【重要】公募受付終了のお知らせ
本事業の公募は、令和6年10月28日(月)をもってすべて終了いたしました。この記事は、今後の同様の支援事業に備えるための参考情報としてご活用ください。
CO2排出削減困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業とは?
この事業は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、鉄鋼、化学、紙パルプ、セメントといったCO2排出削減が特に困難な産業を対象とした、経済産業省による大規模な支援制度です。エネルギー転換や製造プロセスの革新に必要な設備投資等を支援し、日本の産業競争力強化と脱炭素社会の実現を両立させることを目的としています。
この事業のポイント
- 鉄鋼、化学、紙パルプ、セメント等の特定産業に特化した支援。
- GX(グリーン・トランスフォーメーション)に向けた大規模投資を後押し。
- 総額4,844億円(令和10年度まで)という非常に大きな予算規模。
- 事業内容に応じて、最大1/2の補助が受けられる。
補助金の概要
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 排出削減が困難な産業において、エネルギー・製造プロセス等の転換を図り、排出量削減及び産業競争力強化につなげる。 |
対象事業者 | 鉄鋼、化学、紙パルプ、セメント等のCO2排出削減が困難な産業に属する事業者 |
予算額 | 4,844億円(事業Ⅰと事業Ⅱの合計額/令和10年度までの国庫債務負担含む) |
補助率 | 原則1/3以内、構造転換を伴う場合は1/2以内 |
対象経費 | 設計費、設備費、建物等取得費、システム整備費など |
事業期間 | 交付決定日〜令和11年2月28日 |
申請期間(終了) | 事業I: 令和6年10月8日〜10月28日 事業II: 令和6年9月25日〜10月28日 |
2つの事業内容を解説
本事業は、対象となる産業分野によって2つの事業に分かれていました。
事業I:鉄鋼産業向け
- 目的:製造プロセス転換に必要な設備投資を支援し、トランジション期におけるカーボンニュートラルへの取組を推進。
- 補助率:製造プロセス転換 1/3以内
事業II:化学・紙パルプ・セメント等向け
- 目的:自家発電設備等の燃料転換や製造プロセス転換に必要な設備投資を支援。
- 補助率:
- 燃料転換:1/3以内
- 製造プロセス転換:1/3以内
- 構造転換(燃料転換):1/2以内
- 構造転換(製造プロセス転換):1/2以内
採択事例:日本製紙株式会社に見る成功のポイント
実際にどのような事業が採択されたのか、事業IIで採択された日本製紙株式会社の事例を見てみましょう。これは、今後の補助金活用を考える上で非常に重要なヒントとなります。
採択事業の概要:石巻工場GHG排出量大幅削減事業
同社は、石巻工場において高効率な黒液回収ボイラーを導入し、石炭ボイラーを停機。燃料を石炭からバイオマス燃料である黒液へ転換することで、GHG排出量を大幅に削減する計画です。
項目 | 計画内容 |
---|---|
投資規模 | 555億円 |
政府支援上限額 | 183億円 |
GHG排出量削減効果 | 年間約50万t-CO2e(同社排出量の約10%に相当) |
稼働開始予定 | 2028年度 第4四半期 |
成功の鍵は「バイオリファイナリー構想」との連携
この計画が採択された大きな要因は、単なる燃料転換に留まらない点にあります。同社が掲げる「バイオリファイナリー構想(木材から新たなバイオマス素材を生み出す事業構造転換)」という明確な成長戦略と、今回の設備投資が密接に連携しています。GHG排出量を削減したグリーンな製造プロセスで、付加価値の高いバイオマス製品(機能性セルロース、バイオエタノール等)を生み出し、国際競争力を強化するというストーリーが、国のGX戦略と完全に合致したのです。
今後の補助金申請へのヒント
大規模な補助金を目指す際は、単に設備を更新するだけでなく、その投資が自社の将来の成長戦略や事業構造の転換にどう貢献するのか、そしてそれが国の政策(GX、DXなど)とどう合致するのかを明確に示すことが、採択の可能性を大きく高める鍵となります。
申請プロセスと注意点(参考情報)
本事業の申請は電子申請システム「jGrants」を利用して行われました。今後の同様の国プロ事業でもjGrantsが利用される可能性は高いため、プロセスを把握しておくことが重要です。
申請の基本的な流れ
- GビズIDプライムアカウントの取得:電子申請に必須のアカウントです。取得には数週間かかる場合があります。
- 公募要領の確認と事業計画の策定:補助金の目的を理解し、詳細な事業計画書や必要書類を準備します。
- jGrantsでの電子申請:公募期間内にシステム上で必要情報を入力し、書類をアップロードして申請します。
- 審査・採択・交付決定:事務局による審査を経て、採択が決定されると事業開始となります。
最重要ポイント:GビズIDの事前準備
国の補助金申請では「GビズIDプライムアカウント」が必須となるケースがほとんどです。アカウント発行には郵送での手続きが必要で、2〜3週間以上かかることもあります。「公募が始まってから準備」では間に合わない可能性が高いため、補助金活用を検討している事業者は、いますぐにでも取得しておくことを強くお勧めします。
公式情報・お問い合わせ先
本事業の詳細や採択結果、公募要領などの公式資料は、以下の特設サイトで確認できます。
事務局 | 排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業事務局 |
お問い合わせ先 | 事務局コールセンター TEL: 03-6734-7800 (受付時間:平日9時~17時 ※土日祝を除く) |