この記事では、全国石油商業組合連合会(全石連)が経済産業省の補助事業として実施した「SS人材育成研修」の事業実施者公募について解説します。本公募は2023年8月31日に終了していますが、今後の同様の事業に備えるための重要な参考情報となります。
SS人材育成研修 事業実施者公募の概要
本事業は、2050年カーボンニュートラル社会を見据え、サービスステーション(SS)が直面する事業環境の変化に対応するため、SSの事業再構築・経営力強化を目的とした人材育成研修を実施するものです。全国石油商業組合連合会が、この研修を企画・運営する優れた提案を持つ事業者を公募しました。
事業名 | 令和4年度補正 人材育成支援事業のうちSS人材育成研修 |
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実施主体 | 全国石油商業組合連合会(経済産業省補助事業) |
公募期間 | 2023年8月10日(木)~ 2023年8月31日(木)(※公募終了) |
対象者 | 石油販売業界および人材育成分野に精通し、事業遂行に必要な能力・経営基盤を有する民間企業等 |
予算上限額 | 研修科目により異なる(最大2,800万円) |
募集された4つの研修テーマ
公募では、SS事業者のニーズに応じた以下の4つの研修テーマについて、事業内容の提案と実施者が募集されました。各テーマで1件の事業者が採択される計画でした。
ア.【経営者向け】カーボンニュートラル社会に向けたSSの方向性
水素・合成燃料の展望や総合エネルギー拠点化など、今後のSS経営の判断に資する実践的な研修。全国35か所での開催が計画されました。
予算上限額:2,800万円
イ.【経営者・マネージャー向け】SSにおけるDXとその実践
業務効率化や売上向上に繋がるITツールの活用法やDXについて学ぶ研修。全国32か所での開催が計画されました。
予算上限額:2,560万円
ウ.【従業員向け】EV整備技術研修
電気自動車(EV)など次世代自動車の整備技能を、座学と実車を用いた実習で学ぶ研修。全国25か所での開催が計画されました。
予算上限額:2,000万円
エ.【従業員向け】スキャンツール活用整備技術研修
SSでの整備作業に不可欠なスキャンツールの活用技能を、座学と実習で学ぶ研修。全国30か所での開催が計画されました。
予算上限額:2,400万円
提案に求められた重要ポイント
- SS事業者の実情に即した実践的な内容であること。
- 具体的な成功事例を最低2件以上取り上げること(テーマ ア、イ)。
- 受講者用のテキストを作成・配布すること。
- 研修後に理解度を確認するためのテスト及びアンケートを実施すること。
応募資格と申請プロセス
主な応募資格
本事業の実施者には、以下の条件を満たすことが求められました。
- 事業遂行に必要な能力、知識、経験(特に石油販売業界、人材育成分野)を有すること。
- 事業を円滑に遂行する経営基盤と資金管理能力を有し、概ね6か月程度の費用立替ができること。
- 暴力団排除に関する誓約事項に該当しないこと。
- 過去の契約において重大な問題を起こしていないこと。
申請から事業開始までの流れ
申請は以下のステップで進められました。
- 応募書類の準備:全石連ホームページから指定様式をダウンロードし、申請書、事業提案書、企業概要、財務諸表などを作成。
- メールで提出:準備した応募書類を、指定のメールアドレスへ期限内に送付。
- 審査:外部有識者で構成される審査委員会が、提案内容の適切性、金額の妥当性、技術的能力などを審査。
- 採択・契約:審査結果が通知され、採択された申請者と全石連が業務委託契約を締結。
- 事業開始:契約締結後、2024年3月8日までに事業を完了し、実績報告書を提出。
注意点:経理処理について
本事業の経費計上は、経済産業省の「委託事業事務処理マニュアル」に準拠する必要がありました。相見積もりの取得や、支出を証明する証拠書類の厳格な管理が求められるなど、高度な事務処理能力が必要とされます。
まとめと今後の展望
この「SS人材育成研修」事業実施者公募は、SS業界が直面する課題解決に貢献できる、専門性と実行力を持つ事業者にとって大きなチャンスでした。公募は終了しましたが、SS業界の人材育成の重要性は今後ますます高まることが予想されます。
同様の委託事業が今後も公募される可能性がありますので、研修事業やコンサルティングを手掛ける企業は、全国石油商業組合連合会のウェブサイトを定期的にチェックすることをおすすめします。