GXサプライチェーン構築支援事業とは？
GXサプライチェーン構築支援事業は、2050年のカーボンニュートラル実現と日本の国際競争力強化を目指す、経済産業省の大型支援事業です。今後10年間で官民合わせて150兆円規模のGX投資を実現する政府方針の中核を担うもので、GX経済移行債を財源としています。
この事業の最大の特徴は、水電解装置や洋上風力発電設備、ペロブスカイト太陽電池といった、GX実現に不可欠な製品の国内製造サプライチェーン構築にかかる大規模な設備投資を直接支援することです。民間企業だけでは投資判断が難しい領域に対し、国が強力に後押しすることで、世界に先駆けた国内生産基盤の確立を目指します。
この補助金のポイント
- 巨額の予算規模：令和10年度までの国庫債務負担を含め、総額4,212億円の大型予算が組まれています。
- 補助限度額なし：事業計画に応じて必要な支援が受けられる可能性があり、大規模投資に最適です。
- 高い補助率：中小企業は最大1/2、大企業でも最大1/3の補助が受けられます。
- 対象経費が広い：設備機械装置だけでなく、工場の新設や改修にかかる建物取得費も対象となります。
補助金の概要
本事業の基本情報を表にまとめました。※情報は過去の公募内容に基づきます。最新情報は公式サイトをご確認ください。
| 項目 |
内容 |
| 事業目的 |
GX分野の国内製造サプライチェーンを世界に先駆けて構築し、カーボンニュートラル実現と国際競争力強化に貢献する。 |
| 補助対象者 |
対象製品の生産に係る設備投資等を行う大企業、中小企業等 |
| 補助率 |
原則として、大企業 1/3以内、中小企業等 1/2以内 |
| 補助限度額 |
上限なし |
| 補助対象経費 |
設備機械装置費、建物等取得費（新設、建替え、リフォーム含む）、システム購入費
※設備機械装置の購入・改造は必須要件 |
| 申請方法 |
電子申請システム「jGrants」による申請 |
過去の公募情報と対象製品
2024年度には2回の公募が実施されましたが、現在はどちらも申請を終了しています。次回公募の参考として、対象製品の違いをご確認ください。
| 公募回 |
公募期間 |
主な対象製品 |
第一回公募
（終了） |
2024年6月28日～8月30日 |
・水電解装置（完成品、膜、電極など）
・燃料電池（完成品、膜、触媒など） |
第二回公募
（終了） |
2024年9月17日～10月31日 |
・ペロブスカイト太陽電池（完成品、レーザー加工装置）
・浮体式等洋上風力発電設備（ブレード、タワー、ナセルなど） |
申請から採択までの流れ
本事業の申請は、電子申請システム「jGrants」を利用します。一般的な流れは以下の通りです。
- gBizIDプライムアカウントの取得
jGrantsの利用に必須のアカウントです。取得には2～3週間かかる場合があるため、早めの準備が不可欠です。
- 公募要領・申請様式の確認
公式サイトから最新の公募要領と様式をダウンロードし、要件を詳細に確認します。
- 事業計画書・必要書類の作成
事業戦略、排出削減への貢献度、投資の必要性、経営層のコミットメントなど、審査項目に沿って詳細な計画書を作成します。
- jGrantsでの電子申請
作成した書類一式を、公募期間内にjGrantsから提出します。
- 審査・採択・交付決定
事務局による審査を経て採択が決定され、その後、交付申請手続きを経て事業開始となります。
⚠️ 注意：事前着手制度について
原則として、補助対象経費の発注や契約は「交付決定通知後」に行う必要があります。しかし、本事業では緊急性を鑑み、事前に「事前着手届出」を提出し受理されれば、交付決定前の発注等も補助対象となる場合があります。この制度を有効活用することで、スピーディーな事業展開が可能です。
採択事例：旭化成株式会社
実際にどのような事業が採択されているのか、第一回公募の採択事例を見てみましょう。
旭化成「GW級の供給体制構築に向けた電解システムの⽣産能⼒増強」プロジェクト
旭化成株式会社は、グリーン水素製造に用いる水電解装置の国内生産能力を増強するプロジェクトで採択されました。
- 事業内容：川崎製造所にて、水電解装置の主要部品である電解用枠および電解用膜の製造設備を新設。
- 設備投資額：総額 350億円 規模
- 助成予定額：最大 114億円
- 目標：2028年度に稼働開始し、年間3GWに対応可能な製造能力を達成。世界の水電解装置市場で20%のシェア獲得を目指す。
この事例から、本事業が世界市場を見据えた非常に大規模な投資を支援対象としていることがわかります。
次回公募に向けた準備
2024年度の公募は終了しましたが、本事業は複数年度にわたる計画です。今後も公募が期待されるため、関心のある事業者は今から準備を進めておくことが重要です。
今から準備すべきこと
- gBizIDプライムの取得：未取得の場合は最優先で申請しましょう。
- 事業計画の構想：自社の技術や強みを活かし、GX分野のサプライチェーンにどう貢献できるか、具体的な事業計画の骨子を練り始めましょう。
- 情報収集の継続：経済産業省の「分野別投資戦略」や関連ニュースをチェックし、技術動向や市場機会を見極めましょう。
- パートナーシップの検討：必要に応じて、共同申請者となる企業や技術協力先との連携を模索しましょう。
公式サイトで最新情報を確認する
お問い合わせ先
公募に関するお問い合わせは、下記の事務局コールセンターまで。
GXサプライチェーン構築支援事業 事務局コールセンター
TEL: 03-6734-7766
受付時間: 平日9時～17時（土日祝を除く）
