【三次・四次公募開始】令和6年度SHIFT事業のご案内
環境省が主導する、工場・事業場の脱炭素化を強力に後押しする「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(通称:SHIFT事業)」の令和6年度 三次・四次公募が開始されました。この事業は、CO2排出削減に繋がる高効率な設備更新や電化、燃料転換を支援するもので、最大5億円という大規模な補助が受けられる注目の制度です。本記事では、このSHIFT事業(三次・四次公募)の概要から申請要件、スケジュールまでをプロの視点で徹底解説します。
三次・四次公募の重要ポイント
- 対象事業:「省CO2型設備更新支援」と「企業間連携先進モデル支援」のみです。「CO2削減計画策定支援」の公募はありません。
- 事業年度:単年度事業のみが応募対象です(複数年度にわたる事業は応募できません)。
- 締切:三次公募と四次公募の2回の締切が設定されています。早期の申請が有利となる可能性があります。
SHIFT事業とは?目的と概要
SHIFT事業は、工場や事業所における脱炭素化の取り組みを加速させることを目的とした環境省の補助金です。先導的な成功事例を創出し、そのノウハウを広く共有することで、日本全体の温室効果ガス削減目標達成に貢献します。具体的には、意欲的なCO2削減計画に基づいた高効率設備への更新や電化・燃料転換に対して補助金が交付されます。
【三次・四次公募】補助対象事業の詳細
今回の公募では、主に以下の2つの支援事業が対象となります。
① 省CO2型設備更新支援
CO2削減計画に基づき、既存の設備をより高効率なものへ更新する取り組みを支援します。事業規模や内容に応じて3つのコースが用意されています。
事業類型 | 主な要件 | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|---|
A. 標準事業 | 工場・事業場単位で15%以上、または主要システム系統で30%以上のCO2排出量削減 | 1/3 | 1億円 |
B. 大規模電化・燃料転換事業 | 主要システム系統で①電化・燃料転換、②4,000t-CO2/年以上削減、③30%以上削減の全てを満たす | 1/3 | 5億円 |
C. 中小企業事業 | 中小企業等による設備更新(年間CO2削減量等に基づく計算式で補助額を決定) | 1/2 | 0.5億円 |
② 企業間連携先進モデル支援
Scope3削減に取り組む企業が主導し、サプライヤーなど取引先の工場・事業場のCO2排出量削減(設備更新)を促進する先進的な取り組みを支援します。
- 補助率: 1/3、1/2
- 補助上限額: 5億円
公募期間とスケジュール
公募開始日は同じですが、締切が2回設定されています。予算は各回で同程度が予定されており、一次(三次)で不採択でも希望すれば二次(四次)で再審査される仕組みです。
公募開始日 | 令和6年9月2日(月) |
三次公募 締切 | 令和6年9月24日(火) 12:00まで |
四次公募 締切 | 令和6年10月15日(火) 12:00まで |
申請のポイントと注意点
- 対象者:民間企業、独立行政法人、大学法人、社会福祉法人など幅広い法人が対象ですが、個人事業主は対象外です。
- 補助対象経費:設備費や工事費が対象です。照明(LED等)、既存設備の撤去費、車両、土地建物などは対象外となるため注意が必要です。
- 審査項目:CO2削減量・率や費用対効果に加え、SBT認定、中小企業であること、脱炭素先行地域での事業などが加点評価されます。
- 申請方法:電子申請システム「jGrants」または郵送での申請となります。
申請から事業完了までの流れ
SHIFT事業の申請は、計画的かつ専門的な準備が求められます。
- 公募申請:CO2削減計画(実施計画書)や経費内訳など、指定された書類を準備し、期限内に申請します。
- 審査・採択:事務局による審査が行われ、採択事業者が決定・公表されます。
- 交付申請・決定:採択後、正式な交付申請を行い、交付決定通知書を受け取ります。(注意:契約・発注は交付決定後に行う必要があります)
- 補助事業実施:計画に沿って設備の導入・工事を実施します。
- 実績報告:事業完了後、30日以内または指定日までに完了実績報告書を提出します。
- 補助金交付:検査を経て補助金額が確定し、請求後に補助金が支払われます。
まとめ:脱炭素経営への大きな一歩を
SHIFT事業は、設備投資の負担を大幅に軽減し、企業の脱炭素化と競争力強化を同時に実現できる絶好の機会です。特に、エネルギーコストの高騰が続く中、省エネ性能の高い設備への更新は経営的にも大きなメリットがあります。申請にはCO2削減量の算出など専門的な知識が必要となるため、早めの情報収集と準備が成功のカギとなります。公募要領を熟読の上、ぜひこの機会をご活用ください。