小規模事業者の販路開拓や生産性向上を力強くサポートする「小規模事業者持続化補助金」。本記事では、数ある補助金の中でも特に人気の高い「一般型」について、過去の公募要領を基にその全貌を徹底解説します。今後の公募に備え、申請のポイントをしっかり押さえておきましょう。
📝 この記事のポイント
- 持続化補助金<一般型>の目的と概要がわかる
- 補助金の対象者、金額、対象経費がわかる
- 申請から受給までの具体的な流れがわかる
- 採択率を高めるための計画書作成のコツがわかる
※本記事は過去の公募情報(令和元年度補正・令和3年度補正予算)を基に作成しています。最新の公募情報は公式サイトをご確認ください。
小規模事業者持続化補助金<一般型>とは?
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を策定した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。働き方改革やインボイス制度導入など、事業環境の変化に対応するための力強い味方となります。
具体的には、新たな顧客層獲得のためのチラシ作成やWebサイト構築、店舗改装など、地道な販路開拓等の取り組みにかかる経費の一部が補助されます。
補助対象となる事業者(対象者)
補助対象となるのは、日本国内に所在する「小規模事業者」です。業種によって「常時使用する従業員の数」が定められています。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
💡 注意点
会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は「常時使用する従業員」には含まれません。また、資本金5億円以上の法人に100%株式保有されている事業者などは対象外となりますので、詳細は公募要領でご確認ください。
補助額と補助率
申請する枠によって補助上限額が異なります。自社の状況に合わせて最適な枠を選択することが重要です。
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 | 概要 |
---|---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 2/3 (賃金引上げ枠の赤字事業者は3/4) |
基本的な販路開拓等の取組 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 事業場内最低賃金の引上げに取り組む事業者 | |
卒業枠 | 200万円 | 雇用を増やし小規模事業者の規模を超える事業者 | |
後継者支援枠 | 200万円 | アトツギ甲子園ファイナリスト | |
創業枠 | 200万円 | 特定創業支援等事業の支援を受けた創業者 | |
インボイス枠 | 100万円 | インボイス発行事業者に転換する事業者 |
補助対象となる経費
販路開拓や生産性向上のための幅広い経費が対象となります。主な経費項目と活用事例は以下の通りです。
- ① 機械装置等費: 業務効率化のための製造装置、顧客向けサービスの提供に必要な設備など
- ② 広報費: 新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置、新聞・雑誌広告など
- ③ ウェブサイト関連費: ECサイトの構築・改修、インターネット広告、SEO対策費用など
- ④ 展示会等出展費: 国内外の展示会や商談会への出展料、関連する運搬費など
- ⑪ 委託・外注費: 店舗改装、バリアフリー化工事など、自社で実施困難な業務の依頼費用
その他、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費も対象となります。
⚠️ 経費に関する重要ルール
- ウェブサイト関連費は、補助金申請額の1/4が上限です。ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。
- パソコンや自動車(作業用機械設備を除く)など、汎用性が高く目的外使用になりえるものは対象外です。
- 経費の支払いは原則「銀行振込」です。10万円を超える現金払いは対象外となる場合があります。
申請から補助金受給までの流れ【10ステップ】
申請準備から補助金の入金まで、全体の流れを把握しておくことがスムーズな手続きの鍵です。
- 1申請の準備: 公募要領を熟読し、必要書類を確認。経営計画の骨子を練る。
- 2申請手続き: 地域の商工会・商工会議所に相談し、「事業支援計画書」の作成を依頼。
- 3申請内容の審査: 提出書類に基づき、外部有識者による審査が行われる。
- 4採択・交付決定: 採択後、「交付決定通知書」が届く。この通知書の日付以降の経費が補助対象。
- 5補助事業の実施: 計画に沿って販路開拓などの取組を実施。
- 6実績報告書の提出: 事業完了後、期限内に実績報告書と証拠書類を提出。
- 7確定検査・補助金額の確定: 事務局が報告書を検査し、補助金額が最終確定。
- 8補助金の請求: 「補助金確定通知書」に基づき、補助金を請求。
- 9補助金の入金: 指定口座に補助金が振り込まれる(後払い)。
- 10事業効果報告: 事業完了から1年後に、事業効果などを報告。
採択率を高めるためのポイント
持続化補助金は申請すれば必ず採択されるわけではありません。審査で高く評価されるためのポイントを押さえた事業計画書の作成が不可欠です。
1. 自社の強みと市場の特性を明確にする
「自社の経営状況を適切に把握しているか」「対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか」が審査の重要ポイントです。SWOT分析などを活用し、自社の強み・弱み、機会・脅威を客観的に分析しましょう。
2. 補助事業計画の具体性と実現可能性
「誰に」「何を」「どのように」提供するのか、補助事業の計画を具体的に記述することが求められます。計画が経営方針・目標達成のために必要不可欠かつ有効であることを論理的に説明しましょう。積算の根拠も明確に示す必要があります。
3. ITの有効活用と加点項目を意識する
ECサイトの構築やSNS活用、顧客管理システムの導入など、ITを有効活用する取り組みは評価されやすい傾向にあります。また、電子申請(Jグランツ)を行うだけで加点対象となる場合が多いため、積極的に活用しましょう。その他、事業承継や賃上げなども加点につながる可能性があります。
まとめと今後の動向
小規模事業者持続化補助金<一般型>は、小規模事業者が新たな一歩を踏み出すための強力な支援策です。補助対象経費の範囲が広く、様々な販路開拓の取り組みに活用できるのが大きな魅力です。
過去の公募は終了していますが、本補助金は国の重要な施策として今後も形を変えて公募される可能性が高いです。いざ公募が開始された際にスムーズに申請できるよう、今から自社の経営計画を見直し、どのような販路開拓に取り組むべきか検討を始めてみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
商工会地区の方
お近くの都道府県商工会連合会へお問い合わせください。
公式サイト: https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/
商工会議所地区の方
日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金事務局
電話: 03-6632-1502 (過去情報)
公式サイト: https://r3.jizokukahojokin.info/