東京都が、革新的な金融サービスの創出を目指すフィンテック・スタートアップを強力に支援する補助金制度を開始しました。本事業は「金融オープンイノベーション支援補助金」と「金融サービス事業化支援補助金」の2本立てで、最大400万円の経費支援が受けられます。この記事では、制度の概要から申請方法、過去の採択事例までをプロが徹底解説します。
東京都フィンテック企業支援事業の概要
本事業は、フィンテック分野におけるオープンイノベーションを加速させるため、フィンテック企業と金融事業者等の交流や、新たな金融サービスの事業化に向けた実証実験などを支援するものです。まずは制度の全体像を把握しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業 (1)金融オープンイノベーション支援補助金 (2)金融サービス事業化支援補助金 |
実施機関 | 東京都 |
対象者 | 都内で活動するフィンテック企業、金融事業者、イベント主催事業者など(詳細は後述) |
補助上限額 | 最大400万円 |
募集期間 | 令和6年4月30日(火)~ 令和7年1月31日(金) |
申請方法 | Jグランツによる電子申請、郵送、持込 |
この補助金の重要ポイント
- 2種類の支援メニュー: イベント開催支援と、サービス事業化支援の2つの補助金から自社のフェーズに合ったものを選択可能。
- 随時申請受付: 募集期間内であればいつでも申請可能ですが、予算上限に達し次第、受付終了となるため早めの申請が推奨されます。
- 幅広い経費が対象: イベント開催費から、サービス開発のための人件費、委託費まで幅広くカバー。
2つの支援策の詳細
本事業には目的の異なる2つの補助金があります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
(1)金融オープンイノベーション支援補助金
フィンテック企業と金融事業者等の協業を促進するイベントやプログラムの開催経費を支援します。
補助対象者
フィンテック企業等と金融事業者等が参加する、金融分野のオープンイノベーション創出に資するイベントやプログラム(ピッチイベント、アクセラレータプログラム、マッチングイベント等)を実施する事業者。
補助対象経費
上記のイベントやプログラムの開催に要する経費(人件費、謝金、旅費、会場借料、広報費など)。
補助率・上限額
- 補助率: 2分の1
- 上限額: 1件あたり100万円
※複数のイベント等を複合的に提供する場合は上限200万円
(2)金融サービス事業化支援補助金
フィンテック企業等が金融事業者等と協働して行う、新たな金融サービスの事業化に向けた実証的な取組(PoC)の経費を支援します。
補助対象者
以下のいずれかに該当し、金融分野のイノベーション創出に向けた実証的取組を行う都内企業。
- 設立10年未満のフィンテック企業等
- 海外のフィンテック企業等と実証的取組を行う金融事業者等
補助対象経費
実証的取組に要する経費(人件費、原材料費、委託・外注費、備品購入費など)。
補助率・上限額
- 設立10年未満のフィンテック企業等:
- 補助率: 3分の2
- 上限額: 400万円
※過去に本事業の交付を受けた場合など、一定の要件で補助率2分の1(上限200万円)となります。
- 海外のフィンテック企業等と協業する金融事業者等:
- 補助率: 2分の1
- 上限額: 300万円
申請手続きとスケジュール
募集期間
令和6年4月30日(火曜日)から
令和7年1月31日(金曜日)まで
※申請は随時受け付けますが、予算がなくなり次第終了します。
申請方法
申請は、便利な電子申請(Jグランツ)または郵送・持込で行います。採択は、概ね1~2か月ごとに開催される審査会で決定されます。
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1
公募要領・申請書類の確認
公式サイトから最新の公募要領や申請様式をダウンロードし、補助対象となる条件や経費を詳細に確認します。 -
2
申請書類の作成
事業計画書や経費明細書など、指定された書類を作成します。事業の革新性や実現可能性を具体的に示すことが重要です。 -
3
申請
Jグランツ、郵送、または持込にて申請書類を提出します。Jグランツを利用する場合は、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
過去の採択実績(一部抜粋)
どのような事業が採択されているか、過去の事例を参考にしてみましょう。
令和5年度採択例:Axios Financial Technologies
サービス概要: 企業価値の形成に寄与する要因をAIで分析するアプリを開発し、企業価値向上策を提案するサービス。
成果: 協業先からのフィードバックを基に機能を追加し、2024年4月にアプリをリリース済み。
令和5年度採択例:MEME(ミーム)
サービス概要: 学校と家庭の集金・支払いを効率化する決済アプリ「スクペイ」を開発し、教職員・保護者の負担を軽減。
成果: β版の試験導入で集金作業時間を63%削減。検証結果を踏まえ、2024年4月にサービスをリリース済み。
令和4年度採択例:ビー・インフォマティカ
サービス概要: 心理統計学テストとAI技術に基づく新たな信用スコアリングモデルを構築し、若者などへの融資を促進。
成果: 金融機関の信用データとの高い相関を確認し、モデルの有効性を証明。早期実装に向け更なる検証を実施中。
まとめ
東京都の「フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業」は、革新的な金融サービスの創出を目指す事業者にとって、非常に価値のある支援制度です。イベント開催から事業化に向けた実証実験まで、幅広いフェーズで活用できます。
募集は随時受付ですが、予算上限があるため、関心のある方は早めに準備を進めることを強くお勧めします。この機会を活用し、事業を大きく飛躍させましょう。
公式情報・お問い合わせ先
申請書類のダウンロードや制度の詳細は、必ず公式サイトでご確認ください。
お問い合わせ先
部署名: 東京都 スタートアップ・国際金融都市戦略室 戦略推進部 戦略事業推進課 国際金融都市担当
所在地: 〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 東京都庁第一本庁舎14階北側