2024年度(令和6年度)の注目すべき大規模補助金「住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業費(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業)」、通称「ZEB実証事業」の公募が開始されました。本事業は、大規模な業務用建築物のZEB(ゼブ)化を強力に後押しするもので、最大5億円という破格の補助額が設定されています。この記事では、補助金の専門家がその概要、申請要件、スケジュールを徹底解説します。
この補助金のポイント
- 高額補助: 補助率は対象経費の2/3、上限額は年間最大5億円。
- 大規模建築物対象: 新築10,000㎡以上、または既存建築物2,000㎡以上が対象。
- 先進技術導入: ZEB化に資する高性能建材や設備、BEMS等の導入を支援。
- 専門家連携必須: 申請には「ZEBプランナー」の関与が必須となります。
令和6年度 ZEB実証事業の概要
本事業は、経済産業省資源エネルギー庁の管轄のもと、民間の大規模建築物におけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現と普及を目的としています。先進的な省エネ技術の導入実証を支援し、その設計ノウハウや運用実績を広く公開・活用することで、2050年のカーボンニュートラル達成に貢献することを目指します。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 令和6年度 住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業費(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業) |
執行団体 | 一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) |
補助対象者 | 建築主、ESCO事業者、リース事業者など(法人・個人事業主) |
補助率 | 補助対象経費の2/3以内 |
補助上限額 | 5億円/年(複数年度事業は全体で10億円) |
補助対象となる事業の要件
本補助金を利用するには、建築物の規模や省エネ性能に関する複数の要件を満たす必要があります。
対象となる建築物
以下のいずれかの規模要件を満たす民間の業務用建築物が対象です。
- 新築建築物: 延べ面積 10,000㎡以上
- 既存建築物(増築・改築・設備改修): 延べ面積 2,000㎡以上
主要な交付要件
申請にあたっては、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- ZEBプランナーの関与: SIIに登録された「ZEBプランナー」が事業に関与していること。
- 第三者認証の取得: BELS等において、『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedいずれかの認証を取得すること。
- 先進技術の導入: 空衛学会が公表する「WEBPRO未評価技術」を1項目以上導入すること。
- BEMSの導入: エネルギー使用状況を計測・管理・分析できるBEMS(エネルギー管理システム)を導入すること。
- データ報告への同意: 事業完了後5年間、エネルギー使用状況等のデータを指定のプラットフォームへ報告し、公表されることに同意すること。
補助対象経費
補助金の対象となるのは、ZEB化を実現するために直接必要となる以下の費用です。
- 設計費: ZEB化に必要な実施設計費、BELS等認証取得費用、掛かり増し費用算出のための積算費用など。
- 設備費: 高性能建材(断熱材、窓)、高効率な空調・換気・照明・給湯設備、BEMS装置、蓄電システムなど。
- 工事費: 補助対象となる設備・機器の据付に不可欠な工事費用。
⚠️ 注意事項
消費税は補助対象外です。また、既存設備の撤去費用や汎用的な事務機器、土地代などは対象となりません。
申請スケジュールと手続きの流れ
申請は二次公募まで予定されています。予算に限りがあるため、早めの準備と申請が推奨されます。
公募回 | 公募期間 | 交付決定(予定) |
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一次公募 | 2024年5月7日(火) ~ 2024年6月4日(火) 17:00 | 2024年7月中旬 |
二次公募 | 2024年7月31日(水) ~ 2024年8月28日(水) 17:00 | 2024年10月上旬 |
申請から補助金受給までのステップ
- 1ZEBプランナーの選定と事業計画策定
事業の要となるZEBプランナーを選定し、共同で事業計画を策定します。 - 2交付申請
公募期間内に、電子申請システム「jGrants」を通じて必要書類を提出します。 - 3審査・交付決定
SIIによる審査を経て、採択されると交付決定通知が届きます。 - 4事業開始
交付決定日以降に、設備の契約・発注・工事着手が可能になります。 - 5事業完了・実績報告
事業期間内(単年度事業は2025年1月25日まで)に工事と支払いを完了させ、実績報告書を提出します。 - 6確定検査・補助金支払
SIIによる検査後、補助金額が確定し、指定口座に振り込まれます。
公募要領・申請はこちら
本事業は専門性が高く、提出書類も多岐にわたります。申請を検討される事業者は、必ず公式サイトで最新の公募要領を熟読し、信頼できるZEBプランナーにご相談ください。