スマートシティ推進事業とは?
総務省が主導する「地域課題解決のためのスマートシティ推進事業」は、AIやIoTなどの先端技術を活用して地域の課題を解決し、持続可能な街づくりを目指す地方公共団体や民間事業者を支援する補助金です。デジタル田園都市国家構想の実現に向け、データ連携基盤である「都市OS」の整備や、それと連携するサービスの構築・改良にかかる経費の一部を補助します。
この補助金の3つの重要ポイント
- 高額な補助率: 事業費の最大1/2を補助。事業費の下限は300万円からと、本格的な取り組みを支援します。
- 都市OSが鍵: データ連携基盤である「都市OS」の整備・改良や、関連サービスの構築が補助対象の中心です。
- 官民連携を推進: 地方公共団体だけでなく、自治体と連携する民間事業者(まちづくり会社、第三セクター等)も申請可能です。
補助金の概要
本事業の基本情報を表にまとめました。申請を検討する際の参考にしてください。
項目 | 内容 |
---|---|
補助率 | 事業費総額の1/2以内 |
事業費要件 | 補助事業に係る事業費の下限額は300万円 |
対象事業 | スマートシティリファレンスアーキテクチャを満たす都市OSや、都市OSに接続するサービス等の整備・改良を行う事業 |
対象者 | 都道府県、市町村、法人格を有する組織(民間事業者等) |
公募期間(参考) | 令和5年5月10日(水)正午まで ※最新の公募情報は公式サイトをご確認ください |
対象となる事業と対象者
対象事業の詳細
この事業の核となるのは、「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」という国の標準的な設計思想に基づいた都市OSや関連サービスの整備・改良です。具体的には、以下のような取り組みが想定されます。
- 防災、交通、健康、観光など、複数分野のデータを連携させるための都市OSの新規構築または機能改修。
- 都市OSに接続し、新たな市民サービス(例:リアルタイム混雑情報、パーソナライズされた健康支援)を提供するアプリケーションの開発。
- 既存のシステムを改良し、都市OSとの連携を可能にするための改修。
対象者の要件
申請できるのは、以下のいずれかに該当する団体です。
- 地方公共団体: 都道府県、市町村(一部事務組合や広域連合を含む)。
- 民間事業者等: 法人格を有する組織(株式会社、一般社団法人、NPO法人など)。
【民間事業者の重要要件】
民間事業者が申請する場合、事業に関連する都道府県または市区町村との間で、出資、包括連携協定、コンソーシアム組成などにより、強固なガバナンスが確立されている必要があります。これを証明する資料の提出が必須です。
補助対象となる経費
補助対象となる経費は、事業遂行に直接必要な「直接経費」と、その10%を上限とする「一般管理費」に大別されます。具体的な経費の範囲をしっかり確認しましょう。
大分類 | 中分類 | 内容 |
---|---|---|
直接経費 | 物品費 | 設備備品費、消耗品費 |
人件費・謝金 | 事業に直接従事する者の人件費、委員会委員等への謝金 | |
旅費 | 事業遂行に必要な交通費、宿泊費等 | |
その他 | 外注費(システム構築等)、印刷製本費、会議費、通信運搬費など | |
一般管理費 | 直接経費の合計額の10%を上限とする額 |
注意!補助対象外となる経費の例
以下の経費は原則として補助対象外となるため、事業計画の策定時に注意が必要です。
- 建物等施設の建設、不動産取得に関する経費
- 補助事業に直接関係のない打合せや接待費、振込手数料
- 交付決定日より前に発注・契約した経費
- 経済合理性を欠く高額な取引や、利益相当額が含まれる自社調達
申請から採択までの流れ
申請手続きは、定められたスケジュールに沿って進められます。余裕を持った準備が採択の鍵となります。
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1
応募書類の準備指定の応募様式(PowerPoint)、セキュリティチェックシート(Excel)等を作成します。民間事業者は自治体との連携を証明する資料も必要です。
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2
期限内に提出所管の総合通信局等へのメール提出、または補助金申請システム「Jグランツ」を利用して申請します。提出後は電話での一報が必要です。
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3
審査(書面・ヒアリング)合同審査会による評価が行われます。書面審査に加え、必要に応じてヒアリングが実施されます。
-
4
採択候補先の選定・交付決定審査結果に基づき採択候補先が選定され、内容の最終確認を経て交付が決定されます。
想定スケジュール(令和5年度の例)
- 公募締切: 5月中旬
- 審査・採択候補先選定: 6月中
- 交付決定: 8月以降
採択されるための審査ポイント
採択を勝ち取るためには、審査基準を深く理解し、事業計画に反映させることが不可欠です。特に以下の点が重視されます。
審査における5つの柱
- 適合性: 事業目的への適合、市民中心・課題解決中心の理念、地域の総合戦略との整合性が問われます。
- 具体性・実行性: 首長のリーダーシップ、官民連携の推進体制、確実な事業計画が評価されます。
- 継続性: 補助終了後も最低5年間は事業を継続する見込みがあること、そしてそのための資金計画が重要です。
- 汎用性・発展性: 特定のベンダーに依存しない(ロックイン排除)、他地域でも導入可能なオープンなシステム設計が求められます。
- 有効性・効率性: 複数分野のデータを連携させ、新たな価値を生み出すサービスであるかどうかが評価されます。
まとめと公式情報
「地域課題解決のためのスマートシティ推進事業」は、デジタル技術を駆使して地域の未来を創造するための強力な支援策です。都市OSを核としたデータ連携基盤の構築は、持続可能で質の高い市民サービスを実現する上で不可欠です。採択されるためには、国の示すアーキテクチャを理解し、地域課題と明確に結びついた、継続可能で発展性のある事業計画を策定することが重要です。
問い合わせ先
総務省 情報流通行政局 地域通信振興課
電話: 03-5253-5756
E-mail: ict-town_atmark_ml.soumu.go.jp (「_atmark_」を「@」に変更してください)
※本記事の情報は令和5年度の公募要領に基づいています。最新の情報は必ず総務省の公式ホームページでご確認ください。