SHIFT事業(工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業)とは?
SHIFT事業は、環境省が主導する補助金制度です。工場や事業場における意欲的なCO2削減の取り組みを支援し、脱炭素化の先導的なモデルを創出することを目的としています。設備投資や計画策定にかかる費用の一部が補助され、企業のカーボンニュートラル実現を強力に後押しします。
※注:2024年5月31日をもって令和5年度補正予算分の公募は終了しました。本記事は次年度以降の申請に向けた参考情報としてご活用ください。
SHIFT事業の3つの支援メニュー
SHIFT事業は、事業者のニーズに合わせて3つの主要な支援メニューが用意されています。それぞれの概要と補助額を見ていきましょう。
① CO2削減計画策定支援
中小企業等を対象に、工場・事業場全体のCO2削減目標や具体的な計画の策定を支援します。専門家のアドバイスを受けながら、実現可能な脱炭素化ロードマップを作成できます。
項目 | 内容 |
---|---|
補助率 | 3/4 |
補助上限額 | 100万円 ※CO2排出量を見える化するDXシステムを用いるDX型計画は上限200万円 |
② 省CO2型設備更新支援
策定したCO2削減計画に基づき、省エネ性能の高い設備への更新を支援します。事業規模に応じて3つのコースが設定されています。
A. 標準事業
- 対象: 工場・事業場単位で15%以上、または主要システム系統で30%以上のCO2削減を実現する設備更新
- 補助率: 1/3
- 補助上限額: 1億円
B. 大規模電化・燃料転換事業
- 対象: 電化・燃料転換を伴い、年間4,000t-CO2以上かつ30%以上のCO2削減を実現する大規模な設備更新
- 補助率: 1/3
- 補助上限額: 5億円
C. 中小企業事業
- 対象: 中小企業等による設備更新
- 補助率: 1/2
- 補助上限額: 0.5億円(※年間CO2削減量に基づく計算式とのいずれか低い額)
③ 企業間連携先進モデル支援
自社だけでなく、サプライチェーン全体(Scope3)でのCO2削減を目指す先進的な取り組みを支援します。複数の企業が連携して脱炭素化を進めるモデル事業が対象です。
項目 | 内容 |
---|---|
補助率 | 1/3、1/2 |
補助上限額 | 5億円(補助全体) |
補助対象となる主な設備
SHIFT事業では、CO2排出削減に貢献する幅広い設備が補助対象となります。
- 高効率空調設備
- 産業ヒートポンプ、高効率給湯器
- 高効率コージェネレーションシステム
- 高効率冷凍冷蔵機器
- エネルギーマネジメントシステム(EMS)
- その他、生産設備の電化・燃料転換に資する設備など
※再生可能エネルギー設備は、他の主要設備とセットで導入する場合に限り対象となる場合があります。
申請スケジュール(参考:令和5年度補正予算公募)
次年度の公募は同様の時期に行われる可能性があります。早めの準備が採択の鍵となります。
公募期間(受付終了)
2024年3月25日(月)~ 2024年5月31日(金)
- 【①CO2削減計画策定支援】
締切:2024年5月31日(金) - 【②省CO2型設備更新支援、③企業間連携先進モデル支援】
一次締切:2024年4月30日(火)
二次締切:2024年5月31日(金)
申請の基本的な流れ
SHIFT事業への申請は、計画的かつ正確な書類作成が求められます。大まかな流れを把握しておきましょう。
- 公募要領の確認: 公式サイトで最新の公募要領を熟読し、自社の取り組みが対象となるか確認します。
- CO2削減効果の事前チェック: 設備更新支援の場合、申請前に事務局によるCO2削減効果の算定チェックが必要となる場合があります。
- 申請書類の作成: 事業計画書やCO2削減量の算定報告書、見積書など、指定された様式で書類を作成します。
- 電子申請(jGrants): 原則として、電子申請システム「jGrants」を利用して申請します。GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
- 審査・採択: 提出された書類に基づき審査が行われ、採択事業者が決定されます。
- 交付決定・事業開始: 採択後、交付決定通知を受けてから事業を開始します。
採択に向けた重要ポイント
- 先導性・モデル性:自社の取り組みが、同業他社や地域にとって模範となるような計画であるか。
- CO2削減効果の妥当性:削減量の算定根拠が明確で、実現可能性が高いか。
- 事業の継続性:補助事業終了後も、脱炭素化の取り組みを継続していく計画があるか。
まとめと公式情報
SHIFT事業は、工場の脱炭素化を目指す事業者にとって非常に強力な支援制度です。補助額が大きく、計画策定から設備導入まで幅広くカバーしているため、本格的なCO2削減に取り組む絶好の機会と言えるでしょう。
次年度の公募に向けて、今から情報収集と準備を進めることをお勧めします。最新情報や詳細な公募要領、申請様式は必ず公式サイトでご確認ください。