省エネルギー投資促進支援事業とは?
省エネルギー投資促進支援事業は、経済産業省資源エネルギー庁が主導する、事業者の省エネルギー設備への投資を支援する補助金制度です。エネルギー価格の高騰や脱炭素社会への移行が求められる中、企業のエネルギー効率改善と競争力強化を目的としています。本記事では、過去の公募情報(主に令和4年度補正予算事業)を基に、この補助金の概要や特徴、今後の動向について詳しく解説します。
この記事のポイント
- 事業者の省エネ設備導入を支援し、エネルギーコスト削減とCO2排出量削減を目指す制度。
- 複数の事業類型があり、先進的な設備から汎用的な指定設備まで幅広くカバー。
- 過去の公募は終了していますが、社会的な要請から今後も後継事業が期待されます。
- 申請には詳細な事業計画や省エネ計算が必要となるため、早期の準備が重要です。
補助金の基本情報(令和4年度実績参考)
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 省エネルギー投資促進支援事業(および関連事業) |
実施機関 | 経済産業省 資源エネルギー庁 (執行団体:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)) |
対象事業者 | 国内で事業を営む法人および個人事業主 |
補助対象経費 | 高効率空調、産業ヒートポンプ、高性能ボイラー、LED照明、生産設備、エネルギーマネジメントシステム(EMS)等の設備費、設計費、工事費など |
補助率・補助額 | 事業類型や企業規模により異なる(例:補助率1/3~2/3、補助上限額 数十億円規模まで) |
公募状況 | 令和4年度関連事業は全て公募終了。今後の後継事業の発表が待たれます。 |
主な事業類型(過去の実績より)
本事業は、対象となる設備や省エネ効果の要件によって、主に以下の4つの類型に分かれていました。
(A)先進事業
先進的で高い省エネルギー性能を持つ設備・システムの導入を支援する事業です。技術的難易度は高いものの、補助率も高く設定される傾向にあります。
(B)オーダーメイド型事業
事業所ごとに最適な形での省エネ対策をオーダーメイドで設計・導入する場合に支援を受けられる事業です。複数の設備を組み合わせて、工場・事業場全体のエネルギー効率を最適化する取り組みが対象となります。
(C)指定設備導入事業
事務局があらかじめ定めた高い省エネ性能を持つ汎用的な設備(ユーティリティ設備や生産設備など)を導入する場合に支援を受けられる事業です。申請が比較的簡素で、多くの中小企業に活用されています。
(D)エネルギー需要最適化対策事業
エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入と、エネルギーマネジメント事業者(エネマネ事業者)との契約により、エネルギー管理を最適化する取り組みを支援する事業です。
申請から交付までの一般的な流れ
今後の公募に備え、一般的な申請プロセスを把握しておくことが重要です。
- 公募開始・情報収集:SIIのウェブサイトで公募要領を確認し、自社の計画が対象となるか確認します。
- 申請準備:事業計画書、省エネルギー計算書、経費見積もりなどの必要書類を作成します。エネマネ事業者の協力が必要な場合もあります。
- 申請手続き:原則として電子申請システム(jGrantsなど)を利用して申請します。
- 審査・交付決定:事務局による審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。
- 事業実施:交付決定後に、設備の契約・発注・工事を行います。(交付決定前の発注は補助対象外)
- 実績報告:事業完了後、定められた期間内に実績報告書を提出します。
- 補助金の支払い:報告書の内容が確定した後、補助金が支払われます。
⚠️ 申請時の重要ポイント
- 今後の公募情報に注意:本記事で紹介しているのは過去の情報です。後継事業は内容が変更される可能性があるため、必ず最新の公募要領を確認してください。
- 圧縮記帳の活用:本補助金は、法人税法上の「圧縮記帳」の対象となる場合があります。活用することで課税を繰り延べられる可能性があるため、税理士等の専門家にご相談ください。
- 早めの準備:省エネ計算や事業計画の策定には時間がかかります。公募期間は限られているため、次回の公募を見越して早めに準備を始めることをお勧めします。
まとめと今後の見通し
省エネルギー投資促進支援事業は、企業のエネルギー効率化を強力に後押しする重要な制度です。令和4年度の事業は終了しましたが、脱炭素化への社会的な要請はますます高まっており、今後も令和5年度補正予算や令和6年度以降の予算で後継事業が実施される可能性が非常に高いです。
省エネ設備の導入を検討している事業者の皆様は、今のうちから情報収集を開始し、次回の公募に備えましょう。最新情報は、執行団体であるSIIのウェブサイトで随時公開されますので、定期的にチェックすることをお勧めします。