災害時の事業継続計画(BCP)や地域住民の安全確保に不可欠なエネルギー供給。この補助金は、病院、避難所、福祉施設などの社会的重要インフラへ災害時に活躍するLPガス設備(災害バルク等)の導入を強力に支援する制度です。この記事では、その詳細と申請方法を分かりやすく解説します。
補助金の概要
まずは、本補助金の基本情報を表で確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(石油ガス災害バルク等の導入に係るもの) |
実施機関 | 一般財団法人エルピーガス振興センター |
補助対象 | 社会的重要インフラ施設への補助対象LPガス設備の購入・設置費用 |
補助率 | 中小企業者等: 2/3以内 / 大企業・地方公共団体等: 1/2以内 |
補助上限額 | 最大1億円(設備構成により変動) |
申請期間 | 公募制(詳細は公式サイトでご確認ください) |
この補助金の3つの重要ポイント
- ✅最大1億円の大型支援
発電機やコージェネレーションシステムを同時に導入する場合、最大1億円という手厚い補助が受けられます。災害時のエネルギー自立化を強力に後押しします。 - ✅中小企業は補助率2/3
中小企業者(一部除く)の場合、補助対象経費の3分の2以内という高い補助率が適用されます。初期投資の負担を大幅に軽減できます。 - ✅幅広い設備が対象
LPガスを貯蔵する容器だけでなく、それに接続する発電機、空調機器、コジェネレーション設備、GHP(ガスヒートポンプエアコン)なども対象となり、施設のニーズに合わせた柔軟な設備導入が可能です。
補助対象となる事業者と施設
本補助金は、災害時に重要な役割を担う特定の施設を運営する事業者が対象です。
対象となる施設
LPガス設備の設置場所が、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 避難困難者が多数生じる施設等: 病院、診療所、助産所、介護老人保健施設、介護医療院、社会福祉施設(老人ホーム、障がい者支援施設等)など。
- 公的避難所: 地方公共団体が災害時に避難所として指定した施設(学校、公民館など)。
- 一時避難所となり得る施設: 地方公共団体が災害時に避難所等として協定を締結した施設(民間ホテル、商業施設など)。
- 液化石油ガススタンド(LPガススタンド)
対象となる事業者
上記の施設を運営する、以下の法人格を持つ事業者が対象となります。
- 中小企業基本法に定める中小企業者
- 大企業
- 地方公共団体
- 医療法人、社会福祉法人など
補助対象経費と補助率・上限額
補助対象経費
補助の対象となるのは、以下の設備の購入費および設置工事費です。
- 設備費: 補助対象LPガス設備(災害バルク、発電機、空調機器、コジェネレーション設備等)の購入費用。
- 設備工事費: 上記設備の設置に係る工事費用。
補助率と補助上限額
補助率は事業者の規模によって異なり、補助上限額は導入する設備の組み合わせによって変わります。
区分 | 補助率 |
---|---|
中小企業者(一時避難所を除く) | 3分の2以内 |
その他(大企業、地方公共団体等) | 2分の1以内 |
導入設備の組み合わせ | 補助上限額 |
---|---|
LPガス容器・供給設備のみ | 1,000万円 |
LPガス設備(上記以外) | 5,000万円 |
LPガス設備 + 発電機 + (空調機 or コージェネ) | 1億円 |
申請手続きの流れ
申請から補助金受領までの大まかな流れは以下の通りです。
- 公募内容の確認・準備: エルピーガス振興センターの公式サイトで公募要領を確認し、申請書類を準備します。
- 交付申請書の提出: 定められた期間内に、必要書類を揃えて事務局に提出します。
- 審査・交付決定: 事務局および審査委員会による審査が行われ、採択されると交付決定通知書が届きます。
- 事業開始: 交付決定後に、設備の購入契約や設置工事を開始します。交付決定前の契約・発注は補助対象外となるため注意が必要です。
- 事業完了・実績報告: 設備の設置と支払いが完了したら、期限内に実績報告書を提出します。
- 補助金額の確定・支払い: 実績報告書の内容が審査され、補助金額が確定した後、指定の口座に補助金が振り込まれます。
申請における注意点
- 申請資格: 暴力団排除に関する誓約事項に同意する必要があります。また、法令違反等がある場合は申請できません。
- 事業完了期限: 原則として、交付決定を受けた年度の2月15日までに事業を完了させる必要があります。
- 消費税の扱い: 補助対象経費に含まれる消費税は、仕入税額控除の対象となる場合、補助金額から減額されます。
- 財産管理: 補助金で取得した財産(単価50万円以上)は、法定耐用年数の期間、適切に管理し、処分(譲渡、貸付等)する際には事前の承認が必要です。
まとめ
「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」は、災害大国である日本において、地域の防災拠点となる施設のレジリエンス(強靭性)を高めるために非常に有効な制度です。LPガスは災害時に供給が途絶えにくい「分散型エネルギー」であり、その備蓄は停電時やガス供給停止時にも暖房、給湯、調理、電力供給を可能にします。対象となる施設の運営者様は、ぜひ本補助金の活用をご検討ください。
お問い合わせ・公式サイト
最新の公募情報や詳細な申請要件については、必ず公式サイトをご確認ください。