通称「ブライダル補助金」の正体とは?
インターネット上で「少子化対策にならない」と一部で批判された、通称「ブライダル補助金」。しかし、この補助金の正式名称は「特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業」であり、その目的は国内の婚姻支援や少子化対策ではありません。
この補助金は、経済産業省がブライダル産業をはじめとする生活関連サービス業が、海外からの観光客(インバウンド)の需要を獲得するための事業を支援するものです。つまり、目的はあくまでインバウンド需要の創出にあります。
なぜ「ブライダル補助金」という通称がついたのか、その背景も含めて、ブライダル業界や関連事業者にとって大きなチャンスとなり得るこの補助金の全貌をプロの視点で分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 補助金の本当の目的は「インバウンド需要の獲得」であること
- ブライダル産業を含む「その他の生活関連サービス業」が対象であること
- 最大500万円、補助率1/2の支援が受けられること
- 申請には専門性の高い事業計画が必要であること
補助金の概要
まずは補助金の基本情報を表で確認しましょう。
正式名称 | 特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業 |
通称 | ブライダル補助金 |
実施機関 | 経済産業省 |
補助上限額 | 最大500万円 |
補助率 | 1/2以内 |
対象となる事業者(応募資格)
この補助金に応募できるのは、以下の要件をすべて満たす法人です。
- 日本に拠点を有し、日本の法令に基づき設立されていること。
- 事業を的確に遂行する組織、人員等を有していること。
- 事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤・資金管理能力を有していること。
- 経済産業省から補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられていないこと。
- 日本文化等を発信する施設を管理・運営する事業者であること。
- 総務省が定める日本標準産業分類の中分類「79 その他の生活関連サービス業」に該当する事業を行っていること(ただし、「791 旅行業」は除く)。
【ポイント解説】
最も重要なのが最後の項目です。「79 その他の生活関連サービス業」から旅行業を除くと、冠婚葬祭業が主要な対象となります。これが、この補助金が「ブライダル補助金」と呼ばれるようになった最大の理由です。
対象となる事業内容と補助額
補助対象となる事業は、インバウンド需要獲得のためのビジネスモデル構築事業であり、大きく2つのカテゴリーに分かれています。
(1) 海外に向けた日本文化等の魅力発信
日本のブライダル文化や地域の魅力を海外に発信するための取り組みです。
- 海外向け広告宣伝(Web広告、雑誌広告など)
- 海外でのイベント出展(ブライダルフェアなど)
補助上限額:300万円
(2) 訪日外国人の受入に必要な基盤強化
海外からの顧客を受け入れるための体制を強化する取り組みです。
- 施設・設備の改修(多言語対応、Wi-Fi整備など)
- 翻訳ツールや多言語対応システムの導入
- インバウンド対応のための従業員研修
- インバウンド向けの商品設計・開発(フォトウェディングプランなど)
補助上限額:500万円
申請のポイントと採択事例
この補助金は、対象業種が限定的であることに加え、事業計画の質が非常に重要視されます。過去の採択事例を見ると、その傾向がよく分かります。
過去の採択事例
「福島和婚の海外発信による日本伝統文化と福島への啓蒙促進事業」
「箱根をアジア圏若者のブライダルの聖地に!和をテーマにしたリーガル証明書&フォトウェディング企画によるインバウンド誘客計画」
これらの事例からも分かるように、「地域の魅力」と「自社の強み」を掛け合わせ、海外のターゲットに響く具体的なストーリーを描くことが採択への鍵となります。単なる設備投資や広告宣伝ではなく、インバウンド需要を創出するための戦略的なビジネスモデルを提示する必要があります。
過去の公募では、採択予定300件に対し第一次公募の採択が15件と、応募が少なかった可能性も指摘されています。これは、申請のハードルが高い一方で、質の高い計画を準備できれば採択の可能性が十分にあることを示唆しています。
補助金申請は専門家にご相談ください
「うちの事業は対象になるだろうか?」「インバウンド向けの事業計画の作り方が分からない…」など、補助金申請に関するお悩みは、ぜひ専門家にご相談ください。
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