フードテック事業の「PoCの壁」を突破!農林水産省のビジネス実証支援
フードテック分野は、新しい技術やスタートアップによる事業化の試みが活発化していますが、「社会での利用実績が少ない」「スケールアップのノウハウが未確立」といった課題から、ビジネス化に至らないケースが多く見られます。この「PoC(概念実証)の壁」を乗り越えるため、農林水産省は「フードテックを活用した新しいビジネスモデル実証事業」を開始しました。本事業は、フードテック技術を実際のビジネスフェーズに乗せるための実証を強力に支援し、新たなフードテックビジネスの創出を目指すものです。
この補助金のポイント
- フードテック技術のビジネス化に向けた実証を支援
- 補助上限額は最大1,500万円、補助率は1/2以内
- 多様な食の需要や社会課題解決に貢献する革新的なビジネスモデルが対象
- 食品事業者から大学、スタートアップまで幅広い事業者が応募可能
補助金(令和4年度)の概要
本事業の基本情報を以下の表にまとめました。公募は既に終了していますが、今後の事業の参考としてご確認ください。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 令和4年度 新事業創出・食品産業課題実証事業のうちフードテックを活用した新しいビジネスモデル実証事業 |
実施機関 | 農林水産省(事務局:株式会社NTTデータ経営研究所) |
補助上限額 | 1,500万円 |
補助率 | 1/2以内 |
公募期間 | 2022年7月8日(金)~ 8月16日 (火) 12:00必着【公募終了】 |
対象地域 | 全国 |
対象となる事業者と事業モデル
応募できる事業者
本事業には、以下の要件を満たす事業者が単独またはコンソーシアム形式で応募できます。
- 国内の食品事業者、流通事業者、製造事業者
- 情報関連事業者
- 大学等の研究機関
- 食育・栄養関係団体、コンサルタント、海外食品事業者など
想定されるビジネスモデル例
フードテックを活用し、多様な食の需要や社会課題解決に貢献する、以下のような革新的なビジネスモデルの実証が対象となります。
- 環境負荷低減:植物性タンパク質食品や環境負荷を下げる家畜飼料の提供
- 循環型社会:廃棄物を活用した昆虫や藻を利用する飼料の提供
- 健康増進:個々の栄養バランスを考慮したパーソナライズド食品の提供
- 食のバリアフリー:3Dフードプリンターを活用した高齢者・介護食の提供
補助対象経費
事業の実施に直接必要となる以下の経費が補助対象となります。
人件費 | 実証設備・機材・資材費(リースも含む) |
原材料費 | 調査員手当 |
検査・分析費 | 消費者評価会実施費 |
販売促進展開費 | 通信費、消耗品費など |
⚠️ 注意事項
海外での設備導入は補助対象外となりますのでご注意ください。また、事業の成果については、セミナーやWebサイト等での横展開(公表)への協力が求められます。
申請手続きとスケジュール
申請は以下のステップで行われました。今後の公募の参考にしてください。
- STEP 1: 公募要領の確認と動画視聴
公式サイトで公募要領や関連資料を熟読し、公募説明動画を視聴します。 - STEP 2: 申請書類の準備
事業計画書(様式1-1)や経費内訳(様式1-2)など、指定された様式で応募書類を作成します。 - STEP 3: 申請
申請方法は「E-mail」または「jGrants」のいずれかです。jGrantsを利用する場合は、GビズIDの取得に時間がかかるため、事前の準備が必要です。 - STEP 4: 審査
書類審査が行われます。必要に応じて事務局からメールやWEB会議での質問があります。 - STEP 5: 採択結果公表・事業開始
審査を経て採択事業者が決定・公表され、事業が開始されます。
審査のポイント
採択審査では、以下の基準に基づいて評価が行われます。
- 実現性:市場ニーズを的確に捉え、事業計画が妥当であるか。
- 効果・波及性:コストや期間に対して成果が適切で、業界への波及効果が期待できるか。
- 優位性・独創性:提案するビジネスモデルに、他にはない優位性や独創性があるか。
- その他:「みどりの食料システム戦略」への寄与や輸出促進に資する取組であるか。
まとめと公式サイト
「フードテックを活用した新しいビジネスモデル実証事業」は、革新的な技術やアイデアを事業化するための大きなチャンスとなる補助金です。公募は終了しましたが、フードテック分野での事業展開を考える事業者にとって、本事業の目的や採択事例は非常に参考になります。今後の公募情報に注目し、準備を進めてみてはいかがでしょうか。