熊本県では、平成28年熊本地震や令和2年7月豪雨災害で影響を受けた小規模事業者の皆様を対象に、経営の成長と持続的発展を支援する「くまもと型小規模事業者経営発展支援事業補助金」を実施しています。本記事では、この補助金の概要、対象者、申請方法などをプロの視点から分かりやすく解説します。
「くまもと型小規模事業者経営発展支援事業補助金」とは?
この補助金は、被災された県内小規模事業者が、商工会・商工会議所等と連携しながら策定した経営計画に基づき、販路開拓や生産性向上、第二創業といった新たな挑戦に取り組む際の経費の一部を補助する制度です。災害からの復興だけでなく、その先の「成長発展」と「持続的発展」を目指す意欲的な取り組みを力強く後押しします。
この補助金の3つの重要ポイント
- 被災事業者特化型支援: 熊本地震または令和2年7月豪雨で影響を受けた小規模事業者が対象です。
- 計画的な経営をサポート: 専門家の助言を受けた経営計画の策定が必須。事業の成功確度を高めます。
- 幅広い経費が対象: 機械装置の導入から広告宣伝費、専門家への謝金まで、多様な取り組みに活用できます。
補助金の概要(早見表)
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限額 | 最大200万円 ※共同事業の場合は最大1,000万円(連携事業者数×200万円) |
補助率 | 原則 2/3以内 ※特定の要件を満たす場合 3/4以内 に拡充 |
対象者 | 熊本県内の小規模事業者(個人事業主、法人、特定NPO法人など)で、熊本地震または令和2年7月豪雨の影響を受けた者 |
対象経費 | 機械装置費、広報費、開発費、展示会出展費、専門家謝金、委託費など |
申請期間(参考) | 2024年9月6日~2024年10月11日 ※令和6年度第3回の参考情報です。最新の公募情報は公式サイトで必ずご確認ください。 |
対象となる事業者
主な要件
- 熊本県内に事業所を有していること。
- 平成28年熊本地震または令和2年7月豪雨災害の影響を受けていること。
- 商工会・商工会議所等の専門家の助言を受けて作成した経営計画に基づき事業を行うこと。
- 対象となる小規模事業者の定義に合致すること(商工業者であること等)。
対象外となるケース
ご注意ください:以下のいずれかに該当する場合は補助対象外となります。
- 資本金5億円以上の法人に100%の株式を保有されている場合。
- 直近過去3年間の課税所得の年平均額が15億円を超える場合。
- 暴力団排除に関する誓約事項に該当する場合。
補助対象となる経費
事業計画の遂行に必要な幅広い経費が対象となります。具体的な経費区分は以下の通りです。
経費区分 | 具体例 |
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機械装置等費 | 生産性向上のための機械、3Dプリンタ、業務用ソフトウェアの購入など |
広報費 | チラシ・カタログ作成、Webサイト制作・改修、ネット広告出稿など |
展示会等出展費 | 国内外の展示会への出展料、関連する運搬費など |
開発費 | 新商品・サービスの試作品開発に必要な原材料費、設計費など |
知的財産権等関連経費 | 特許、商標などの取得にかかる弁理士費用や申請料 |
専門家経費 | 経営コンサルタント等への謝金や旅費 |
委託・外注費 | 自社で実施困難な業務を外部に委託・外注するための費用 |
補助率が3/4に引き上げられる特例措置
以下の要件をすべて満たす場合、補助率が3/4以内に引き上げられます。該当するかどうか、事前にご確認ください。
- 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者
- 平成28年熊本地震で被災した事業者(事業用資産の被災証明等が必要)
- 平成28年熊本地震以降、売上高が20%以上減少している復興途上の事業者
- 公募申請時に、熊本地震からの復旧・復興に向けた債務を抱えている事業者
- 令和2年7月豪雨により、施設又は設備が被災した事業者
- 「持続化補助金令和2年7月豪雨型」の交付決定を受けていない事業者
申請から交付までの流れ
- 経営計画の策定: お近くの商工会・商工会議所等に相談し、専門家の助言を受けながら事業計画を作成します。
- 申請書類の準備: 公募要領に従い、交付申請書や事業計画書などの必要書類を準備します。
- 電子申請: 原則として、県の補助金申請システムを利用して電子申請を行います。
- 審査・交付決定: 申請内容が審査され、採択されると交付決定通知書が届きます。
- 事業の実施: 交付決定日以降に、計画に沿って事業を開始します。(※交付決定前の発注・契約は対象外です)
- 実績報告: 事業完了後、定められた期間内に実績報告書と証拠書類を提出します。
- 補助金額の確定・支払い: 報告内容が検査され、補助金額が確定した後、請求に基づいて補助金が支払われます。
申請のポイントと注意点
加点措置で採択率アップを目指そう!
政策上の観点から、以下の取り組みを行う事業者は審査で加点措置が受けられる場合があります。積極的にアピールしましょう。
- 事業承継に取り組む事業者
- パートナーシップ構築宣言に取り組む事業者
- 事業継続力強化計画(BCP)の認定を受けた事業者
その他の注意点
- 財産処分の制限: 補助金で購入した50万円(税抜)以上の財産は、一定期間、県の承認なしに処分(譲渡、貸付、廃棄など)できません。
- 事業化状況報告の義務: 補助事業完了後も、5年間にわたり事業の状況を報告する義務があります。
公募期間と問い合わせ先
最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。申請に関するご相談は、お近くの商工会・商工会議所または下記窓口までお問い合わせください。
申請窓口 | 熊本県中小企業団体中央会 TEL: 096-234-7882 |
事業担当 | 熊本県 商工労働部 商工振興金融課 TEL: 096-333-2316 |
まとめ
「くまもと型小規模事業者経営発展支援事業補助金」は、被災からの復興と、その先の事業成長を目指す熊本県の小規模事業者にとって非常に価値のある支援制度です。経営計画の策定を通じて自社の強みや課題を再認識し、新たな一歩を踏み出す絶好の機会となります。公募期間は限られていますので、早めに商工団体へ相談し、準備を進めることをお勧めします。