病院内で携帯電話が繋がりにくい、災害時の通信手段に不安がある、といった課題を抱える医療機関関係者の皆様へ。総務省が実施する「無線システム普及支援事業費等補助金(電波遮へい対策事業)」は、医療施設内の電波不感地帯を解消するための設備投資を支援する制度です。この記事では、補助金の概要から対象要件、過去の採択事例までを分かりやすく解説します。
無線システム普及支援事業費等補助金とは?
本補助金は、道路トンネルや鉄道トンネル、そして特定の医療施設など、電波が遮断されやすい場所において、携帯電話などの移動通信を可能にする中継施設の整備費用の一部を国が補助する制度です。特に医療施設においては、災害時の通信インフラ確保という重要な役割を担います。
補助金の概要
項目 | 内容 |
---|---|
実施機関 | 総務省 |
目的 | 医療施設等の電波不感地帯において移動通信用中継施設を整備し、通信環境を改善する |
対象事業者 | 一般社団法人等 |
補助率 | 1/3 |
公募状況 | 令和5年度の公募は終了(次年度以降の参考にしてください) |
補助対象となる要件
対象となる施設
全ての医療施設が対象となるわけではありません。以下の条件を満たす必要があります。
支援対象となる医療施設の条件
- 基幹災害拠点病院 または 地域災害拠点病院であること
- 病床数が概ね300床以上であること
- その二次医療圏が「地方都市」又は「過疎地域」であること
※これらの条件は、災害時における医療提供体制と通信インフラの維持を特に重視しているためです。
対象となる経費
補助の対象となるのは、移動通信用中継施設の整備に必要な以下の設備等です。
- 鉄塔
- 局舎
- アンテナ
- 光ケーブル
- その他、事業実施に不可欠な設備
申請手続きの流れ(一般的な例)
令和5年度の公募は終了していますが、一般的な申請プロセスは以下の通りです。次年度の参考にしてください。
- 公募期間の確認: 総務省のウェブサイトで公募情報を確認します。例年、年度初めに公募が開始されることが多いです。
- 申請書類の準備: 公募要領に従い、事業計画書や経費の見積もりなど、必要な書類を作成します。
- 申請: Jグランツ(電子申請システム)や電子メール等、指定された方法で期間内に申請します。
- 審査・交付決定: 提出された書類に基づき審査が行われ、採択されると交付が決定します。
- 事業実施・報告: 計画に沿って事業を実施し、完了後に実績報告書を提出します。
令和5年度の採択事例
参考として、令和5年10月12日に交付が決定した医療施設の事例をご紹介します。
対象施設 | 総事業費 | 補助金額 |
---|---|---|
松阪中央総合病院(三重県) | 123,328千円 | 41,109千円 |
彦根市立病院(滋賀県) | 96,226千円 | 32,075千円 |
まとめと次年度への備え
「無線システム普及支援事業費等補助金」は、災害拠点病院としての機能強化や患者サービスの向上に直結する重要な制度です。対象となる医療施設は限定されますが、設備投資費用の1/3という大きな支援が受けられます。
今年度の公募は終了しましたが、来年度以降も事業が継続される可能性があります。対象となりうる医療機関の関係者様は、今のうちから情報収集を開始し、次回の公募に備えることをお勧めします。