物流効率化に向けた先進的な実証事業とは?
「物流効率化に向けた先進的な実証事業」は、経済産業省が主導する、「物流の2024年問題」に対応し、日本の物流インフラを維持・強化するための重要な補助金です。この事業は、荷主企業や物流関連事業者が先進的な設備やシステムを導入する際の費用を補助し、物流全体の効率化と省力化を促進することを目的としています。
【重要】2024年度の公募は受付を終了しました
本記事で解説する令和5年度補正予算「物流効率化に向けた先進的な実証事業」は、2024年5月20日をもって全ての公募受付が終了しています。しかし、物流業界の課題解決は継続的なテーマであり、来年度以降も同様の事業が実施される可能性が高いため、今のうちから内容を理解しておくことが重要です。
この事業は、大きく分けて以下の2つの柱で構成されています。
- 荷主企業における物流効率化に向けた先進的な実証事業
- 自動配送ロボット導入促進実証事業
以下で、それぞれの事業内容について詳しく解説します。
事業①:荷主企業における物流効率化実証事業
荷主企業の物流施設における自動化・機械化を支援し、省力化や効率化の投資効果を実証する事業です。3PL事業者なども対象に含まれます。
補助額・補助率
対象事業者 | 補助率 | 補助上限額 | 投資下限要件 |
---|---|---|---|
中小企業等 | 2/3以内 | 1億円 | 300万円以上 |
中堅企業等 | 1/2以内 | 5億円 | 5,000万円以上 |
※コンソーシアム形式の場合、補助率は構成員ごとに適用され、投資下限要件は構成員全体の合計で満たすことが可能です。
補助対象経費と設備導入例
物流効率化に直接的に貢献する設備やシステムの導入費用が対象です。
- 補助対象経費: 機械装置・システム費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費など
- 機器導入例: トラックローダー、自動倉庫、コンベア、AMR/AGV、ピッキングシステム、自動仕分け機など
- システム導入例: バース予約システム、倉庫管理システム(WMS)、伝票電子化・物流EDI、AIカメラシステムなど
申請の重要要件
申請には、以下の2つの要件を満たす物流効率化計画の策定が必要です。
1. 物流事業者側の業務効率化: 「荷待ち・荷役時間の削減」または「積載率の向上」が必須。
2. 物流施設側の業務効率化: 従業員の総労働時間を導入前と比較して3%以上削減すること。
事業②:自動配送ロボット導入促進実証事業
ラストワンマイル配送の課題解決策として期待される自動配送ロボットの社会実装を加速させるための事業です。公道を走行するロボットを活用した大規模なサービス実証を支援します。
補助額・補助率
対象事業者 | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|
中小企業 | 2/3以内 | 8,000万円 |
大企業 | 1/3以内 | 4,000万円 |
補助対象となる取り組み
事業採算性を確保したサービスモデルの構築に向けた実証と、その成果の普及活動が対象となります。
- サービスモデル構築: 顧客ヒアリング、サービス設計、プロモーション、サービス実証、事業性・社会受容性の検証など。
- 普及活動: 自治体や協力団体と連携した説明会の開催、他地域への展開セミナーなど。
対象経費には、事業に直接従事する者の人件費のほか、機械装置・システム費、マーケティング費、広告宣伝費などが含まれます。
申請スケジュールと手続き(2024年実績)
参考として、2024年に実施された際の公募期間と申請の流れを記載します。来年度の申請を検討する際の目安としてご活用ください。
公募期間(受付終了)
事業名 | 公募期間 |
---|---|
① 荷主企業向け事業(一次) | 2024年3月7日(木) ~ 4月3日(水) |
① 荷主企業向け事業(二次) | 2024年4月12日(金) ~ 5月20日(月) |
② 自動配送ロボット事業 | 2024年3月1日(金) ~ 4月8日(月) |
申請の基本的な流れ
- STEP 1: 公募要領の確認
公式サイトで公開される公募要領を熟読し、自社の事業が対象となるか、要件を満たしているかを確認します。 - STEP 2: 事業計画の策定・書類準備
物流効率化計画や事業設計書を作成します。申請様式やコンソーシアム協定書など、必要な書類を準備します。 - STEP 3: 電子申請
Jグランツ、または事務局が指定するデータ送受信サービスを利用して、期間内に申請を完了させます。 - STEP 4: 審査・採択
事務局による審査が行われ、採択事業者が決定・公表されます。 - STEP 5: 事業実施と実績報告
交付決定後、計画に沿って事業を実施し、期間終了後に実績報告書を提出します。
まとめ:来年度の公募に向けて準備を始めよう
「物流効率化に向けた先進的な実証事業」は、物流業界が直面する課題を克服するための強力な支援策です。2024年の公募は終了しましたが、令和6年度補正予算案にも関連事業が計上されており、来年度も同様の公募が期待されています。
物流倉庫の自動化や配送の効率化を検討している事業者は、今のうちから情報収集を行い、事業計画の構想を練っておくことをお勧めします。公募が開始されてからでは準備が間に合わない可能性があるため、事前の準備が採択の鍵を握ります。
お問い合わせ先
物流効率化に向けた先進的な実証事業事務局
- ① 荷主企業向け事業
E-mail: info_logi@logiefficiency-meti.jp - ② 自動配送ロボット事業
E-mail: info_robot@logiefficiency-meti.jp