この記事のポイント
2050年カーボンニュートラル実現に向け、企業の脱炭素化への移行(トランジション)を金融面から支援する補助金です。トランジション・ボンド/ローン発行時の第三者評価費用が最大1,000万円、補助率7/10で支援されます。企業のESG経営や大規模な資金調達を強力に後押しします。
温暖化対策促進事業費補助金(クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業)とは?
本事業は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた政府の重要政策の一環です。企業が脱炭素社会へ移行するための大規模な投資(トランジション投資)を行う際に利用する「クライメート・トランジション・ファイナンス」の普及を目的としています。具体的には、資金調達の信頼性を担保するために必要な第三者機関による評価費用の一部を補助することで、企業の取り組みを促進します。
事業の目的
「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」に基づき、トランジション・ファイナンスの活用を促進すること。そのために、指定外部評価機関による第三者評価の活動を支援し、脱炭素化に向けた企業の資金調達を円滑にすることが狙いです。
補助金の概要
令和5年度の公募情報を基に、補助金の詳細を以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象経費 | トランジション・ボンド/ローンを利用した資金調達時に必要となる、指定外部評価機関による第三者評価費用 |
補助率 | 7/10(70%) ※令和4年度は8/10でした。資金調達者は3割以上の自己負担が必要です。 |
補助上限額 | 1,000万円 / 1件あたり |
公募期間 | 令和5年5月10日(水)~ 令和6年1月31日(水)※本年度の公募は終了しました |
実施団体 | 一般社団法人 低炭素投資促進機構 |
申請の対象と流れ
対象となる事業者
トランジション・ボンドやローンを活用して、脱炭素化に向けた資金調達を行う全ての事業者が対象です。ただし、補助金は資金調達者へ直接交付されるのではなく、第三者評価を行う「指定外部評価機関」に対して交付される点に注意が必要です。
申請のプロセス
申請は以下のステップで進められます。
- 資金調達の計画: 事業者がトランジション・ファイナンスによる資金調達を計画します。
- 外部評価機関との契約: 事業者は、経済産業省が指定する「指定外部評価機関」と第三者評価に関する契約を締結します(費用の3割以上を負担)。
- 補助金申請: 指定外部評価機関が、低炭素投資促進機構へ補助金の交付申請を行います。申請されたファイナンスは指定審査委員会で適合性評価を受けます。
- 交付決定・評価実施: 適合性が認められると、補助金の交付が決定されます。その後、第三者評価が実施されます。
- 補助金交付: 事業完了後、実績報告を経て補助金が指定外部評価機関に支払われます。
申請方法について
令和5年度の申請は、専用メールアドレスへの電子メールで行われました。令和4年度はjGrantsも利用可能でしたが、年度によって方法が異なる可能性があるため、次年度以降の公募では必ず公式サイトの最新情報を確認してください。
まとめ
「クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業補助金」は、企業の脱炭素化への挑戦を金融面から強力にサポートする制度です。第三者評価費用の負担を軽減することで、信頼性の高いトランジション・ファイナンスの活用を促し、持続可能な社会の実現に貢献します。
本年度の公募は終了しましたが、来年度以降も同様の事業が継続される可能性があります。大規模な設備投資や事業転換を計画している企業は、ぜひ本補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。