福井県内産業価値づくり支援事業補助金とは?
「福井県内産業価値づくり支援事業補助金」は、福井県内の企業が大学や産業技術総合研究所(産総研)などの研究機関、金融機関と連携して行う成長産業分野への参入や市場拡大を目指す技術開発・可能性調査を支援する制度です。ものづくり産業の価値向上を目的とし、新技術や新製品開発に挑戦する企業を強力にバックアップします。
この記事では、補助金の3つのタイプ、対象者、補助額、申請方法、そして実際の採択事例までを詳しく解説します。
補助金の3つのタイプ概要
本補助金には、事業フェーズに応じて3つのタイプが用意されています。主要な「A型」「B型」は令和7年度の募集が終了していますが、来年度以降の参考にしてください。現在、「産総研拠点活用枠」が募集中です。
項目 | A型:可能性調査 | B型:技術開発 | 産総研拠点活用枠 |
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募集状況 | 募集終了 | 募集終了 | 募集中 |
目的 | 新技術・新製品開発の可能性調査 | 新技術・新製品の研究開発 | 産総研との研究開発相談 |
補助限度額 | 200万円 (最大250万円) | 1,000万円/年 (最大1,200万円/年) ×最大2カ年 | 10万円 |
補助率 | 2/3以内 (最大3/4) | 3/4以内 (最大4/5) | 2/3以内 |
対象者 | 県内企業 | 県内中小企業 (脱炭素分野は大企業も可) | 県内企業 |
公募期間 | R7.3.17~R7.4.18 | R7.3.17~R7.4.18 | R7.4.1~R8.1.16 (先着順) |
注目ポイント:補助額・補助率がアップする優遇措置
A型・B型では、以下のいずれかの要件を満たすことで、補助限度額と補助率が引き上げられます。企業の成長と従業員の待遇改善を両立させる取り組みが評価されます。
補助率等アップの要件
- 賃上げ: 平均給与支給額を前年比で4.5%以上増加させる。
- 女性活躍推進: 女性管理職の割合を1.2倍以上に増加、または「0%」から「20%以上」に増加させる。
- 男性育休取得: 通算3ヶ月以上の育児休業を取得した男性労働者が1名以上いる。
- 若手リーダー登用: 35歳以下の若手プロジェクトリーダーを登用する。
- 産総研連携: 連携機関に「産総研」が含まれている。
対象となる事業分野
本補助金の対象は、福井県が指定する「成長産業4分野」における新技術・新製品開発です。
① 脱炭素技術
② ヘルスケア
③ 宇宙
④ ロボット
申請プロセスと必要書類
申請の流れ
申請タイプによってプロセスが異なります。
【B型:技術開発の場合(参考)】
- 事前相談(必須): ふくいオープンイノベーション推進機構の企画検討委員が所属する機関(福井大学など)へ事業計画の事前相談を行います。
- GビズID取得: 電子申請システム「Jグランツ」での申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。取得に2~3週間かかるため、早めに準備します。
- Jグランツで申請: 募集期間内に必要書類をJグランツから提出します。
- 審査: 書面審査とプレゼンテーションによる審査会が実施されます。
- 採択・交付決定: 審査を経て採択事業者が決定されます。
【産総研拠点活用枠の場合(募集中)】
- 申請書類作成: 募集要領を確認し、事業計画書などの申請書類を作成します。
- メールで申請: 作成した書類を福井県産業技術課の指定メールアドレスに送付します。
- 審査・採択: 書類確認後、先着順で採択されます。予算がなくなり次第終了となるため、早めの申請が重要です。
主な必要書類
- 事業計画書
- 経費内訳書
- 会社概要(パンフレット等)
- 決算報告書(直近3期分)※B型
- 納税証明書(県税、法人税・消費税)
- プレゼンテーション用資料 ※B型
※申請するタイプによって必要書類は異なります。必ず公式の募集要領をご確認ください。
採択事例の紹介
実際にどのような事業が採択されているのか、具体的な事例を見てみましょう。
事例1:株式会社アフレル
事業内容:工場内複数台搬送ロボット・自動運用システムの開発
連携先:株式会社シャルマン、福井大学、福井県工業技術センター
ポイント:製造業で一般的な「セル生産方式」における工程間の運搬作業を自動化し、生産性向上を目指すプロジェクト。複数ロボットの集中自動制御システムを開発し、工場DXを推進します。
事例2:株式会社ビットブレイン
事業内容:多対多接続を可能とした医療専用閉域ネットワーク「WCI」の開発
ポイント:医療DXの推進を目的とし、インターネットから物理的に隔離された安全なネットワークを開発。病院間でカルテ情報などの重要データをセキュアに共有・利用可能にし、医療関係者の働き方改革や医療の発展に貢献します。
まとめ
「福井県内産業価値づくり支援事業補助金」は、産学官金連携による挑戦的な技術開発を支援する、福井県内の企業にとって非常に魅力的な制度です。特にB型は最大2,400万円という高額な支援が受けられる可能性があります。
現在は「産総研拠点活用枠」が募集中です。産総研との連携を検討している企業は、この機会をぜひご活用ください。A型・B型についても、来年度以降の公募に向けて、今から情報収集と事業計画の準備を進めておくことをお勧めします。