大企業に眠るアイデアや技術を、社外でスピーディーに事業化しませんか?経済産業省が推進する「出向起業補助金」は、大企業の人材が所属企業を辞めずに新規事業に挑戦する、新しい起業のカタチを支援する制度です。この記事では、制度の概要から2つの支援枠、採択事例までを詳しく解説します。
経済産業省の「出向起業補助金」とは?
制度のポイント
「出向起業補助金」は、大企業等に所属する人材が、自社の通常業務から離れて外部資金調達などを行いながらスタートアップを起業し、自らそこへ出向して新規事業開発に取り組むことを支援する経済産業省の事業です。これまで43件の出向起業スタートアップを創出しています。
大企業の壁を越える新しい挑戦のカタチ「出向起業」
日本では、人材・技術・資金といったリソースの多くが大企業に集中しています。しかし、既存事業の効率性を重視するあまり、リスクの高い新規事業への投資が難しいという課題がありました。
この状況を打破するため、大企業内で活用されてこなかった経営資源(人材・知的財産など)を解放し、新規事業の担い手を増やすことを目的に「出向起業」という仕組みが推進されています。
補助金の2つの枠組み:「一般枠」と「MBO型起業枠」
本事業には、事業のフェーズや形態に応じて2つの支援枠が用意されています。
1. 出向起業補助金(一般枠)
大企業内では育てにくい新規事業について、社員が辞職せずに外部VC等から資金調達を行い、自ら設立したスタートアップに出向して事業開発を行う取り組みを支援します。
2. 出向起業補助金(MBO型起業枠)
大企業が設立した子会社や関連会社が、経営者や従業員による買収(MBO)などを通じて資本的に独立し、スタートアップとして事業を加速させる取り組みを支援します。
補助金 概要一覧
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象者 | 大企業等から出向起業する個人・チーム、またはMBOにより独立するスタートアップ |
補助額 | 【一般枠】最大2,000万円 【MBO型起業枠】最大5,000万円 ※過去の公募情報に基づく参考値です。最新の公募要領をご確認ください。 |
補助率 | 補助対象経費の1/2または2/3以内 |
補助対象経費 | 人件費、事業費(外注・委託費、原材料費、機械装置費、マーケティング調査費、広報費)、プロトタイプ開発費、実証実験費など |
公募期間 | 令和5年度の公募は終了しました。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
【採択事例】株式会社eiiconの「MBO型起業枠」活用
令和5年度の「MBO型起業枠」第一号採択事業者として、オープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」を運営する株式会社eiiconが選ばれました。
同社は、大企業の子会社からMBOによって独立し、本補助金を活用して事業の加速・拡大を目指しています。これは、大企業の事業カーブアウトからの成長モデルとして注目される事例です。
株式会社eiiconについて
日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」の運営を核に、企業の事業フェーズに合わせたコンサルティングを提供。社外との連携を促進し、革新的な価値創造を支援しています。
専門家への相談も可能!オンライン個別相談会
本事業の執行団体であるJISSUIでは、制度活用を検討している企業や個人向けに無料のオンライン個別相談会を実施しています。申請方法の相談から、事業アイデアの壁打ち、社内調整の支援まで、専門家がサポートします。
相談内容の例
- 補助事業の具体的な申請方法について
- 出向起業に向けた社内調整の進め方
- 事業化に向けたビジネスアイデアの壁打ち
ご相談内容に応じて、経済産業省や事業化支援機関と連携して対応いただけます。
まとめ
経済産業省の「出向起業補助金」は、大企業のポテンシャルを解放し、日本の新たなイノベーションを創出するための重要な制度です。所属企業のリソースを活用しながら、スピーディーな事業立ち上げに挑戦できるこの機会を、ぜひご検討ください。
次回の公募に向けて、まずは公式サイトでの情報収集や、個別相談会での専門家への相談から始めてみてはいかがでしょうか。