建築BIM加速化事業とは?建設業界のDXを強力に支援
建築BIM加速化事業は、国土交通省が主導する、建築業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための補助金制度です。設計から施工、維持管理までのプロセスにBIM(Building Information Modeling)を導入するプロジェクトに対し、設計費や建設工事費の一部を補助することで、業界全体の生産性向上と社会実装の加速化を目指します。
この補助金のポイント
- 元請事業者と協力事業者が連携してBIMを導入するプロジェクトが対象
- BIMソフトウェアや関連機器、人件費、講習費など幅広い経費が補助対象
- 建物の延床面積に応じて最大5,500万円の補助
- 申請はjGrantsによる電子申請が必須
補助金の概要
補助金名 |
令和5-6年度 建築BIM加速化事業 |
実施機関 |
国土交通省(建築BIM加速化事業実施支援室) |
目的 |
建築BIMの社会実装を加速化し、官民連携のDX投資を推進する環境整備を図る |
申請期間 |
代表事業者登録:令和6年1月22日~令和6年12月31日 ※受付は終了しました |
補助対象となるプロジェクトの要件
本補助金は、以下の要件を満たすプロジェクトが対象となります。
事業者の要件
- 元請事業者等と協力事業者(下請等)が連携し、建築BIMモデルを作成すること。
- 補助を受けようとする全事業者が「建築BIM活用事業者宣言」を行うこと。
- 元請事業者等は、維持管理の効率化に資するBIMモデルを整備する旨を宣言すること。
- 代表事業者は、建築士事務所として登録されているか、建設業の許可を受けている必要があります。
建築物の要件
- 耐火建築物等または準耐火建築物等であること。
- 建築物エネルギー消費性能基準に適合すること。
- 公共的通路等を整備すること。
- 原則として土砂災害特別警戒区域外に存すること。
- その他、敷地面積や延べ面積、階数に関する追加要件あり(詳細は募集要領参照)。
補助対象経費と補助限度額
補助対象経費
BIM導入に関連する以下の経費が補助対象となります。
- BIMソフトウェア利用費:モデリングソフト、アドオン、ビューワー等
- BIMソフトウェア関連費:PCリース料、ARゴーグルリース料等
- CDE環境構築費・利用費:クラウド環境の構築・利用料
- 人件費:BIMコーディネーター、BIMマネジャー、BIMモデラー(一部業務)
- BIM講習の実施費用:講師謝金、会場費、受講料等
補助限度額
補助限度額は、建築物の延床面積に応じて変動します。
延べ面積 |
設計費(上限) |
建設工事費(上限) |
10,000㎡未満 |
2,500万円 |
4,000万円 |
10,000㎡以上 30,000㎡未満 |
3,000万円 |
5,000万円 |
30,000㎡以上 |
3,500万円 |
5,500万円 |
申請から交付までの流れ
申請手続きは以下のステップで進められます。jGrantsの利用が必須となるため、事前の準備が重要です。
- 1gBizIDプライムの取得
jGrantsでの電子申請には「gBizIDプライム」または「gBizIDメンバー」のアカウントが必要です。取得には時間がかかるため、早めに手続きを行いましょう。
- 2代表事業者登録
実施支援室のホームページを通じて、代表事業者としての登録を行います。プロジェクト候補や補助金見込額などを記載します。
- 3交付申請 (jGrants)
プロジェクトごとに、jGrantsを利用して交付申請書を提出します。協力事業者分の情報も代表事業者が取りまとめて申請します。
- 4交付決定・事業実施
実施支援室の審査後、交付決定が通知されます。交付決定後、補助事業を開始します。(登録から交付決定までの経費も対象となる場合があります)
- 5完了実績報告
事業終了後、BIMモデルの作成状況や経費の実績などをjGrantsで報告します。
- 6額の確定・補助金交付
実績報告の審査後、補助金額が確定し、指定口座に振り込まれます。
申請時の注意点
- 交付申請の総額が予算額に達した場合、期間内でも申請が打ち切られます。
- 代表事業者として登録が完了しても、補助金の交付が保証されるわけではありません。
- 2万円以上の備品(ソフトウェア等含む)を購入した場合、プロジェクト終了時点での残存価値分は補助対象外となるため注意が必要です。
まとめ:BIM導入で未来の建築業界をリードする
建築BIM加速化事業は、BIM導入の初期コストを大幅に軽減し、企業の競争力強化を後押しする貴重な機会です。元請・協力会社が一体となって取り組むことで、プロジェクト全体の生産性向上や品質確保につながります。令和5-6年度の公募は終了しましたが、今後の動向に注目し、次回の公募に備えて情報収集を進めておくことをお勧めします。