2024年問題をはじめとする物流危機への対策として、政府は自動運転技術の社会実装を強力に推進しています。その一環として、経済産業省は「令和5年度補正 モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援事業」を実施しました。本記事では、この先進的な補助金の概要と、採択事業者である株式会社T2の取り組みを交えて詳しく解説します。
この記事のポイント
- 経済産業省によるレベル4自動運転トラック開発を支援する補助金の概要
- 物流の2024年問題など、社会課題解決への貢献を目指す事業内容
- 採択事業者「株式会社T2」の具体的な取り組みと今後の展望
- (※本事業の公募は2024年5月10日に終了しています)
モビリティDX促進事業の概要
本事業は、将来的な輸送力不足に対応し、国民生活や経済活動に不可欠な物流サービスを維持するため、自動運転車両の開発と社会実装を促進することを目的としています。
事業名 | 令和5年度補正 モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援事業 |
実施組織 | 経済産業省(執行団体:一般社団法人モビリティDX推進コンソーシアム) |
目的 | 自動運転車両の開発・社会実装を促進し、将来的な輸送力不足に対応し、生活必需サービスを維持する。 |
対象事業者 | 自動運転車両・システムの開発、および市販大型トラックの改造による高速道路での自動運転機能搭載を行う能力を有する民間事業者等(コンソーシアムも可) |
補助率 | 補助対象経費の2/3以内 |
公募期間 | 2024年3月29日(金)~2024年5月10日(金)(※公募終了) |
採択事例:株式会社T2の取り組み
2024年7月、自動運転トラックによる幹線輸送サービスの事業化を目指す株式会社T2が、本補助事業の対象事業者として採択されました。同社は、本事業を通じて以下の取り組みを加速させます。
レベル4自動運転機能の実現
自動運転システムを開発し大型トラックを改造することで、自動運転レベル4に相当する機能の実現を目指します。これにより、特定の条件下でドライバーが不要となる、より高度な自動運転が可能になります。
自動運転車優先レーンでの実証走行
政府が「デジタルライフライン全国総合整備計画」で位置付けている駿河湾沼津SA-浜松SA間の自動運転車優先レーンを含む区間で実証走行を行います。既に同区間約116kmにおいて、90分間ドライバー未介入での連続走行に成功しており、本事業でさらなるデータ取得と技術向上を図ります。
今後の展開
T2社は、佐川急便株式会社、セイノーホールディングス株式会社と協力し、2024年10月から東京・大阪間の高速道路一部区間での実証実験も予定しています。本補助事業の活用により、自動運転トラックの整備をさらに進め、物流サービスの早期社会実装を目指します。
申請プロセスの流れ(参考)
本事業の公募は終了しましたが、今後の同様の事業に応募する際の参考として、一般的な申請プロセスをご紹介します。
- 公募情報の確認:事業の公式サイトで公募要領や関連資料を熟読し、要件を正確に把握します。
- 事業計画の策定:補助金の目的に合致した、具体的かつ実現可能性の高い事業計画を作成します。技術開発のロードマップや費用対効果、社会実装への貢献度などを明確にします。
- 申請書類の準備・提出:指定された様式に従い、申請書や経費明細、添付書類を準備し、期限内に提出します。
- 審査:専門家による審査委員会で、事業の新規性、技術的優位性、社会実装の可能性などが評価されます。
- 採択・交付決定:審査を通過すると採択が決定し、補助金の交付手続きに進みます。
まとめ
「モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援事業」は、日本の物流業界が直面する深刻な課題に対し、最先端技術で挑む企業を後押しする重要な取り組みです。株式会社T2のような先進企業の採択は、自動運転レベル4の社会実装が着実に近づいていることを示しています。今後も同様の支援事業が期待されるため、関連分野の事業者は政府の動向に注目しておくことが重要です。