事業概要:災害時でも情報を届ける放送網の強靭化
「地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業」は、総務省が実施する補助金制度です。大規模な自然災害が発生した際にも、テレビやラジオなどの放送が途絶えることなく、被災情報や避難情報といった重要な情報を地域住民へ確実に提供し続けることを目的としています。放送局の停電対策や予備設備の整備にかかる費用の一部を補助し、日本の放送ネットワーク全体の災害対応能力(レジリエンス)向上を支援します。
補助金のポイント
① 災害時の放送継続を支援
地震や台風による停電時でも放送を継続できるよう、自家用発電機や蓄電池などの予備電源設備の整備を重点的に支援します。
② 幅広い事業者が対象
地方公共団体(都道府県、市町村)から、民間のテレビ・ラジオ放送事業者、一般社団法人まで、地域の情報インフラを担う多様な主体が申請可能です。
③ 最大2/3の高い補助率
補助率は対象経費の1/3から最大で2/3まで。特に条件不利地域で事業を行う市町村には手厚い支援が用意されており、設備投資の負担を大幅に軽減できます。
制度詳細
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 無線システム普及支援事業費等補助金(地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業) |
実施機関 | 総務省 |
対象地域 | 全国 |
補助率 | ・都道府県、市町村等: 補助対象経費の1/2 ・条件不利地域の市町村: 補助対象経費の2/3 ・民間放送事業者、一般社団法人等: 補助対象経費の1/3 |
公募期間 | 例年2月頃に公募が開始され、複数回の締切が設けられます。令和6年度の公募は終了しましたが、継続的な事業のため来年度も実施が見込まれます。公募期間外でも相談可能な場合がありますので、公式サイトをご確認ください。 |
補助対象者と対象経費
対象となる事業者
本事業の対象となるのは、以下の事業者です。
- 都道府県、市町村(複数の自治体による連携主体を含む)
- 地上基幹放送事業者、移動受信用地上基幹放送事業者、基幹放送局提供事業者(連携主体を含む)
- 一般社団法人、一般財団法人
補助対象となる経費
補助の対象となるのは、災害時にも放送を継続するために必要な設備の整備費用です。主な対象経費は以下の通りです。
経費区分 | 具体例 |
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予備送信設備 | 代替送信機、代替アンテナ、可搬型送信機など |
予備電源設備 | 自家用発電機、燃料タンク、蓄電池、無停電電源装置(UPS)など |
予備中継回線設備 | STL/TTL設備、IPネットワーク回線機器など |
予備番組送出設備 | 演奏設備、自動番組送出装置の予備機など |
附帯工事費 | 調査設計費、設備の設置・据付工事費、局舎や鉄塔の改修・補強費など |
注意:補助対象外となる経費
消費税、事務費(人件費)、保守・維持管理費などのランニングコスト、交付決定前に契約・着工した工事費用などは補助対象外となりますのでご注意ください。
申請から交付までの流れ
申請プロセスは以下のステップで進みます。計画的な準備が重要です。
- 1公募・事前相談総務省のウェブサイトで公募要領を確認し、管轄の総合通信局等へ申請内容について事前相談を行います。
- 2申請書類の提出整備計画書や見積書など、指定された書類を作成し、jGrants、郵送、メール等の方法で提出します。
- 3審査・交付決定総務省による審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。この通知日以降に事業(契約・工事)を開始できます。
- 4事業の実施交付決定の内容に基づき、設備の設置工事などを実施します。原則として、当該年度内に事業を完了させる必要があります。
- 5実績報告事業完了後、速やかに実績報告書を作成し、契約書や請求書の写しなどと共に提出します。
- 6補助金額の確定・交付実績報告書の審査後、補助金額が確定され、請求手続きを経て補助金が支払われます。
まとめとお問い合わせ
この補助金は、災害時における国民の安全・安心を守るための重要な社会インフラである放送ネットワークを強化するための制度です。対象となる放送事業者や自治体の皆様は、ぜひ本事業の活用をご検討ください。
最新の公募情報や詳細な申請要件については、必ず総務省の公式ウェブサイトをご確認ください。
お問い合わせ先
総務省 情報流通行政局 地上放送課
電話:03-5253-5949
※申請に関する具体的なご相談は、事業所の所在地を管轄する各地方の総合通信局等へお問い合わせください。