INPIT外国出願補助金(中間手続補助)とは?
INPIT外国出願補助金(中間手続補助)は、中小企業等が海外で特許権を取得するプロセスを支援するための制度です。具体的には、外国特許庁から拒絶理由通知を受けた際の中間応答や、出願審査請求にかかる費用の一部を補助します。これにより、国際的な知的財産戦略を強化し、海外市場での競争力を高めることを目的としています。
この補助金のポイント
- 海外での特許権利化にかかる費用負担を軽減できる
- 拒絶理由通知への対応など、専門的な手続きを円滑に進められる
- 国際的なビジネス展開における知的財産ポートフォリオを強化できる
補助対象となる事業者
本補助金は、日本国内に本社を有する以下の中小企業者等が対象となります。
- ✅ 中小企業者: 製造業、卸売業、サービス業、小売業など、業種ごとに定められた資本金・従業員数の要件を満たす会社または個人事業主。
- ✅ 創業特定法人: 設立後10年未満で資本金3億円以下の法人。
- ✅ 試験研究機関等: 大学、高等専門学校、承認TLO、特定の独立行政法人など。
- ✅ 実施権者等: 上記対象者から実施権の設定等を受け、費用を負担する者。
⚠️ 注意:みなし大企業は対象外です
大企業が一定以上の株式を所有している「みなし大企業」は補助対象外となります。申請前に資本関係を必ずご確認ください。
補助対象となる手続と経費
対象となる手続
以下の両方の条件を満たす手続が対象です。
- 過去にINPITまたは特許庁の外国出願支援事業の交付決定を受けた特許出願であること。
- 以下のいずれかに該当する手続であること。
- 出願審査請求手続: 補助事業期間内に審査請求が完了できるもの。
- 中間応答手続: 新規性・進歩性が指摘された拒絶理由通知に対し、応答期限内に応答手続が完了できるもの。
補助対象経費
経費区分 | 内容 |
---|---|
外国特許庁等への納付手数料 | 出願審査請求料、意見書・補正書提出手数料、審査官面接手数料、延長手数料など |
代理人費用 | 国内代理人(弁理士等)費用、現地代理人費用、公証人証明申請費用など |
翻訳費用 | 意見書や補正書など、手続書類作成に必要な翻訳費用 |
補助対象外の経費(例)
- 補助金の申請書作成費用
- 消費税、付加価値税(VAT)等
- 日本国特許庁への手数料
- 特許料、登録料
補助額と補助率
補助上限額 | 50万円 / 1手続(各国別) |
補助率 | 補助対象経費の 2分の1 以内 |
申請可能な手続数 | 上限なし(ただし1手続ごとに申請が必要) |
申請スケジュールと手続きの流れ
申請期間
令和7年7月1日(火) ~ 令和7年12月22日(月)17:00
申請から補助金受給までの流れ
-
1
交付申請(jGrants)
必要書類を準備し、電子申請システムjGrantsから申請します。 -
2
交付決定通知
審査後、INPITから交付決定が通知されます。この通知後に代理人への発注を行ってください。 -
3
補助事業の実施
代理人へ中間応答手続等を依頼し、外国特許庁への手続と費用の支払いを完了させます。(完了期限:令和8年1月30日) -
4
実績報告
事業完了後30日以内、または完了期限日のいずれか早い日までに、実績報告書を提出します。 -
5
補助金の受給
報告書の内容が確定した後、補助金が支払われます(精算払)。
申請方法と必要書類
申請方法
申請はjGrantsによる電子申請のみです。申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要となりますので、未取得の場合は早めに準備を進めてください。
主な提出書類
申請には以下の書類が必要です。詳細は必ず公式の交付要領をご確認ください。
書類名 | 備考 |
---|---|
出願情報が確認できる書類 | 外国特許庁への出願日、出願番号等がわかるもの |
見積書 | 国内代理人が作成したもの |
過去の出願支援事業の交付決定通知書等 | 本補助金の申請要件です |
拒絶理由通知書等 | 中間応答手続の場合に必要(英語以外は和訳添付) |
決算書、履歴事項全部証明書など | 法人の場合 |
確定申告書など | 個人事業主の場合 |
まとめ
INPIT外国出願補助金(中間手続補助)は、海外での特許取得を目指す中小企業にとって非常に強力な支援策です。拒絶理由への対応など、権利化の重要な局面で発生する費用負担を軽減できます。過去に出願支援を受けた案件をお持ちで、審査請求や中間応答を控えている場合は、ぜひ本補助金の活用をご検討ください。
お問い合わせ先
実施組織: INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)
公式サイト・交付要領:
詳細な要件や最新情報は、必ず公式サイトおよび交付要領PDFでご確認ください。