はじめに:令和7年度ZEB実証事業とは?
建物の省エネ・脱炭素化は、現代の企業にとって避けて通れない重要な経営課題です。経済産業省が推進する「令和7年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」は、そんな課題解決を強力に後押しする補助金です。この事業は、先進的な省エネ技術や高性能な建材を導入し、エネルギー消費を大幅に削減する「ZEB(ゼブ)」の実現を目指す事業者を支援します。本記事では、この補助金の概要から申請のポイントまでを分かりやすく解説します。
【重要】本年度の公募は受付を終了しました
令和7年度の公募(一次・二次)はすべて受付を終了しています。本記事は次年度以降の申請に向けた参考情報としてご活用ください。最新情報は公式サイトで必ずご確認ください。
補助金の概要
まずは、本事業の基本的な情報を表で確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 令和7年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業 |
実施機関 | 一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) |
補助額 | 最大5億円/年 |
補助率 | 補助対象経費の2/3以内 |
対象者 | 建築主等(所有者)、ESCO事業者、リース事業者など |
公募期間 | 一次:2025年7月9日終了 二次:2025年9月26日終了 |
そもそもZEB(ゼブ)とは?
ZEB(Net Zero Energy Building)とは、快適な室内環境を保ちながら、建物の高断熱化や高効率な設備導入による「省エネ」と、太陽光発電などによる「創エネ」を組み合わせることで、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した建築物のことです。ZEBは省エネ性能に応じて、以下の4段階に分類されます。
種類 | 概要 |
---|---|
ZEB | 省エネ(50%以上)+創エネで、エネルギー消費量を実質ゼロまたはマイナス(100%以上削減) |
Nearly ZEB | 省エネ(50%以上)+創エネで、エネルギー消費量を75%以上削減 |
ZEB Ready | 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減を達成した建物 |
ZEB Oriented | 延べ面積1万㎡以上の大規模建築物で、外皮の高性能化や高効率設備導入により省エネを実現した建物 |
補助対象となる事業の要件
本事業の補助対象となるには、いくつかの要件を満たす必要があります。特に重要なのが「選択必須要件」です。
選択必須要件となる技術
申請にあたっては、以下に示す15の先進的な省エネ技術のうち、少なくとも1つ以上を導入する必要があります。
- CO2濃度による外気量制御
- 自然換気システム
- 空調ポンプ制御の高度化
- 空調ファン制御の高度化
- 冷却塔ファン・インバータ制御
- 照明のゾーニング制御
- フリークーリング
- デシカント空調システム
- クール・ヒートトレンチシステム
- ハイブリッド給湯システム等
- 地中熱利用の高度化
- コージェネレーション設備の高度化
- 自然採光システム
- 超高効率変圧器
- 熱回収ヒートポンプ
申請の流れとスケジュール
申請は、政府の電子申請システム「jGrants」を利用して行います。大まかな流れは以下の通りです。
- GビズIDプライムアカウントの取得
jGrantsの利用に必須です。取得に2週間程度かかる場合があるため、早めに手続きを行いましょう。 - 公募要領・申請書類の準備
公式サイトから最新の公募要領や申請様式をダウンロードし、事業計画書などを作成します。 - jGrantsでの電子申請
公募期間内に、jGrants上で必要事項を入力し、作成した書類をアップロードして申請を完了させます。 - 審査
学識経験者などで構成される審査委員会により、省エネ効果や費用対効果などが厳正に審査されます。 - 交付決定
審査を通過すると交付が決定され、事業を開始できます。
申請の重要ポイントと注意点
ZEB補助金の申請は専門性が高く、準備に時間も要します。採択率を高めるためのポイントと注意点を押さえておきましょう。
【ポイント】ZEBプランナーとの連携が採択への鍵!
ZEBの実現には、建築設計や省エネ計算など高度な専門知識が不可欠です。SIIに登録された「ZEBプランナー」は、ZEB導入のコンサルティングから設計、補助金申請支援までを行う専門家です。事業計画の策定段階からZEBプランナーに相談することで、計画の実現性が高まり、採択の可能性を大きく向上させることができます。
【注意点】複雑な書類と徹底したスケジュール管理
申請には事業計画書や設計図面、省エネ性能の計算書など、多数の専門的な書類が必要です。これらの作成には時間がかかるため、公募開始前から準備を進めることが重要です。公募期間は限られているため、余裕を持ったスケジュール管理を徹底しましょう。
まとめ
「令和7年度 ZEB実証事業」は、ビルの脱炭素化とエネルギーコスト削減を実現するための非常に強力な支援制度です。補助額が大きく、企業の環境経営を大きく前進させるチャンスとなります。今年度の公募は終了しましたが、ZEB化の流れは今後も加速することが予想されます。次年度以降の公募に備え、今から情報収集やZEBプランナーへの相談を始めてみてはいかがでしょうか。