貴学のポテンシャルを最大限に引き出し、地域イノベーションの中核拠点となるための強力な支援策、内閣府の「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」をご存知ですか?本記事では、この重要な補助金制度の概要から申請のポイント、具体的な採択事例まで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
この記事でわかること
- ✓ 地域中核大学イノベーション創出環境強化事業の全体像と目的
- ✓ 補助金額、対象経費、申請要件などの具体的な制度内容
- ✓ 申請から採択までの流れと、計画書作成の重要ポイント
- ✓ 立命館大学の採択事例から学ぶ、成功する構想のヒント
地域中核大学イノベーション創出環境強化事業とは?
本事業は、地域の中核となる大学が、その強みや特色を活かしてイノベーション創出環境を強化し、地域経済の活性化に貢献する取り組みを支援することを目的とした内閣府の補助金制度です。大学の「知」を核として、自治体や地域企業、スタートアップ等と連携し、持続可能なイノベーション・エコシステムを構築することが期待されています。
補助金の概要が一目でわかる!基本情報まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
補助金額 | 1大学あたり年間1億円を上限 |
補助率 | 定額補助(10/10) |
実施期間 | 原則として最長5年間 |
対象機関 | 地域の中核大学としてイノベーション創出環境の強化に取り組む大学 |
公募期間(R6年度) | 2024年4月12日(金)~ 2024年5月24日(金)12:00 ※本年度は終了 |
申請方法 | 府省共通研究開発管理システム(e-Rad)による電子申請 |
補助対象となる経費の詳細
本事業では、イノベーション創出環境の強化に直接必要な経費が幅広く対象となります。主な対象経費は以下の通りです。
- 人件費:事業を推進するために雇用する教職員、研究員、コーディネーター等の人件費
- 事業費:旅費、設備備品費、消耗品費、謝金、印刷製本費、通信運搬費、会議費、外注費など
- その他:事業遂行に直接必要と認められる経費
注意点
建物の建設や不動産取得に関する経費、また事業内容と直接関連のない経費は対象外となるため、公募要領を十分に確認してください。
申請から採択までのロードマップ
申請プロセスは計画的に進めることが重要です。大まかな流れを把握しておきましょう。
- Step 1: 公募要領の確認と構想策定
公式サイトで最新の公募要領を熟読し、学内の関連部局と連携して事業構想を具体化します。 - Step 2: e-Radでの申請準備
e-Radのアカウント情報を確認し、電子申請の準備を進めます。初めて利用する場合は早めに登録を済ませましょう。 - Step 3: 構想調書の作成・提出
指定の様式に従い、構想調書を作成します。大学の強み、地域課題、具体的な計画、ガバナンス体制などを盛り込みます。 - Step 4: 審査(書面・ヒアリング)
提出された構想調書に基づき、専門家による書面審査が行われます。必要に応じてヒアリング審査が実施される場合もあります。 - Step 5: 採択決定・交付手続き
審査を経て採択機関が決定され、通知されます。その後、交付申請手続きを経て事業開始となります。
【採択事例】立命館大学の構想から学ぶ成功のヒント
令和5年度に採択された立命館大学の構想は、これから申請を検討する大学にとって非常に参考になります。その成功のポイントを見ていきましょう。
立命館大学の「持続的な地域課題解決モデル」
立命館大学は、びわこ・くさつキャンパス(BKC)を拠点に、「社会実装・イノベーション」と「人材育成」を強みとして明確に打ち出しました。その構想の中心となるのが、以下の3つの柱で構成される「グラスルーツ・イノベーションプログラム(GRIP)」です。
1. キャンパスリビングラボ
大学のキャンパス自体を社会実装のための実証実験の場として提供。規制が少なく迅速な意思決定が可能な環境を活かし、ドローンやロボット、新技術の社会受容性検証などを行います。
2. 社会実装支援システム
研究シーズやアイデアの事業化を加速するため、資金支援(人件費、知財取得費等)と伴走支援(ビジネスモデル作成、資金調達支援等)を一体的に提供。専門コーディネーターを配置し、プロジェクトを強力に推進します。
3. 人材育成システム
地域の小中高生や高専生も巻き込み、社会実装プロジェクトと連携した実践的な人材育成を実施。企業ニーズと大学研究室をマッチングさせる「人材育成型共同研究」も展開し、次代を担う人材を輩出します。
成功のポイントは、大学の強みを核に、地域課題の解決、資金循環(ファンド組成)、人材育成を有機的に連携させた、具体的で持続可能なエコシステムの構築ビジョンを明確に示した点にあります。
まとめ:地域と共に未来を創る大学へ
「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」は、大学が持つ研究力や人材育成能力を地域社会の発展に繋げるための、またとない機会です。本事業を活用することで、産学官金の連携を深化させ、地域に根差した持続的なイノベーション創出拠点を構築することが可能になります。ぜひ、貴学のビジョン実現に向けた挑戦をご検討ください。
公募情報・お問い合わせ先
内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 大学改革・ファンド担当
詳細な公募要領やQ&Aは、上記の公式サイトよりご確認ください。次年度以降の公募についても、公式サイトで情報が公開される予定です。