給します。
- 費用補助: 国が発電事業者に対し、太陽光発電設備および蓄電池の設置費用の一部を補助します。
補助金の概要(令和5年度補正予算)
事業名 | 需要家主導型太陽光発電導入支援事業 |
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実施組織 | 需要家主導型太陽光・蓄電池導入支援事務局 |
公募期間 | 三次公募:2025年1月6日〜1月17日 ※公募は全て終了しました |
対象者 | 特定の需要家に電気を供給するために、新たに太陽光発電設備を設置する法人(発電事業者など) |
対象設備 | 太陽光発電設備、電源併設型蓄電池 |
【重要なお知らせ】
公式サイトにて「来年度の募集は予定しておりません」との記載があります。本記事は令和5年度補正予算事業の内容です。今後の動向については、公式サイトをご確認ください。
補助対象者と主な要件
本事業の補助対象者は「特定の需要家に電気を供給するために新たに太陽光発電設備を設置する者」です。申請には、以下の主要な要件を満たす必要があります。
要件1: 非FIT・非FIPであること
補助対象となる設備は、FIT(固定価格買取制度)やFIP(Feed-in Premium)制度の認定計画に含まれないものに限られます。また、自己託送も対象外です。
要件2: 設備規模と単価
合計2MW以上の新設設備が対象です。また、補助対象経費には以下の単価要件が設定されています。
設備 | 単価要件 |
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太陽光発電設備(蓄電池除く) | 23.9万円/kW (ACベース) 未満 |
太陽光発電設備(蓄電池導入地点) | 15.8万円/kW (DCベース) 未満 |
蓄電池 | 12万円/kWh 以下 |
※複数地点の合計も可(1地点30kW以上、平均50kW以上など詳細要件あり)。申請時に系統連系に係る接続検討の回答を得ていることが原則です。
要件3: 運転開始時期
原則として、単年度事業は令和7(2025)年2月28日まで、複数年度事業は最長で令和9(2027)年2月26日までに運転を開始する必要があります。
要件4: 8年以上の長期利用契約
補助対象事業者、小売電気事業者、需要家の間で、8年以上にわたり、発電量の7割以上を利用する契約を締結する必要があります。
要件5: ガイドラインの遵守
再エネ特措法に基づく「事業計画策定ガイドライン」や「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」などを遵守し、地域住民への配慮を行うことが求められます。
申請手続きの流れ
申請は、デジタル庁が運営する電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用して行います。
STEP 01: gBizIDの準備
jGrantsの利用には「gBizIDプライム」アカウントが必須です。未取得の場合は、まずgBizIDの公式サイトから登録申請を行ってください。
ご注意:gBizIDの発行には通常1週間程度かかります。公募期間に間に合うよう、早めに準備を進めましょう。
STEP 02: 申請様式の作成
公式サイトから申請様式や作成ガイドをダウンロードし、必要事項を記入します。事業計画などを詳細に記述する必要があります。
STEP 03: jGrantsで電子申請
作成した申請書類をjGrantsシステムにアップロードし、申請手続きを完了させます。郵送やメールでの申請は受け付けられません。
まとめ
「需要家主導型太陽光発電導入支援事業」は、需要家と発電事業者が連携して非FIT/FIPの太陽光発電を導入する、新しい再エネ普及モデルを支援する重要な補助金です。要件は複雑ですが、大規模な設備導入を計画している事業者にとっては大きなチャンスとなります。
令和5年度補正予算の公募は終了し、来年度の募集は予定されていないとのことですが、同様の趣旨を持つ後継事業が登場する可能性もあります。再エネ導入を検討されている事業者の皆様は、引き続き経済産業省や関連機関の発表に注目しておくことをお勧めします。