経済産業省「出向起業補助金」とは?
経済産業省が実施する「出向起業補助金(正式名称:多様な人材の活躍による企業価値向上促進事業)」は、大企業等に所属する人材が、現在の会社を辞めずにスタートアップを立ち上げる「出向起業」を支援する制度です。この制度を活用することで、挑戦者は個人のリスクを抑えつつ、大企業のリソースとは異なる環境で自由度の高い事業開発に挑戦できます。
この補助金のポイント
- リスク低減: 所属企業に籍を置いたまま起業に挑戦できる。
- 資金調達: 新規事業の試作品開発や事業性検証にかかる経費の一部が補助される。
- 自由度の高い経営: 親会社の資本比率を20%未満に抑え、迅速な意思決定が可能。
補助金の概要
項目 |
内容 |
補助金額 |
通常上限:500万円 特定要件を満たす場合:最大2,000万円 |
補助率 |
補助対象経費の 1/2以内 |
補助対象経費 |
人件費、事業費(試作品開発費、調査費、マーケティング費、広報費、外注・委託費など)、その他事業遂行に必要な経費 |
実施機関 |
経済産業省 |
事務局 |
一般社団法人社会実装推進センター(JISSUI) |
補助対象となる「出向起業」の3つの要件
本補助金の対象となる「出向起業」は、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 資本要件: 新規事業を行うために設立する会社の資本のうち、所属企業の資本比率が20%未満であること。外部資本や経営者個人の資本を80%以上活用する必要があります。
- コミットメント要件: 所属企業の人材が、自ら設立した新会社へ出向等によりフルタイムで経営者として新規事業の実務に従事すること。
- 将来の選択肢: 設立した新会社および経営者に対して、そのまま独立する、または所属企業へ戻る(買い戻す)計画・オプションが用意されていること。
補助対象となる事業活動
出向起業を活用した新規事業開発において、事業性を検証しながら進める以下のような一連の活動が補助対象となります。
活動例
- ユーザー特定、課題特定に向けた活動(ヒアリング、アンケート、イベント開催等)
- 仮説検証のための活動(プロトタイピング、実証事業等)
- 事業化に向けた活動(知財整理、事業計画策定、資金調達、初期顧客開拓等)
申請から採択までの流れ
- 公募開始・情報収集
事務局の公式サイトで公募要領や申請書類を確認します。
- 申請準備・書類作成
事業計画書や経費明細書など、必要な書類を準備します。
- 電子申請
原則として、電子申請システム「jGrants」を利用して申請します。
- 審査
事務局による書類審査や、必要に応じてヒアリング審査が行われます。
- 交付決定・事業開始
採択されると交付決定通知が届き、補助事業を開始できます。
公募情報について
令和6年度の1次公募は2024年7月30日に締め切られました。2次公募や来年度以降の公募については、公式サイトで最新情報が発表されます。申請を検討している方は、今のうちから事業計画を練り、準備を進めておくことをおすすめします。
まとめ
「出向起業補助金」は、大企業に眠る優秀な人材とアイデアを社会に解き放ち、新たなイノベーションを創出するための画期的な制度です。リスクを抑えながら新しい挑戦をしたいと考えている方にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
制度の詳細や最新の公募情報は、必ず公式サイトでご確認ください。