企業の成長に不可欠な「知的財産」。その活用を支援する機関向けに、経済産業省が強力な補助金制度を用意しています。それが「中小企業等知的財産活動支援事業費補助金」です。この記事では、中小企業をサポートする産業支援機関の担当者様に向けて、本補助金の概要から対象事業、申請の流れまでを分かりやすく解説します。さらに、全国の中小企業が直接活用できる知的財産関連の助成金リストも一挙公開します。
この記事のポイント
- 産業支援機関向け「知的財産活動支援補助金」の全体像がわかる
- 最大1,000万円の補助が受けられる2つの事業メニューを解説
- 申請から採択までの基本的な流れを把握できる
- 全国の中小企業向け「知財関連助成金」の一覧も掲載
中小企業等知的財産活動支援事業費補助金とは?
この補助金は、中小企業自身が直接申請するものではなく、中小企業の知的財産活用をサポートする「産業支援機関」(都道府県の中小企業支援センター、金融機関、商工会・商工会議所、大学など)を対象としたものです。支援機関が実施する中小企業向けの知財支援活動の経費を補助することで、地域全体での知財活用レベルの向上を目指します。
補助金名 | 中小企業等知的財産活動支援事業費補助金(中小企業知的財産支援事業) |
---|---|
実施機関 | 経済産業省 各経済産業局、内閣府 沖縄総合事務局 |
対象者 | 都道府県の中小企業支援センター、金融機関、商工会・商工会議所、財団・社団法人、大学などの産業支援機関 |
補助額・補助率 | 【先導的取組定着支援事業】 定額(上限1,000万円) 【支援施策拡充事業】 補助対象経費の1/2以内(上限500万円) |
公募期間 | 令和5年4月19日~5月8日 ※公募終了済み。最新年度の情報は公式サイトをご確認ください。 |
2つの支援事業メニュー
本補助金には、目的別に2つの事業メニューが設定されています。
- 支援施策拡充事業
産業支援機関がすでに行っている中小企業向け支援施策を、さらに拡充させる事業を支援します。補助率は対象経費の1/2以内で、上限は500万円です。 - 先導的取組定着支援事業
中小企業の知財活用を促進するための、先導的な仕組みづくりや支援事業を地域に定着させる取り組みを支援します。こちらは定額補助で、上限は1,000万円です。
申請から採択までの流れ
一般的な申請プロセスは以下の通りです。公募が開始されたら、速やかに準備を進めましょう。
- 1
公募要領の確認
管轄の経済産業局のウェブサイトで最新の公募要領をダウンロードし、対象事業、要件、スケジュールを詳細に確認します。 - 2
申請書類の作成
事業計画書や経費明細書など、指定された様式に従って申請書類を作成します。事業の目的や効果を明確に記述することが重要です。 - 3
申請
公募期間内に、指定された方法(電子申請、郵送など)で申請を完了させます。 - 4
審査・採択
提出された書類に基づき審査が行われ、採択事業者が決定・公表されます。 - 5
事業実施と実績報告
交付決定後、計画に沿って事業を実施し、期間終了後に実績報告書を提出します。
各地域の公募情報・問い合わせ先
本補助金は各地域の経済産業局が窓口となります。詳細は各ウェブサイトをご確認ください。(リンクは令和5年度公募情報)
【全国版】中小企業向け 知的財産関連の助成金・補助金一覧
ここからは、中小企業の皆様が直接申請可能な知的財産関連の助成金・補助金を地域別にご紹介します。外国出願支援から国内の権利化支援まで、様々な制度がありますので、自社の事業展開に合わせてご活用ください。(情報は記事作成時点のものです。公募状況は必ず公式サイトでご確認ください)
全国対象
提供者 | 助成金名 | 用途 |
---|---|---|
特許庁 | 外国出願に要する費用の半額を補助 | 権利化支援 |
特許庁 | 海外知財訴訟費用保険に対する補助 | 権利行使支援 |
特許庁 | 中小企業等海外侵害対策支援事業 | 権利行使支援 |
ジェトロ | 外国出願費用の助成 | 権利化支援 |
ジェトロ | 外国出願「審査請求」「中間応答」費用の助成 | 権利化支援 |
ジェトロ | 中小企業等海外侵害対策支援事業 | 権利行使支援 |
農林水産省 | 地理的表示活用推進支援事業 | その他 |
弁理士会 | 特許出願等援助制度 | 権利化支援 |
中小企業庁 | ものづくり補助金 | 事業支援 |
JST | 知財活用支援事業 | 権利化支援 |
都道府県・市区町村
各都道府県や市区町村でも、地域の中小企業を対象とした独自の知的財産支援制度を設けています。以下に一部を抜粋してご紹介します。
地方 | 都道府県/市区町村 | 助成金名 | 用途 |
---|---|---|---|
関東 | 東京都 | 外国特許出願費用助成事業 | 権利化支援 |
関東 | 東京都 葛飾区 | 知的所有権取得費補助事業 | 権利化支援 |
関東 | 神奈川県 | 中小企業等外国出願支援事業 ※募集終了 | 権利化支援 |
関東 | 神奈川県 横浜市 | 知的財産活動助成金 ※受付締切 | 権利化支援 |
近畿 | 大阪府 | 大阪府中小企業等外国出願支援事業 | 権利化支援 |
近畿 | 大阪府 吹田市 | 知的財産権取得事業補助金 | 権利化支援 |
東海 | 愛知県 | 外国出願補助金 | 権利化支援 |
東海 | 愛知県 一宮市 | 特許・実用新案出願経費補助 | 権利化支援 |
九州 | 福岡県 | 福岡県中小企業等外国出願支援事業 | 権利化支援 |
九州 | 大分県 大分市 | 知的財産権出願経費補助 | 権利化支援 |
上記以外にも、北海道から沖縄まで、各地域で多数の支援制度が実施されています。詳しくは「特許庁:知的財産権に関する中小企業等向け支援策ガイド」などをご参照ください。 |
まとめ
今回は、産業支援機関向けの「中小企業等知的財産活動支援事業費補助金」と、全国の中小企業が活用できる知財関連の助成金をご紹介しました。支援機関の方々は、本補助金を活用して地域の中小企業支援をさらに強化することができます。また、中小企業の経営者の皆様は、自社で活用できる助成金がないか、ぜひお住まいの地域の制度をご確認ください。知的財産を戦略的に活用し、事業の成長を加速させましょう。