はじめに:工場の脱炭素化、コストで諦めていませんか?
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、多くの企業がCO2削減のプレッシャーを感じています。しかし、「何から手をつければ良いかわからない」「設備投資のコストが高すぎる」といった課題から、具体的な一歩を踏み出せないでいるのではないでしょうか。
そんな悩みを抱える工場・事業場経営者の皆様に朗報です。環境省が主導する「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」は、計画策定から大規模な設備更新まで、脱炭素化への取り組みを強力に後押しする補助金です。本記事では、このSHIFT事業の全貌をプロの視点から徹底解説します。
この補助金の重要ポイント
- 最大5億円の大型補助で大規模な設備投資を支援!
- CO2削減計画の策定だけでも最大200万円を補助。
- 中小企業向けの手厚い支援枠(補助率1/2)も用意。
- サプライチェーン全体での脱炭素化を目指す先進的な取り組みも対象。
SHIFT事業補助金の概要
SHIFT事業は、工場や事業場における脱炭素化の先導的なモデルケースを創出し、その成功事例を広く展開することで、日本全体の温室効果ガス削減目標達成に貢献することを目的としています。具体的には、以下の3つの支援メニューが用意されています。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 令和5年度補正予算 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業) |
実施機関 | 環境省 (執行団体:一般社団法人温室効果ガス審査協会, 一般財団法人環境イノベーション情報機構, 一般財団法人日本海事協会) |
対象者 | 工場・事業場におけるCO2削減に取り組む民間企業、個人事業主など(中小企業等も含む) |
補助額 | 最大5億円(事業メニューにより異なる) |
補助率 | 1/3, 1/2, 3/4(事業メニューにより異なる) |
公募締切 | 【計画策定支援】2024年5月31日(金) 【設備更新等】一次: 2024年4月30日(火) 12:00 / 二次: 2024年5月31日(金) 12:00 |
3つの支援メニューを徹底解説
SHIFT事業は、企業の状況に合わせて選べる3つの支援メニューで構成されています。それぞれの特徴を見ていきましょう。
① CO2削減計画策定支援
「脱炭素化の第一歩」を支援するメニューです。中小企業等が専門家の助言を受けながら、自社のCO2排出量削減目標や具体的な計画を策定する際の費用を補助します。
- 補助率: 3/4
- 補助上限: 100万円
- DX型計画の場合: CO2排出量を見える化するDXシステムを導入する場合、補助上限200万円に拡充!
② 省CO2型設備更新支援
策定した計画に基づき、実際に省CO2効果の高い設備へ更新する際の費用を補助します。事業規模に応じて3つのコースが設定されています。
A. 標準事業
- 対象: 工場全体で15%以上、または主要システムで30%以上のCO2削減を実現する設備更新
- 補助率: 1/3
- 補助上限: 1億円
B. 大規模電化・燃料転換事業
- 対象: 電化・燃料転換を伴い、年間4,000t-CO2以上かつ30%以上の大幅なCO2削減を実現する設備更新
- 補助率: 1/3
- 補助上限: 5億円
C. 中小企業事業
- 対象: 中小企業等による設備更新
- 補助率: 1/2
- 補助上限: 0.5億円
③ 企業間連携先進モデル支援
自社だけでなく、サプライチェーン全体(Scope3)でのCO2削減を目指す先進的な取り組みを支援します。親会社が主導し、サプライヤーの工場等の設備更新を促進するモデルが対象です。
- 補助率: 1/3, 1/2
- 補助上限: 5億円
申請スケジュールと流れ
公募期間
公募開始は全メニュー共通で2024年3月25日(月)です。締切はメニューによって異なるため注意が必要です。
① CO2削減計画策定支援 | 2024年5月31日(金) |
② 省CO2型設備更新支援 ③ 企業間連携先進モデル支援 |
一次公募締切: 2024年4月30日(火) 12:00 |
二次公募締切: 2024年5月31日(金) 12:00 |
💡 ポイント:一次公募で不採択となった場合でも、希望すれば自動的に二次公募で再審査される予定です。まずは一次公募を目指して準備を進めることをお勧めします。
申請の基本ステップ
- 情報収集と準備: 公式サイトで公募要領を熟読し、公募説明会に参加します。
- 計画策定: 自社のCO2排出量を把握し、具体的な削減目標と設備導入計画を策定します。(必要に応じて「計画策定支援」を活用)
- 申請書類の作成: 事業計画書や経費内訳書など、指定された書類を準備します。
- 申請: 執行団体のウェブサイトから電子申請を行います。
- 審査・採択: 審査委員会による審査を経て、採択事業者が決定・公表されます。
- 事業実施: 交付決定後、計画に沿って設備導入などを進め、完了後に実績報告書を提出します。
公募説明会情報
本事業への申請を検討中の事業者向けに、オンライン参加も可能な説明会が開催されます。制度の詳細や申請のポイントを直接聞ける貴重な機会ですので、ぜひご参加ください。
- 東京会場: 2024年4月5日(金) 13:00~16:30
- 大阪会場: 2024年4月9日(火) 13:00~16:30
- 申込期間: 2024年4月3日(水)まで
※申込方法や会場の詳細は公式サイトをご確認ください。
まとめ
SHIFT事業は、単なる設備投資の補助に留まらず、計画策定からサプライチェーン連携まで、企業の脱炭素化を多角的に支援する非常に強力な制度です。特に、最大5億円という補助上限は、これまでコスト面で断念していた大規模な燃料転換や電化を現実的な選択肢にしてくれます。
公募期間は限られています。まずは公式サイトで詳細な公募要領を確認し、自社がどのメニューに合致するのか検討を始めることが重要です。この機会を最大限に活用し、持続可能な未来への大きな一歩を踏み出しましょう。