休廃止鉱山がもたらす鉱害や危害は、地域の安全と環境にとって深刻な問題です。この重要な課題に取り組む地方公共団体や事業者を国が強力に支援するための制度が「休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金」です。本記事では、この大規模補助金の概要から対象者、申請のポイントまでを専門家が分かりやすく解説します。
補助金の概要
まずは、本補助金の基本的な情報を表で確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金 |
実施機関 | 経済産業省 |
対象地域 | 全国 |
補助額上限 | 33億円 |
募集期間(参考) | 2022年4月19日〜2023年3月31日 ※本記事は過去の公募情報です。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
公式URL | jGrantsポータルサイト |
この補助金の3つの重要ポイント
- ✅ 最大33億円の大型支援:地域の安全を確保するための大規模な工事や長期的な水処理事業に対して、手厚い財政支援が受けられます。
- ✅ 地方公共団体が主体:本来の義務者が不存在・無資力であるなど、行政が介入せざるを得ないケースを想定しており、地方公共団体の取り組みを直接支援します。
- ✅ 環境保全と防災に直結:鉱害による土壌・水質汚染の防止や、鉱山の崩落等の危険防止工事を促進し、持続可能な地域環境の実現と住民の安全確保に貢献します。
対象となる方(補助対象者)
本補助金の対象者は、主に以下の3者です。
1. 地方公共団体
鉱害や危害を防止する義務を持つ者が資力がない、または既に存在しない休廃止鉱山について、鉱害防止工事や危害防止工事を実施する地方公共団体が対象です。
2. 坑廃水処理事業者
以下の条件を満たす鉱山において、坑廃水処理事業を実施する者が対象となります。ただし、関係地方公共団体が事業の必要性を認めている場合に限ります。
- 鉱業権が消滅している鉱山
- 鉱業権は存続しているが、長期間採掘活動がなく、再開の見込みもない鉱山
3. 指定鉱害防止事業機関
法律に基づき指定された鉱害防止事業機関も対象となります。
対象となる経費
本補助金では、主に以下のような経費が対象となります。
- 鉱害防止工事費:調査、設計、工事、監督など、鉱害を防止するために必要な一連の工事費用。
- 危害防止工事費:鉱山の崩落や陥没など、直接的な危害を防止するための工事費用。
- 坑廃水処理事業費:坑廃水の処理施設の運転管理費、薬剤費、水質検査費、施設の維持管理費など。
申請の主な流れ
一般的な申請プロセスは以下の通りです。専門性が高いため、計画段階から関係機関と緊密に連携することが成功の鍵となります。
- 事前相談・計画策定:管轄の産業保安監督部等と事前に相談し、事業計画を策定します。
- 公募情報の確認:経済産業省やjGrantsのウェブサイトで最新の公募要領を確認します。
- 申請書類の準備:事業計画書、経費内訳書など、指定された書類を準備します。
- 申請手続き:原則としてjGrants(電子申請システム)を利用して申請します。
- 審査・交付決定:国による審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。
- 事業実施・実績報告:計画に基づき事業を実施し、完了後に実績報告書を提出します。
- 補助金額の確定・支払い:実績報告の内容が検査され、補助金額が確定した後に支払われます。
⚠️ ご注意ください
本記事に掲載している情報は、記事作成時点の過去の公募内容に基づいています。公募年度によって内容が変更される可能性があるため、申請を検討される際は、必ず最新の公式情報を確認してください。
まとめ
「休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金」は、次世代に負の遺産を残さないために、地域の安全と環境を守る極めて重要な制度です。対象となる地方公共団体や事業者の皆様は、この補助金を最大限に活用し、鉱害・危害の防止対策を計画的に進めることをご検討ください。専門的な知見が求められるため、早期の準備と関係機関との連携が不可欠です。
お問い合わせ・公式情報
本補助金に関するお問い合わせや最新情報の確認は、以下の連絡先および公式サイトをご利用ください。
機関名 | 経済産業省 関東東北産業保安監督部 鉱害防止課 |
担当者 | 藤井、朝倉 |
電話番号 | 048-600-0446 |
kanto-kougai@meti.go.jp | |
所在地 | 〒330-9715 埼玉県さいたま市中央区新都心1番地1 |