2050年のカーボンニュートラル実現に向け、企業の脱炭素への移行(トランジション)を資金面で支援する「令和6年度 温暖化対策促進事業費補助金(トランジション・ファイナンス推進事業)」の公募が開始されました。本記事では、この国の補助金制度の概要に加え、東京都が実施する上乗せ補助についても詳しく解説します。
トランジション・ファイナンス推進事業とは?
本事業は、企業が脱炭素社会への移行(トランジション)のために資金調達(トランジション・ファイナンス)を行う際、第三者評価機関による評価を受けるために必要な費用の一部を補助するものです。これにより、企業の脱炭素に向けた取り組みを促進し、トランジション・ファイナンスの普及を目指します。
この補助金のポイント
- トランジション・ボンド/ローンの第三者評価費用が対象
- 補助率は3/10、上限額は500万円/件
- 申請は令和7年1月31日(金)まで
- 東京都の事業者は上乗せ補助のチャンスあり!
【国の事業】温暖化対策促進事業費補助金 詳細
まずは、経済産業省が主導する国の事業「温暖化対策促進事業費補助金(トランジション・ファイナンス推進事業)」の基本情報を確認しましょう。
事業名 | 令和6年度 温暖化対策促進事業費補助金(トランジション・ファイナンス推進事業) |
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実施団体 | 一般社団法人 低炭素投資促進機構 |
補助対象経費 | トランジション・ボンド/ローンで資金調達する際に必要となる第三者評価の費用 |
補助率 | 3/10 |
補助上限額 | 500万円 / 1件あたり |
公募期間 | 令和6年6月28日(金)~令和7年1月31日(金) |
申請方法 | 専用メールアドレスへの電子メール申請 |
事業スキーム
この補助金は、資金調達を行う事業者が直接受け取るのではなく、第三者評価を行う「指定外部評価機関」に対して交付される点が特徴です。資金調達者は、評価費用のうち補助金分(3割)を差し引いた7割以上を負担し、指定外部評価機関と契約を締結する必要があります。
【東京都の上乗せ補助】SDGs債発行支援事業補助金
東京都では、国の「温暖化対策促進事業費補助金」の交付決定を受けた事業者を対象に、さらなる負担軽減策として独自の上乗せ補助を実施しています。
⚠️ 注意事項
この補助金を申請するには、前提として、先に解説した国の「温暖化対策促進事業費補助金」の交付決定を受けている必要があります。
事業名 | 令和6年度 SDGs債発行支援事業補助金(トランジションボンド等) |
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対象者 | 国の補助金の交付決定を受けた補助事業者(指定外部評価機関) |
支援対象事業者 | 都内に事務所もしくは事業所を有する企業等 |
補助率 | ・通常: 1/10 ・個人向け発行の場合: 7/10 |
補助上限額 | ・通常: 100万円 ・個人投資家向け発行の場合: 600万円 |
公募期間 | 令和6年7月3日(水)~令和7年3月14日(金) |
申請方法 | Jグランツによる電子申請 または 郵送 |
申請手続きの流れ
東京都の補助金申請は、国の事業のプロセスと連動して進められます。大まかな流れは以下の通りです。
- 【国】指定外部評価機関が、国の補助金(温暖化対策促進事業費補助金)の交付申請を行います。
- 【国】低炭素投資促進機構から交付決定通知を受けます。
- 【東京都】国の交付決定後、東京都へSDGs債発行支援事業補助金の交付申請を行います。
- 【東京都】東京都から交付決定通知を受けます。
- 以降、国の事業と都の事業それぞれで実績報告、額の確定、補助金請求・支払いの手続きを進めます。
まとめ
「トランジション・ファイナンス推進事業」は、企業の脱炭素化に向けた資金調達を円滑にするための重要な補助金です。第三者評価の費用負担を軽減することで、信頼性の高いトランジション戦略の策定と実行を後押しします。
特に、都内に事業所を持つ企業は、国の補助金に加えて東京都からの手厚い支援を受けられる絶好の機会です。申請期限がそれぞれ異なりますので、計画的に準備を進め、両方の制度を最大限に活用しましょう。