インターネット上で話題となった通称「ブライダル補助金」。しかし、その実態は少子化対策ではなく、インバウンド需要の獲得を目指すブライダル産業や生活関連サービス事業者向けの強力な支援策です。この記事では、経済産業省が主導するこの補助金の全貌を、専門家の視点から徹底的に解説します。
この記事でわかること
- ✓ 通称「ブライダル補助金」の本当の目的と概要
- ✓ 補助金の対象となる事業者と具体的な事業内容
- ✓ 補助金額、補助率、対象経費などの詳細情報
- ✓ 採択されるための事業計画のポイントと過去の採択事例
通称「ブライダル補助金」の正体とは?
目的はインバウンド需要の創出と基盤強化
この補助金の正式名称は「特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業」です。その名の通り、国内の少子化対策や婚姻支援を目的としたものではなく、日本のブライダル産業をはじめとする生活関連サービス業が、急回復するインバウンド(訪日外国人)需要を獲得するための事業を支援することを目的としています。
政府は「新たなクールジャパン戦略」などで、日本の文化や体験価値を世界に発信し、外貨を獲得することを重要政策として掲げています。この補助金は、その国策を具体的に推進するための一環と位置づけられています。
なぜ「ブライダル補助金」と呼ばれるのか?
補助金の対象となるのは、日本標準産業分類の「79 その他の生活関連サービス業」です。ただし、この中から「791 旅行業」は除外されています。そのため、インバウンド需要と親和性が高い事業として、冠婚葬祭業、特にブライダル産業が主要な対象として注目され、この通称が広まったと考えられます。
補助金の概要早わかり表
補助金の基本情報を表にまとめました。自社が活用できるかどうかの参考にしてください。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業 |
実施機関 | 経済産業省 |
補助上限額 | 最大500万円 (1) 海外向け魅力発信: 上限300万円 (2) 受入基盤強化: 上限500万円 |
補助率 | 1/2以内 |
公募期間 | 公募終了(参考:過去の公募は2024年2月9日まで) ※今後の公募に注目が集まります。 |
あなたは対象?申請できる事業者と事業内容
応募資格のポイント
以下の要件を満たす法人が対象となります。
- 日本に拠点を有し、日本の法令に基づき設立されていること。
- 事業を的確に遂行する組織、人員、経営基盤を有していること。
- 経済産業省から補助金交付等停止措置を受けていないこと。
- 日本標準産業分類「79 その他の生活関連サービス業」に該当する事業(旅行業は除く)を実施していること。
- 日本文化等を発信することで外国人の来訪が見込まれる施設を管理・運営する事業者であること。
【重要】対象事業の確認を!
自社の事業が「その他の生活関連サービス業」に該当するかどうかが最初の関門です。冠婚葬祭業のほか、写真業、洗濯業、理容・美容業、浴場業などが含まれます。自社の事業分類を事前に確認しましょう。
補助対象となる2つの事業モデル
補助金の対象となる事業は、以下のいずれかに該当するビジネスモデルの構築です。
(1) 海外に向けた日本文化等の魅力発信(上限300万円)
日本の文化やサービスの魅力を海外に発信し、インバウンド需要を創出する取り組みです。
- 海外向け広告宣伝: 外国語のウェブサイト制作、海外SNSでのプロモーション、海外メディアへの広告出稿など。
- イベント出展等: 海外の旅行博やブライダルフェアへの出展、現地でのプロモーションイベント開催など。
(2) 訪日外国人の受入に必要な基盤強化(上限500万円)
訪日外国人をスムーズに受け入れ、満足度を高めるための環境整備です。
- 設備等改修: 多言語対応の案内表示設置、Wi-Fi環境の整備、キャッシュレス決済端末の導入、トイレの洋式化など。
- 翻訳ツール等導入: 多言語対応のタブレット端末や翻訳システムの導入。
- 従業員研修: 外国語研修や異文化理解研修の実施。
- 商品設計・開発等: 外国人向けの新たなサービスや体験コンテンツの開発。
申請前に知っておきたい採択のポイント
過去の採択事例から学ぶ成功のヒント
この補助金は、単に設備を導入するだけでは採択が難しいとされています。過去の採択事例を見ると、明確なコンセプトとストーリー性のある事業計画が高く評価されています。
<採択事例>
- 「福島和婚の海外発信による日本伝統文化と福島への啓蒙促進事業」
- 「箱根をアジア圏若者のブライダルの聖地に!和をテーマにしたリーガル証明書&フォトウェディング企画によるインバウンド誘客計画」
これらの事例からもわかるように、地域の特色や日本の伝統文化を活かし、ターゲットとする国や層に響く具体的な計画が求められます。申請の難易度は比較的高いため、専門家のサポートを受けながら事業計画を練り上げることが採択への近道です。
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