この記事で解説する「小規模事業者持続化補助金<一般型>(令和元年度・3年度補正予算)」は、第11回公募(2023年2月20日締切)をもって最終回となり、現在は募集を終了しています。
本記事では、今後の公募に備えるための参考情報として、制度の概要や対象経費などを詳しく解説します。
小規模事業者持続化補助金<一般型>とは?
小規模事業者持続化補助金<一般型>は、小規模事業者が直面する制度変更(働き方改革、インボイス制度導入など)に対応しつつ、持続的な経営に向けた販路開拓や生産性向上の取組を支援することを目的とした補助金です。地域の商工会や商工会議所のサポートを受けながら経営計画を策定し、実行していく点が大きな特徴です。
この補助金の3つの重要ポイント
- 地道な販路開拓を支援:チラシ作成、ウェブサイト制作、店舗改装、展示会出展など、顧客獲得のための幅広い取組が対象です。
- 業務効率化も対象:販路開拓と合わせて行う業務効率化(生産性向上)の取組も支援されます。
- 商工会・商工会議所が伴走:専門家の助言を受けながら事業計画を作成し、事業を実施できるため、初めて補助金を申請する方でも安心です。
補助金の概要(第11回公募実績)
本補助金の基本的な情報を表にまとめました。申請枠によって補助上限額が大きく変わる点にご注意ください。
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限額 | 【通常枠】50万円 【特別枠】最大200万円(賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠) 【インボイス枠】100万円 |
補助率 | 原則 2/3 ※賃金引上げ枠のうち赤字事業者は 3/4 |
対象者 | 常時使用する従業員数が一定以下の小規模事業者・個人事業主など(詳細は後述) |
対象事業 | 経営計画に基づき実施する販路開拓等の取組、またはそれに併せて行う業務効率化の取組 |
申請受付期間 | 第11回(最終回):2023年2月20日締切 ※受付終了 |
6つの申請枠と補助上限額
事業者の状況や目標に応じて、6つの申請枠が用意されていました。いずれか1つの枠のみ申請可能でした。
申請枠 | 補助上限額 | 主な要件 |
---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 基本的な販路開拓の取組を行う事業者 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者 |
卒業枠 | 200万円 | 常時使用する従業員を増やし、小規模事業者の定義を超える事業者 |
後継者支援枠 | 200万円 | アトツギ甲子園のファイナリストになった事業者 |
創業枠 | 200万円 | 特定創業支援等事業の支援を受け、過去3年以内に開業した事業者 |
インボイス枠 | 100万円 | 免税事業者からインボイス発行事業者に転換した事業者 |
補助対象となる経費
販路開拓や業務効率化に関する幅広い経費が補助対象となります。以下に主な経費区分と具体例をまとめました。
経費区分 | 対象となる経費の例 | 注意点 |
---|---|---|
①機械装置等費 | 製造用のオーブン、顧客管理ソフト、3Dプリンターなど | PC・スマホ・複合機など汎用性の高いものは対象外 |
②広報費 | チラシ・カタログ作成、新聞・雑誌広告、看板作成など | 単なる会社案内や名刺は対象外 |
③ウェブサイト関連費 | ホームページ制作・更新、ECサイト構築、ネット広告、SEO対策 | 補助金申請額の1/4が上限。この経費のみでの申請は不可。 |
④展示会等出展費 | 国内外の展示会・商談会の出展料、関連する運搬費など | 販売のみを目的とするイベントは対象外 |
⑪委託・外注費 | 店舗改装、バリアフリー化工事、専門家への相談費用など | 自社で実施困難な業務に限る |
※上記以外にも、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費が対象です。
⚠️ 補助対象外となる経費の例
- パソコン、タブレット、スマートフォン、事務用プリンター等の汎用性が高いもの
- 文房具、インクカートリッジなどの消耗品
- 電話代、インターネット利用料金などの通信費
- 補助金の申請書類作成にかかる費用、コンサルティング費用(一部例外あり)
- 交付決定日より前に発注・契約・支払いを行った経費
申請対象者の詳細要件
1. 小規模事業者の定義
補助対象となる「小規模事業者」は、業種ごとに常時使用する従業員の数で定義されています。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
※「常時使用する従業員」には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者などは含まれません。
2. その他の主な要件
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)。
- 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと。
- 申請時点で開業していない創業予定者ではないこと。
- 過去の持続化補助金(一般型・低感染リスク型)で採択を受けてから10か月以内でないこと。
申請手続きの流れ【第11回締切分参考】
過去の公募では、以下のような流れで申請が行われました。今後の公募でも同様の手順が想定されるため、参考にしてください。
- STEP 1:経営計画書・補助事業計画書の作成
自社の強みや課題を分析し、どのような販路開拓を行うかの計画書を作成します。 - STEP 2:地域の商工会・商工会議所へ相談
作成した計画書の写しを持参し、地域の商工会・商工会議所に相談します。ここで事業内容の確認や助言を受けます。 - STEP 3:「事業支援計画書(様式4)」の交付依頼
商工会・商工会議所に計画内容を確認してもらい、申請に必要な「事業支援計画書(様式4)」の作成・交付を依頼します。 - STEP 4:申請書類一式の提出
必要な書類をすべて揃え、電子申請(Jグランツ)または郵送で補助金事務局へ提出します。
💡 申請のポイント
申請の鍵となるのは、商工会・商工会議所との連携です。「事業支援計画書(様式4)」の発行には時間がかかる場合があるため、締切から逆算して、余裕を持ったスケジュールで相談を始めることが重要です。
まとめ:今後の公募に備えよう
小規模事業者持続化補助金<一般型>は、販路開拓を目指す多くの事業者にとって非常に有用な制度です。残念ながら令和元年度・3年度補正予算分は終了しましたが、同様の趣旨を持つ後継の補助金が公募される可能性があります。
次回公募が開始された際にスムーズに申請できるよう、本記事で解説した内容を参考に、自社の強みや課題、そしてどのような販路開拓に取り組みたいかを今のうちから検討しておくことをお勧めします。
最新情報は、管轄の商工会・商工会議所のウェブサイトでご確認ください。