福島県の産業復興を加速させる大型補助金
福島県では、東日本大震災からの産業復興を目指す国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」の一環として、「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」を実施しています。この補助金は、福島県浜通り地域等で、重点6分野における実用化・事業化に向けた研究開発を行う事業者を強力に支援するものです。補助上限額は最大7億円、補助率は最大で4分の3と、非常に手厚い内容となっています。
この補助金のポイント
- 補助上限額: 最大7億円
- 補助率: 中小企業2/3 (最大3/4)、大企業1/3 (最大1/2)
- 対象地域: 福島県浜通り地域等の15市町村
- 対象分野: 廃炉、ロボット・ドローン、エネルギーなど6つの重点分野
補助金概要サマリー
補助金名 | 地域復興実用化開発等促進事業費補助金 |
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実施機関 | 福島県 商工労働部 産業振興課 |
公募期間 | 例年2月頃から公募開始(詳細は公式サイトで要確認) |
補助上限額 | 7億円 |
補助率 | 中小企業: 2/3 (最大3/4) 大企業: 1/3 (最大1/2) |
対象者 | 福島県浜通り地域等に拠点を持つ企業、大学等、またはそれらと連携する県外企業 |
補助対象となる事業
1. 補助対象分野(重点6分野)
本事業は、福島イノベーション・コースト構想で定められた以下の6つの重点分野における実用化開発が対象です。
- 廃炉
- ロボット・ドローン
- エネルギー・環境・リサイクル
- 農林水産業
- 医療関連
- 航空宇宙
2. 補助対象となる取り組み
原則として、対象地域内で実施される研究開発や実証など、実用化・事業化に向けた具体的な取り組みが対象です。製品開発だけでなく、それを構成する部品や要素技術の開発も含まれます。
注意点
基礎研究や実現可能性の調査(フィージビリティスタディ)、補助事業期間中に収益を上げる事業は対象外となります。
3. 補助対象地域
以下の福島県浜通り地域等の15市町村が対象です。
いわき市、相馬市、田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、新地町、飯舘村
補助対象者の詳細
補助対象者は、拠点の所在地によって大きく2つに分かれます。
1. 地元企業等(単独申請が可能)
福島県浜通り地域等に本社、研究開発拠点、生産拠点などを持つ以下の法人格を有する団体が対象です。
- 企業
- 国立研究開発法人である研究所、大学、高等専門学校
- 農業協同組合その他の団体
2. 地元企業等と連携する企業
福島県浜通り地域等に拠点がない企業でも、上記の「地元企業等」と連携することで申請が可能です。その場合、事業は地元企業等が主体となるように計画する必要があります。
申請資格の重要ポイント
- 個人事業主は対象外です。
- 浜通り地域等に拠点を新設する場合、原則として交付提案書の提出までに拠点の登記等を完了させる必要があります。
- 連携申請の場合、各社が個別に申請を行いますが、事業計画名は統一し、内容は連携各社で同一にする必要があります。
補助率と補助上限額
区分 | 中小企業等 | 大企業 |
---|---|---|
通常 | 2/3以内 | 1/3以内 |
自治体連携推進枠 ※ | 3/4以内 | 1/2以内 |
※ 国立研究開発法人、大学、高専は「中小企業等」とみなされます。
※「自治体連携推進枠」とは、浜通り地域の自治体と連携協定等を結び事業を実施する場合に適用される補助率のかさ上げ制度です。事業者の地元定着や自治体が抱える課題解決への貢献度が審査されます。
補助上限額は、1事業計画あたり7億円です。これは連携申請の場合、連携体全体の合計額となります。
補助対象経費
補助対象となる経費は、実用化開発等に直接必要な「直接経費」と、それを支援する「間接経費」に分かれます。
直接経費 |
①施設工事費: 開発に不可欠な施設の整備・改修費 ②機械設備費: 機械装置やソフトウェアの購入・試作・借用費 ③調査設計費: ①②に係る調査・設計費 ④人件費: 開発に直接従事する者の人件費 ⑤材料費等: 材料、消耗品等の購入費 ⑥外注費: 加工、試験、分析等の外注費 ⑦委託費: 開発の一部を大学等に委託する費用 (※直接経費の30%以下) ⑧その他の諸経費: 旅費、謝金、事務経費など |
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間接経費 | 直接経費の5%以下で計上可能。開発環境の改善等に事業者の裁量で執行できます。 |
申請から事業開始までの流れ
申請は国の電子申請システム「Jグランツ」を利用します。アカウント発行に時間がかかるため、早めの準備が重要です。
- 提案希望届の提出
Jグランツでの申請に先立ち、指定のフォームから「提案希望届」の提出が必須です。(例年3月中旬頃が締切) - Jグランツでの申請
公募期間内に、Jグランツで交付提案書等の必要書類を提出します。申請には「GビズIDプライム」アカウントが必要です。 - 審査
専門家による審査会が実施されます。新規提案の場合は、オンラインでの面接審査(ヒアリング)が行われます。 - 採択内示
審査結果が通知されます。(例年5月下旬頃) - 交付決定・事業開始
正式な申請書を提出し、内容精査の上で交付が決定され、事業を開始できます。事業実施期間は翌年2月末までです。
審査で評価されるポイント
審査では、「浜通りの産業復興」に貢献する実用化・事業化計画であることが大前提です。特に、補助事業終了後3年以内に実用化・事業化が実現できる計画であることが重視されます。
評価で有利になる加点項目
- マーケットアドバイザーの設置: 製品・サービスの想定顧客となる企業等から助言を得る体制がある。
- 特定区域での実施: 避難指示解除区域等を開発拠点とする。
- スタートアップ企業: 設立10年未満の中小企業である。
- パートナーシップ構築宣言: 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトで宣言している。
公式情報・お問い合わせ
本補助金の詳細は、必ず公式サイトの公募要領をご確認ください。申請書の作成にあたっては、管理業務委託機関によるアドバイスを受けることが推奨されています。不明な点は早めに相談しましょう。
お問い合わせ先(管理業務委託機関)
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
〒960-8031 福島県福島市栄町6-6 福島セントランドビル 7階
電話: 024-572-3352
メール: dtc_f_jitsuyoka@tohmatsu.co.jp