東京都のフィンテック・スタートアップ支援事業とは?
東京都では、革新的なテクノロジーやアイデアで金融分野のイノベーション創出を目指すフィンテック・スタートアップを強力に支援しています。IT技術を活用した新しい金融サービスは、私たちの生活をより便利で豊かなものに変える可能性を秘めています。
この流れを加速させるため、東京都はフィンテック企業と金融事業者の協業や、新サービスの事業化を後押しする2種類の補助金制度を実施しています。本記事では、その詳細を分かりやすく解説します。
この補助金の3つの注目ポイント
- 最大400万円の大型支援:新サービスの事業化に向けた実証実験経費を大幅に補助します。
- 2種類の支援策:イベント開催から事業化まで、企業のフェーズに合わせた支援が選べます。
- 随時申請可能:募集期間内であればいつでも申請可能。計画に合わせて柔軟に活用できます。
補助金制度の概要
制度名 | フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業 |
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実施機関 | 東京都 |
補助金の種類 | ① 金融オープンイノベーション支援補助金 ② 金融サービス事業化支援補助金 |
補助上限額 | 最大400万円(金融サービス事業化支援補助金) |
補助率 | 1/2 または 2/3(支援策・条件による) |
募集期間 | 令和7年4月1日(火) ~ 令和8年1月30日(金) |
※予算限度額に達した場合、期間内でも受付を締め切ることがあります。
2つの支援策を徹底解説
1. 金融オープンイノベーション支援補助金
フィンテック企業と金融事業者の協業を促進するイベントやプログラムの開催経費を支援します。ピッチイベントやアクセラレータプログラムの実施に活用できます。
対象者 | 金融分野のオープンイノベーションに資するイベントやプログラムを実施する事業者 |
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対象経費 | ピッチイベント、アクセラレータプログラム、マッチングイベント等の開催経費 |
補助率 | 2分の1 |
上限額 | 1件あたり上限100万円 ※複数イベント等の複合提供の場合は上限200万円 |
2. 金融サービス事業化支援補助金
開発した金融サービスの実用性を検証するなど、事業化に向けた実証的な取組に要する経費を支援します。スタートアップにとって最も魅力的な支援策です。
項目 | ア:設立10年未満のフィンテック企業等 | イ:海外フィンテック企業等と協業する金融事業者等 |
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対象経費 | 金融分野におけるイノベーション創出に向けた実証的取組に要する経費 | |
補助率 | 3分の2 | 2分の1 |
上限額 | 1件あたり上限400万円 | 1件あたり上限300万円 |
備考 | ※過去に本補助金を受けた事業者は補助率1/2、上限200万円となります。 | – |
申請方法とスケジュール
申請ステップ
- STEP 1: 書類の準備
公式サイトから募集要領や申請様式をダウンロードし、事業計画書など必要書類を準備します。 - STEP 2: 申請
国の補助金電子申請システム「Jグランツ」での電子申請が推奨されています。郵送または持参での申請も可能です。 - STEP 3: 審査
申請内容に基づき、概ね1~2か月ごとに開催される審査会で審査が行われます。 - STEP 4: 採択・交付決定
審査の結果、採択されると交付決定通知が届き、事業を開始できます。
申請先情報
- 申請方法: Jグランツによる電子申請、郵送、持込
- 郵送・持込先:
〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 東京都庁第一本庁舎20階
東京都産業労働局 総務部 国際金融都市推進課 国際金融都市推進担当 宛
過去の採択実績
本事業を活用して、多くのスタートアップが革新的なサービスを社会実装しています。ここでは一部の採択事例をご紹介します。
令和5年度 採択事例
- Axios Financial Technologies: AIで企業価値を分析するアプリを開発・リリース。
- Frich(フリッチ): 中小企業向けのオンライン完結型保険販売システムを構築。
- MEME(ミーム): 学校の集金・支払を効率化する決済アプリ「スクペイ」を開発・リリース。
- MONO Investment: 資産運用に関するAIチャットボットを開発。
令和4年度 採択事例
- アドバイザーナビ: 性格分析を用いた投資家と金融アドバイザーのマッチング機能を開発。
- EduCare(エデュケア): 「出世払い型」奨学金(ISA)のスキーム構築を推進。
- ビー・インフォマティカ: 心理統計学とAIに基づく新たな信用スコアリングモデルを開発。
まとめ
東京都の「フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業」は、革新的な金融サービスの創出を目指すスタートアップにとって、非常に価値のある制度です。最大400万円という手厚い支援は、事業化に向けた実証実験を大きく後押ししてくれるでしょう。
募集期間は令和7年4月1日から令和8年1月30日までとされています。申請を検討している方は、早めに公式サイトで詳細を確認し、準備を進めることをお勧めします。